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バクエット・ド・パクス(14)

暗黒山脈(35)

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「コイツら、残りの二国か……?」

オクルスが空中で呟く。
隣にはララもホバリングしていた。

ムサシとノワールは今だ超至近距離での、拳銃と魔法強化された拳による格闘を続けている。

「次から次へと何なんだよ!」

「不思議な坊や二人、いや、坊やと女の子ですかね。いずれにせよ、手は離せませんが」

「ソレには同感だ……!」

フランシスも浮いている2人を見上げる。

「落とせるとしたらオレだけか? つまりオレの仕事か?」

ジュディとカトリーヌも、相変わらず膠着状態だ。

「あの感じ……ヴェルメロスか」

「可愛い二人ですねぇ♪ おーい! この背中の方をどうにかしてくれませんかぁ!」

「どうする? ララさ」

ララは、オクルスと自分に『100℃弾』を撃った。
そのまま、“アズール”を最大出力にし、樹々の間を駆けながら

「……やっぱりこうなるか」

ジュディが呟く。
目にもとまらぬ速さで、ララが全員に『審査弾』を撃ち込んだ。
順番に、皆の味を咀嚼する。

「最悪じゃあないですかぁ! 貴女方のせいですよ!」

「いや、ソレは私の科白」

カトリーヌに対し、ジュディが言った。

続いて、オクルスがララと同じ速度で全員に肉薄する。

「オレは戦闘向きじゃあないんだが……」

『100℃弾』のお陰で皆の速度が遅れて見える。
オクルスは全員の頭部に向け、弾丸を撃ち込もうとする。

「コレは」
「対処せざるを」
「得ませんね……!」

フランシス、ムサシ、ノワールはそう言って、それぞれが弾丸に対応した。

フランシスは右手に握っていた石を、親指で弾いて弾丸にぶつけて回避した。
ムサシとノワールはお互いに一旦距離を取り、弾丸を避ける。

ジュディとカトリーヌも標的だ。
二人はお互いを相手の的にしようとして、もがき合っていた。

「クソっ、貴女が受けてくださいよっ!」

「イヤだね。どうせなら二人仲良く受ける?」

オクルスは一度地面にタッチすると、続いてもがき合う二人に向かった。
そして、弾丸を射出する。
ジュディは当たりそうな部分だけ、拘束を外した。

「あっ、ズルい……!」

カトリーヌは拘束が緩んだので、その部分を上手く用いて弾丸を弾く。
脚、肘、尻などだ。
部位を魔力強化して、弾丸にぶつける。

ララとオクルスは弾丸の雨を降らせた勢いのまま、アルマージュとレインスがいるであろう方向に向かった。
ジュディはカトリーヌが弾丸を弾いた直後、すぐに拘束を再開する。

「おいおいちょっと待って! まだこの背中の人元気ですよぉ!」

「華麗なダンスご苦労さま。私もいつまで拘束しなきゃならないのかと思うと、気が滅入るよ」

フランシスは疑問に突き動かされ、傷ついて重い身体を動かした。
ノワールとムサシも同様の疑問に、お互いに構えながらも戦闘を小休止する。

「何故、地面をタッチした……?」

全員の視線がその場所に届く。
爆弾が、時を刻み終わったコトを知らせた。
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