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南山城国(9)
忌村(9)
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「アレも“ヤツら”なんですか?」
龍之介が問う。
「ええ。草むらに近づいたが最後、一斉に飛びかかってくるでしょうね。進んできた林道にアレがいなくて良かったです」
「うええ。何だか熱っぽかったのも、どっかへ行っちゃいましたよ。ゾッとしませんね」
童仙の答えに、カオルも顔をしかめる。その様子を見て、遠藤が言った。
「大分、顔色が良くなったよカオルちゃん。村の中心部に入ったのに、どうしてだろうね」
「むしろ、コレまでの症状は村への“拒否反応”だったのかもしれませんね」
「おっけ。とりあえず、結果オーライです。
ソレで、村の中央の道を通るとして、どうやって通りましょ~? ヤツらがウロウロしてますし」
「ソコで、僕の調達したコレの出番というワケだ」
遠藤が何やら取りだす。
六芒星の中心に、流麗に瞳が描かれた“札”だった。
「魔術国家デル・ゾーネ謹製の『旧き印』さ。発動したコレを持っていれば、ヤツらにとっては不可視の存在になれる。透明人間にね」
「ですが、ヤツらは強力な存在です。もしも直接に触れ合ってしまえば、印の効果が認知されてしまい、失われるでしょう」
遠藤の説明を童仙が補足する。
「ソレにしても、手に入ったんですね」
「童仙殿、もっと褒めてくれて構わないよ。とは言え、ぶっちゃけたトコロは何とかゲットした、というのが本音だがね」
「事前の打合せで、コレが話にでなかったのは手に入るかわからなかったからですか?」
「いや。ちょっと厄介な物体でね、コレは。量子力学上、逆説的な物体なんだ。認識する人数が過半数以上になった集団には手に入れるコトができない」
「?」
龍之介が首を傾げる。
「まあ、とりあえずコレを使って、中央を突破しよう。ポチっとな」
遠藤が印の真ん中の瞳を押す。
印自体が青白く明滅し始めた。
「一応、期限はあるが、通り抜けるには十分な時間保つだろう」
全員が印を受け取る。
「では、万一に備え、カオル殿を囲んで回転しながら進みましょう。カオル殿は真っ直ぐに中央の道を歩いていただければ大丈夫です」
「よし、わかったよ」
「打合せ通りですね、わかりました」
「私にとっては三方良しの光景ってコトで、オッケー」
一同が井戸の陰から姿をだす。
「少し待ってください」
童仙が一人、前に進んだ。
しばらくして、ヤツらの一人がコチラを向いた。
ソレがどのような光景を捉えているのかはわからないが、何かを嗅ぐように首を動かしている。
童仙は微動だにせず、その視線を受け止めていた。
敵は、やや考えるように止まった後、向こうに歩いていった。
童仙が息を吐く。
「……いいでしょう。進みましょう」
龍之介が問う。
「ええ。草むらに近づいたが最後、一斉に飛びかかってくるでしょうね。進んできた林道にアレがいなくて良かったです」
「うええ。何だか熱っぽかったのも、どっかへ行っちゃいましたよ。ゾッとしませんね」
童仙の答えに、カオルも顔をしかめる。その様子を見て、遠藤が言った。
「大分、顔色が良くなったよカオルちゃん。村の中心部に入ったのに、どうしてだろうね」
「むしろ、コレまでの症状は村への“拒否反応”だったのかもしれませんね」
「おっけ。とりあえず、結果オーライです。
ソレで、村の中央の道を通るとして、どうやって通りましょ~? ヤツらがウロウロしてますし」
「ソコで、僕の調達したコレの出番というワケだ」
遠藤が何やら取りだす。
六芒星の中心に、流麗に瞳が描かれた“札”だった。
「魔術国家デル・ゾーネ謹製の『旧き印』さ。発動したコレを持っていれば、ヤツらにとっては不可視の存在になれる。透明人間にね」
「ですが、ヤツらは強力な存在です。もしも直接に触れ合ってしまえば、印の効果が認知されてしまい、失われるでしょう」
遠藤の説明を童仙が補足する。
「ソレにしても、手に入ったんですね」
「童仙殿、もっと褒めてくれて構わないよ。とは言え、ぶっちゃけたトコロは何とかゲットした、というのが本音だがね」
「事前の打合せで、コレが話にでなかったのは手に入るかわからなかったからですか?」
「いや。ちょっと厄介な物体でね、コレは。量子力学上、逆説的な物体なんだ。認識する人数が過半数以上になった集団には手に入れるコトができない」
「?」
龍之介が首を傾げる。
「まあ、とりあえずコレを使って、中央を突破しよう。ポチっとな」
遠藤が印の真ん中の瞳を押す。
印自体が青白く明滅し始めた。
「一応、期限はあるが、通り抜けるには十分な時間保つだろう」
全員が印を受け取る。
「では、万一に備え、カオル殿を囲んで回転しながら進みましょう。カオル殿は真っ直ぐに中央の道を歩いていただければ大丈夫です」
「よし、わかったよ」
「打合せ通りですね、わかりました」
「私にとっては三方良しの光景ってコトで、オッケー」
一同が井戸の陰から姿をだす。
「少し待ってください」
童仙が一人、前に進んだ。
しばらくして、ヤツらの一人がコチラを向いた。
ソレがどのような光景を捉えているのかはわからないが、何かを嗅ぐように首を動かしている。
童仙は微動だにせず、その視線を受け止めていた。
敵は、やや考えるように止まった後、向こうに歩いていった。
童仙が息を吐く。
「……いいでしょう。進みましょう」
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