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United Japanese tea varieties of Iratsuko(10)

宙宇るす流逆(8)

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「かなりの豪雨だな。強すぎて何と言うか、浮遊感すら感じるよ」

廃墟の窓から手を出して、雨を感じているムサシが言った。
下から上に“昇る”雨だ。

「止むのを待つか?」

フランシスが言う。
ジュディが数秒、外の様子を窺った後に言った。

「いえ、ムリにでも進んだ方がいいかもしれない」

「根拠は?」

「あそこの運河を見てくれるかしら」

座っていたフランシスも立ち上がり、窓に近づいた。
アサヒも窓の下部から顔を出して、外を確認する。

「あれ、運河だと思っていたけれど」

「違うのか?」

「ええ。事前に得ていた地図データと照合すると、あれはそんなに大きくない川だわ」

「どうしてソレが進んだ方がいい根拠になるんですか?」

アサヒが素直に疑問を口にする。
ムサシが顎をさすりながら言った。

「なるほどな。ヒントは雲行きだ、アサヒ君」

「雲行き?」

「ああ。普通は雨が上がるかどうかを予測したかったら、雲の具合とかを見るだろ? でもココじゃあ時間は逆流してる。であれば、“下にある雲”が答えになる。あの運河が雲だ」

「……」

アサヒは少し考え、答えを導きだした。

「あの川がその……運河?大きな川?から元の川に戻るまでは、雨が降り続けるってコトですか?」

「ああ、そもそも『運河』をあんまり知らなかったか、悪い。でも、ソレで正解だよ」

フランシスはまたもアサヒのその早熟した聡明さに驚きながら、小さな体躯を不思議そうに眺めた。

「見たトコロ、あの運河はまだまだ太っといままだろうな」

「ええ。止むのを待ってたら、いつになるかわからないわね。お客さんも来ているようだし」

「お客さん?」

皆がジュディの視線を追う。
廃墟立ち並ぶ、豪雨で視界遮られる中を、武装した敵が移動していた。
複数名が4人一組に分かれ、行動している。

「厄介だな。市街地になると現れやがる」

ムサシが苦々しく敵を見つめる。

「この廃都から出られるゲートが近いからでしょうね」

「……単純かつ前にも話した疑問だが、ホントに奴らの正体は何も判明してないのか?」

「単純かつ前にも話した回答だけれど、そうよ」

「マジなのか、フランシス?」

「ああ、俺も疑問に思って照会したことは何度もあるが、わかってないみたいだぜ。尤も、我らが誇り高き母国の回答を鵜呑みにすればだがね」

「ハッ。ずっと頭を悩ませる疑問だよなあ、アサヒ君」

「そ、そうですね。気にはなります」

「気を悪くすんなよ、ジュディ。別にお前のコトを信用してないワケじゃあない」

「ええ。セカンドオピニオンは裏社会でも基本ですものね」
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