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シュロッス・イン・デル・ゾーネ(11)
接近遭遇(27)
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もう一度、自分のいる部屋の中心を見るツヅキ。
空間に目を凝らすが何も見えない。改めて、メイのいる部屋も同様だ。
メイ自身はと言えば、まだ魔術回路に集中している。
そして、やはり隣の部屋には“箱”が浮かんでいる。
箱はゆっくりと回転していたが、緩やかに動き始めた。
上に向かって動いた箱は天井でバウンドすると、ツヅキがいる部屋の方向に飛んできた。
そのままツヅキの目の前で見えない壁にまたもバウンドし、地面に跳ねる。
箱は隣の部屋のメイの後頭部をかすめると、隣の部屋にいるツヅキへと飛んでいく。
ツヅキの左手目がけて箱は進み、接触した。
瞬間、隣の部屋のツヅキの左手が裁断された。
思わず“コチラ”のツヅキが左手を引っ込める。何も起きていない。
左手が裁断されたのは向こうの自分だけだ。
向こうの自分の左手首は血を吹きだすこともなく、ただ真っ赤な断面だけを露出している。
箱は空中を彷徨いながら、その内部で左手を咀嚼するかのように粉砕し続けていた。
やがて左手が血煙だけになると、その煙も霧散していった。
「メイ! まだだとは思うが、少しマズい事態かも」
ツヅキが振り返り、メイを見上げようとして言う。しかし視線は途中で固定された。
自らの部屋の中心に、半透明の“辺”が出現していた。
見ている間に、その“辺”は両端から二つの“辺”を出現させ、繋ぎ、“四角”になった。
「メイ! まだってのは撤回だ! もうヤバい事態」
「わかってる! あと少し……」
メイはいつの間にか目をキツくつぶって、魔術回路に集中していた。
その間に、“四角”が“箱”になろうと更に“辺”を伸ばしている。
「わかったわ! ツヅキ君、落ち着いて覚えて」
「何をだ!」
「難しいとは思うけれど、まずは落ち着いて。ソレが動きだすまでまだ40秒はあるから、深呼吸」
「……。大丈夫だ」
「いい? まずは貴方の前にいた部屋の方向を“前”とするわね」
「よくわからんが、続けてくれ」
「覚えてほしいのはココから。下、前、前、前、上、上、前、上」
「下、前、前、前、上、上、前、上。……下、前3、上2、前、上だな」
「ええ、その順に部屋を移動して。私も後は移動しながら話す」
話し終えたメイも、自らの部屋の中心を見た。“辺”が出現している。
空間に目を凝らすが何も見えない。改めて、メイのいる部屋も同様だ。
メイ自身はと言えば、まだ魔術回路に集中している。
そして、やはり隣の部屋には“箱”が浮かんでいる。
箱はゆっくりと回転していたが、緩やかに動き始めた。
上に向かって動いた箱は天井でバウンドすると、ツヅキがいる部屋の方向に飛んできた。
そのままツヅキの目の前で見えない壁にまたもバウンドし、地面に跳ねる。
箱は隣の部屋のメイの後頭部をかすめると、隣の部屋にいるツヅキへと飛んでいく。
ツヅキの左手目がけて箱は進み、接触した。
瞬間、隣の部屋のツヅキの左手が裁断された。
思わず“コチラ”のツヅキが左手を引っ込める。何も起きていない。
左手が裁断されたのは向こうの自分だけだ。
向こうの自分の左手首は血を吹きだすこともなく、ただ真っ赤な断面だけを露出している。
箱は空中を彷徨いながら、その内部で左手を咀嚼するかのように粉砕し続けていた。
やがて左手が血煙だけになると、その煙も霧散していった。
「メイ! まだだとは思うが、少しマズい事態かも」
ツヅキが振り返り、メイを見上げようとして言う。しかし視線は途中で固定された。
自らの部屋の中心に、半透明の“辺”が出現していた。
見ている間に、その“辺”は両端から二つの“辺”を出現させ、繋ぎ、“四角”になった。
「メイ! まだってのは撤回だ! もうヤバい事態」
「わかってる! あと少し……」
メイはいつの間にか目をキツくつぶって、魔術回路に集中していた。
その間に、“四角”が“箱”になろうと更に“辺”を伸ばしている。
「わかったわ! ツヅキ君、落ち着いて覚えて」
「何をだ!」
「難しいとは思うけれど、まずは落ち着いて。ソレが動きだすまでまだ40秒はあるから、深呼吸」
「……。大丈夫だ」
「いい? まずは貴方の前にいた部屋の方向を“前”とするわね」
「よくわからんが、続けてくれ」
「覚えてほしいのはココから。下、前、前、前、上、上、前、上」
「下、前、前、前、上、上、前、上。……下、前3、上2、前、上だな」
「ええ、その順に部屋を移動して。私も後は移動しながら話す」
話し終えたメイも、自らの部屋の中心を見た。“辺”が出現している。
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