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テラ・ドス・ヴェルメロス(14)

暗黒山脈(41)

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「ジュディさん、あと少しです……!」

「……ごめん、アサヒ」

アサヒは、ジュディの胸から上の部分、左肩から先がないソレを背負って歩いていた。
ジュディの左腕含む残りの部位は、電磁力で辛うじて引っ張られつつ、地面を転がりながらついてきている。

ようやく、二人は開けた場所にでた。
先程いた時よりも、“爆心地”となったソコは、より開けていた。

アサヒはジュディを近くの木蔭に横たえると、銃を構えてゆっくりと歩きだした。
まだ、あの“お姉さんたち”がいるかもしれない。

横たえられたジュディに、ついてきていた残りの身体のパーツが徐々に戻っていく。
だが、ジュディ自身はそのコトに気もやれないまま、木にもたれかかって目をつぶっていた。

アサヒはクリアリングを進めるが、敵の姿はない。
ただ、彼女らが着ていたであろう服の残骸だけが、グリム童話のパンくずのように落ちていた。

爆心地にじりじりと近づくアサヒ。
と、視界の端が動くものを捉えた。
銃と視線を素早くソチラに向ける。

大木の向こう側から、煙が漂っていた。
全方位に気をやりつつも、視線だけはその煙に集中しながら、アサヒはその大木を回り込んでいく。

見覚えのある靴、そしてしっかりとした脚が見えた。

「フランシスさん!」

アサヒが駆け寄る。
フランシスは煙草をくゆらせていたが、頭部の大きな傷から血を流しており、上半身の衣服は弾け飛んでいた。
防弾素材のインナーもその大半が破け、破けた箇所から覗く筋骨隆々の身体には、無数の破片が突き刺さっている。

「おう、アサヒか。無事だったか」

「大丈夫ですか?」

「ああ。いや、大丈夫じゃあないな。少なくとも動ける状態じゃあない。ジュディは?」

「ジュディさんも、同じような状態です」

「そうか。じゃあ、ちゃんと仕事してたってワケだ。アイツだけだな、してないのは」

フランシスが目線を上げた。
傍の木の上に、ムサシが引っかかっている。
傷だらけだが、フランシスほどではない。そして、意識もしっかりしているようだった。

「してないヤツが、ここまで吹っ飛ばされるか?」

「アサヒ、あの枝とあの枝を二、三発撃ってやれ。そうしたら落ちてくる」

フランシスはそう言って、煙草を口に咥えた。
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