カメリア・シネンシス・オブ・キョート

龍騎士団茶舗

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United Japanese tea varieties of Iratsuko(10)

宙宇るす流逆(12)

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彼らは境内入って向かって右側の倉庫の壁に沿って、中央の道を進み始めた。
幸い、倉庫の屋根があるお陰で“下から”雨が降り注ぐ恐れはない。

進むにしたがって、向こう側の景色が開けてくる。
この「神宮」の本体。中央の通路に入る前は、道の向こう側に鎮座していると思われたソレは、しかしそうではなかった。

最初に見えていた部分はかろうじて残っていただけで、進んで見えてきたその全景は、ほとんどが朽ち果てて残っていなかった。
まさに伽藍堂の如く、この「神宮」の本体は空虚そのものだったのだ。

中央の道は、これまた今まで進んできた廃墟群と同じく、罠もなく通り抜けられた。
一行に安堵感と、どこかしっくりこない感覚が残る。

と、ムサシが急に身を屈めた。

「誰かいるぞ」

ムサシと同じく、他の三人も身を屈める。
ムサシの視線の先には、確かに誰かがいた。いや

「誰か倒れてる、だな」

境内の中央奥、重装備の歩兵らしき人物が倒れていた。
一行の目指すゲートは、その人物との間にもう一つ小さな倉庫を挟んで、屹立している。

「何か不穏だぞ」

「そうね。ムサシ、アレに弾丸撃ち込める?」

「あの装備にか? 効果があるとは思えんが」

「いいから」

ムサシは銃を構えると、重装歩兵に撃ち込んだ。
向こうを向いて倒れている敵の、右臀部辺りに命中したソレは、鈍い音と共に弾かれて近くの地面に着弾した。

「な?」

「起きてこないわね。熟睡中ってワケではなさそうね」

「まあ、確かに」

「オレが撃ちこもうか?」

フランシスが唐突に言った。

「オレの弾なら『口径』がデカいぜ」

「いや、止めておきましょう。死んだフリじゃあないとわかっただけで、今は十分よ」

一行は雨の降りしきる、いや昇りしきる「神宮」本体のあった広場を、コレまで通り壁沿いに通り抜けるコトにした。

「フランシス、殿を代わってもらえるかしら?」

「ああ、構わないが」

「ムサシ、アサヒ、貴方の順にお願い」

「……わかった。ムサシにはあまり言わない方がいいパターンか?」

「そうならないコトを祈ってるけどね」

ジュディとフランシスが雨音に紛れるように会話をした。
その後、フランシスが順を入れ替える。

「なんだ? 位置交代か?」

ムサシが訝る。

「ああ。最後だから、足早に通り抜けたいらしい。俺がケツだと遅いだとよ」

「まあ、ソレは間違いないかもな」

「言っとけ」
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