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シュロッス・イン・デル・ゾーネ(8)
接近遭遇(4)
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「ソレで、結局何の用なんです? ご存じかと思いますが、私たち先を急いでるんですけど」
メイが刺々しく言う。
「心が読めるのに聞いてくれてありがとう、メイ。では本題に入ろう」
ヴァーシュが懐から何かを取り出す。
小さなロケットペンダントだった。
「コレを渡しに来たのだ」
少し怪訝そうにペンダントを見つめる二人。
やがてメイがペンダントに手を伸ばした。
「ソレだけの為に来られたんですか? 中身は何です?」
ヴァーシュがペンダントを引っ込める。
「メイ、キミにではない。ツヅキ殿にだ」
「……私から渡しますが」
ヴァーシュがメイにペンダントを手渡す。
「簡単には開けられないように細工してある。そして、中身は秘密だ」
メイはまじまじとペンダントを観察していたが、やがてツヅキに渡した。
「まだ、俺はアンタを信用してませんけど」
「構わん。ペンダントを今、返してもらってもいいし、捨ててもらってもいい。ただの私からの旅の餞別というか、お守りだ。このぐらいしかできないのでな、国の最高執政官が情けない話だが」
「……少なくとも、コイツを首から掛けはしないとだけは言っておきます」
◇◇◇
その後、二人はあっさりとヴァーシュと別れた。
「どう思う?」
ツヅキがメイに問いかける。
「『何の用か』聞いた時以外、ずーっと心の中を読んでたけど、怪しい動きはなかったわ。少なくとも心の表面上はね」
「ってコトは、コレは本当にお守りか?」
「でしょうね。ちょっと気持ち悪いけど」
「ぶっ壊して中身を見てみるか?」
「ソレ、かなり強力な魔力で守られてるわよ。まあ、私なら破壊できるけど」
「でも、メイさんの魔力ってお強いですよね。ボク、無事に中身を見たいんですけど」
「うっさいわね」
話をしながら歩いている内に、周囲の光景から徐々に人影と人工物が消えていった。
代わりに、舗装されていない道路と樹々が増え始める。
「二人でこの道を歩くのは、あの夜以来か」
「そうね。あの頃に比べたら随分と可愛げが少なくなったんじゃあない? ツヅキ君」
「ソレはお互い様だろ。仲が深まりましたね」
「キモいわよ」
軽口を叩きながら、二人はフィトンチッド溢れる森を進む。
日が陰り始めた頃だった。
「そろそろ屋敷が近くなるわ。メインの道から逸れましょう」
「ああ」
◇◇◇
メイは杖を取り出し、前方の樹々と草を優しく魔力で寝かせながら歩いていた。
お陰で獣道であるというのに、かなり快適な道程だ。
「魔力の調整、できてんじゃん」
「圧倒的なパワーと繊細さが、私の持ち味なので」
「あっそう」
「何その反応」
屋敷の姿が見え始めると、足元に他の誰かが進んだ轍が確認できるようになってきた。
その轍を辿ると、メイと同じように草を横たえて進んできた二人、ウィーとカップの姿があった。
メイが刺々しく言う。
「心が読めるのに聞いてくれてありがとう、メイ。では本題に入ろう」
ヴァーシュが懐から何かを取り出す。
小さなロケットペンダントだった。
「コレを渡しに来たのだ」
少し怪訝そうにペンダントを見つめる二人。
やがてメイがペンダントに手を伸ばした。
「ソレだけの為に来られたんですか? 中身は何です?」
ヴァーシュがペンダントを引っ込める。
「メイ、キミにではない。ツヅキ殿にだ」
「……私から渡しますが」
ヴァーシュがメイにペンダントを手渡す。
「簡単には開けられないように細工してある。そして、中身は秘密だ」
メイはまじまじとペンダントを観察していたが、やがてツヅキに渡した。
「まだ、俺はアンタを信用してませんけど」
「構わん。ペンダントを今、返してもらってもいいし、捨ててもらってもいい。ただの私からの旅の餞別というか、お守りだ。このぐらいしかできないのでな、国の最高執政官が情けない話だが」
「……少なくとも、コイツを首から掛けはしないとだけは言っておきます」
◇◇◇
その後、二人はあっさりとヴァーシュと別れた。
「どう思う?」
ツヅキがメイに問いかける。
「『何の用か』聞いた時以外、ずーっと心の中を読んでたけど、怪しい動きはなかったわ。少なくとも心の表面上はね」
「ってコトは、コレは本当にお守りか?」
「でしょうね。ちょっと気持ち悪いけど」
「ぶっ壊して中身を見てみるか?」
「ソレ、かなり強力な魔力で守られてるわよ。まあ、私なら破壊できるけど」
「でも、メイさんの魔力ってお強いですよね。ボク、無事に中身を見たいんですけど」
「うっさいわね」
話をしながら歩いている内に、周囲の光景から徐々に人影と人工物が消えていった。
代わりに、舗装されていない道路と樹々が増え始める。
「二人でこの道を歩くのは、あの夜以来か」
「そうね。あの頃に比べたら随分と可愛げが少なくなったんじゃあない? ツヅキ君」
「ソレはお互い様だろ。仲が深まりましたね」
「キモいわよ」
軽口を叩きながら、二人はフィトンチッド溢れる森を進む。
日が陰り始めた頃だった。
「そろそろ屋敷が近くなるわ。メインの道から逸れましょう」
「ああ」
◇◇◇
メイは杖を取り出し、前方の樹々と草を優しく魔力で寝かせながら歩いていた。
お陰で獣道であるというのに、かなり快適な道程だ。
「魔力の調整、できてんじゃん」
「圧倒的なパワーと繊細さが、私の持ち味なので」
「あっそう」
「何その反応」
屋敷の姿が見え始めると、足元に他の誰かが進んだ轍が確認できるようになってきた。
その轍を辿ると、メイと同じように草を横たえて進んできた二人、ウィーとカップの姿があった。
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