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バクエット・ド・パクス(14)
暗黒山脈(34)
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「勝負は決まりました。貴女の国の皆さんを、武装解除していただけますか?」
「なんか日本語おかしくない? 坊や」
銃を向けるアサヒに、その女性は言った。
「武装解除って言ってもさあ、皆好き勝手に動いてるから私にはその権限ないのよ。申し訳ないけど」
「……じゃあ、貴女を撃って戻ります。僕たちには時間がありませんし、貴女がいなければ、彼女らも行動を継続する意味はなくなるはずです」
「オイオイちょっとちょっと。私たち同じ“異世界人”じゃん。この世界のヤツらと違って、死んでも茶園でお目覚めじゃあないんだよ? 私はキミをどうこうするつもりはなかったけどなあ。カトリーヌのヤツはどうだか知らないけどさあ」
アサヒは少し逡巡した。だが
「関係ありません。僕にとってはこの世界の人々の方がもう重要です」
「言うじゃーん。じゃあさあ、キミは元の世界に戻るつもりはないんだよね?」
「ええ。聞きたいコトはもうソレだけですか?」
「キミが暗黒山脈で勝ち抜いたとして、“鍵”とやらを手に入れたとする。キミの国の人々は助かるだろうねぇ。でも、“鍵”を手に入れたキミは元の世界に戻らなきゃあいけなくなるよ? 私たち他の4人の異世界人は置き去りにしてね」
「……」
「だからさぁ、お望み通り武装解除はするから、今回は引き分けってコトにしてくんない? 私を勝たせて元の世界に帰して、キミはこの世界に居続ければいいじゃあない。別にこの戦いに負けたからって、国が亡くなるワケじゃあないよ」
「……」
「う……動かないで……」
二人の前に、木の陰から幼い少女が現れた。
顔と身体中は傷だらけで、衣服もボロボロだ。
「ちょっと、ブレーズ大丈夫!?」
「………です。……少年………なら…対処……ます」
「……だってよ。どうする? 少年」
「えっと、なんて仰ったんですか?」
そう言いながら、アサヒがブレーズの方から先に対処するコトを決めかけた瞬間、女性の方は密かに自らの銃を構えようとしていた。
だがその二人の手を、森の奥から少しずつ聞こえてきた駆動音が止めた。
「……何だ?」
女性――ミサトが思わずそう述べた。
駆動音がすぐ傍まで迫った時、鬱蒼と茂る木々の隙間から
「!!!」
飛んできた弾丸を、ブレーズが吹き飛ばした。
先程までの喋り方とは打って変わって発されたブレーズの大声は、エネルギーある音波となって弾丸すらも跳ね返したのだった。
アサヒはコレが遠距離からの攻撃を可能にしていたのだと理解した。
「うっせええええええええ! っつーか全然思ってた相手と違うじゃあねーか!」
木々の枝葉を縫うようにして、少年が飛来した。
そのすぐ後を追って、少女も一人現れる。
ライフルを構えながら旋回飛行をしつつ、その少女は言った。
「三人とも動かないで! ソコの地上の三人よ!」
「てめぇレインス! 自らの手柄のよーに!」
「うるさいわねアルマージュ! 貴方は二丁拳銃を二人に向ける! 残り一人は私! わかった!?」
「なんか日本語おかしくない? 坊や」
銃を向けるアサヒに、その女性は言った。
「武装解除って言ってもさあ、皆好き勝手に動いてるから私にはその権限ないのよ。申し訳ないけど」
「……じゃあ、貴女を撃って戻ります。僕たちには時間がありませんし、貴女がいなければ、彼女らも行動を継続する意味はなくなるはずです」
「オイオイちょっとちょっと。私たち同じ“異世界人”じゃん。この世界のヤツらと違って、死んでも茶園でお目覚めじゃあないんだよ? 私はキミをどうこうするつもりはなかったけどなあ。カトリーヌのヤツはどうだか知らないけどさあ」
アサヒは少し逡巡した。だが
「関係ありません。僕にとってはこの世界の人々の方がもう重要です」
「言うじゃーん。じゃあさあ、キミは元の世界に戻るつもりはないんだよね?」
「ええ。聞きたいコトはもうソレだけですか?」
「キミが暗黒山脈で勝ち抜いたとして、“鍵”とやらを手に入れたとする。キミの国の人々は助かるだろうねぇ。でも、“鍵”を手に入れたキミは元の世界に戻らなきゃあいけなくなるよ? 私たち他の4人の異世界人は置き去りにしてね」
「……」
「だからさぁ、お望み通り武装解除はするから、今回は引き分けってコトにしてくんない? 私を勝たせて元の世界に帰して、キミはこの世界に居続ければいいじゃあない。別にこの戦いに負けたからって、国が亡くなるワケじゃあないよ」
「……」
「う……動かないで……」
二人の前に、木の陰から幼い少女が現れた。
顔と身体中は傷だらけで、衣服もボロボロだ。
「ちょっと、ブレーズ大丈夫!?」
「………です。……少年………なら…対処……ます」
「……だってよ。どうする? 少年」
「えっと、なんて仰ったんですか?」
そう言いながら、アサヒがブレーズの方から先に対処するコトを決めかけた瞬間、女性の方は密かに自らの銃を構えようとしていた。
だがその二人の手を、森の奥から少しずつ聞こえてきた駆動音が止めた。
「……何だ?」
女性――ミサトが思わずそう述べた。
駆動音がすぐ傍まで迫った時、鬱蒼と茂る木々の隙間から
「!!!」
飛んできた弾丸を、ブレーズが吹き飛ばした。
先程までの喋り方とは打って変わって発されたブレーズの大声は、エネルギーある音波となって弾丸すらも跳ね返したのだった。
アサヒはコレが遠距離からの攻撃を可能にしていたのだと理解した。
「うっせええええええええ! っつーか全然思ってた相手と違うじゃあねーか!」
木々の枝葉を縫うようにして、少年が飛来した。
そのすぐ後を追って、少女も一人現れる。
ライフルを構えながら旋回飛行をしつつ、その少女は言った。
「三人とも動かないで! ソコの地上の三人よ!」
「てめぇレインス! 自らの手柄のよーに!」
「うるさいわねアルマージュ! 貴方は二丁拳銃を二人に向ける! 残り一人は私! わかった!?」
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