カメリア・シネンシス・オブ・キョート

United Japanese tea varieties of Iratsuko（１３）

暗黒山脈（２８）

「いつまでも抱きつかれてるのも……窮屈ですねぇ……っ！」

「私だって、同性にずっと抱きつく趣味はないよ。まあ、異性でもそんなにだが」

「あら、“脳みそだけは”ちゃんと女性なんですねぇ。他は機械でも？　まあ、私は女性でもイケる口ですけど♪」

カトリーヌとジュディの状況は、完全に拮抗状態だった。
アサヒは『100℃弾』をカトリーヌに撃ち込んで、そのパワーをスピードに強制的に変換させて削ぎたかったが、ソレを見越したカトリーヌのもがきにより照準を定めるコトができなかった。

万が一、ジュディに『100℃弾』が命中すればスピードと引き換えにパワーが下がり、カトリーヌはその拘束を難なく解けるようになるだろう。
その後に再度、同じようにカトリーヌが拘束を許すとは思えない。

だが、U.J.Iの一行には勝機があった。
アサヒ、ジュディ、カトリーヌに向かって走る、ムサシの存在だ。

フランシスは先のダメージにより移動が遅かったが、ムサシは全力疾走で三人に近づいていた。

「ちょっとアイツ、ウザいですねぇ……！」

「そうか？　彼は良いヤツだよ。お陰で、私は彼が到着するまで貴女を縛っておくだけだ」

流石のカトリーヌも焦り始める。
その時だった。

ムサシの目の前に、大量の木の葉と共に、何かが落ちてきた。

「カトリーヌさん、先走られては困ります。追いつくのが大変でした」

「ごめんなさい、ノワールさん♪　善は急げと言いますし♪」

「（先に仕掛けたのはコッチだから善ではないな）まあそうですね。ソレで、私の相手はコチラの殿方でよろしいのでしょうか？」

「ええ♪　サクッとやっちゃって、私の背中のコレ、おっと失礼、この方もお願いします」

ムサシは引き金を数回引いた。
複数の“逆流弾”がカトリーヌとジュディの隣の樹から放たれ、ノワールを襲う。

ソレをノワールは、二回の左右後ろ回し蹴りで弾いた。

「変わった銃ですね」

「アンタも変わったフォームだな。ソコのカトリーヌ？さんとはえらく違うじゃあねーか」

「よく今の後ろ回しだけでわかりましたね。格闘技には造詣が深いんですか？」

「まあ、少しな」

「でも、その知識と変わった銃だけでは私には勝てないと思いますよ。銃口と指の動きさえわかれば弾丸なんて、カトリーヌさんの拳よりも容易く弾けます」

「じゃあ、コレはどうかな？」

ムサシが銃をもう一丁取りだす。

「奇しくも、俺の愛銃とこの“変わった銃”はとても似ててね」

ムサシは二丁拳銃をノワールに向けて構えた。