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シュロッス・イン・デル・ゾーネ(8)
接近遭遇(1)
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「おっと、すみません」
「あら♪ いえいえ、コチラこそ~」
ツヅキは商館を出ようとして、中に入ってきた女性と鉢合わせする形になった。
もう少しで相手の、少々主張が強い胸に体当たりするトコロだった。惜しい。
などと考えながらも、その横を通り抜けようとするツヅキに、後ろからメイが言う。
「ちょっと、なに先に出ようとしてんのよ。レディファーストしてあげなさいな」
「あらあら~、別に構いませんよ♪」
「いや、どうぞ」
ツヅキが一歩引くと、ぶつかりかけた女性に続き、女の子とボーイッシュな女性、最後にタンクトップにホットパンツ姿の女性が入ってきた。
最後の女性と目が合う。
「ゴメンね! 出るトコを」
「いえ……」
女性が片手を上げて、謝るジェスチャーをした。
ツヅキたちも外に出る。
「茶舗の敷地外に出るのは久しぶりだな」
「油断しないでよね。ココからはもう戦いなんだから」
「ウィーとカップは?」
「ウチの屋敷の敷地内で合流予定よ。ぞろぞろ歩くよか、良いと思って」
確かに、と思いつつツヅキはふと気づく。
何も考えず言われるまま出てきてしまったが、変装とかしなくてよかったのだろうか。
「変装は必要ないわよ。オートラグは今日は別の用事で忙しいから」
「別の用事?」
「デル・ゾーネ内に、他国の旅団が侵入したらしいわ」
「え。ソレって大丈夫なのか」
「大丈夫なワケないでしょ。そりゃあもし遭遇したら、やり合う必要はあるけどね。向こうもワザワザ敵国内でドンパチ始めたくはないでしょ」
「まあでも、オートラグとしては見つける必要があるってコトか。俺たちは?」
「先に進むわ」
◇◇◇
経済区域を抜け、商店区域を歩くメイとツヅキ。
メイの、ペイルンオーリン家の屋敷へ行くには、実は商店区域を抜けるのは遠回りだ。
しかし、オートラグの手先から身を少しでも隠しながら進むには、商店区域の人の多さはうってつけだった。
デル・ゾーネを支配しているオートラグは、自国内においてはツヅキらを捜している状態にあるコトを秘匿していた。
ソレは自国民に対し自らの威勢を守るためだったが、故にツヅキらが一般民衆に後指をさされるコトもなくなったと言える。
だが、人の口に戸は立てられないモノだ。オートラグとツヅキらが揉めているという程度の情報については、一部の民衆にも浸透し始めていた。
だがコレも、ツヅキらにとっては何の問題もなかった。何せ、一般的には“旅団”の情報自体、自国民に対しては何も知らされはしないのだ。
つまり彼らが旅団で、ツヅキという人物がどんな顔なのかについて、オートラグと龍騎士団茶舗の一部、そして旅団の各々以外は知る由もなかった。
よって、商店区域を抜けようかという時に店仕舞いを進めていた一人の露天商に話しかけられた時のツヅキの驚きは、甚大なモノだった。
「やあ! 遂に見つけたぞ。坊主が“久世ツヅキ”だな、そうだろ?」
「あら♪ いえいえ、コチラこそ~」
ツヅキは商館を出ようとして、中に入ってきた女性と鉢合わせする形になった。
もう少しで相手の、少々主張が強い胸に体当たりするトコロだった。惜しい。
などと考えながらも、その横を通り抜けようとするツヅキに、後ろからメイが言う。
「ちょっと、なに先に出ようとしてんのよ。レディファーストしてあげなさいな」
「あらあら~、別に構いませんよ♪」
「いや、どうぞ」
ツヅキが一歩引くと、ぶつかりかけた女性に続き、女の子とボーイッシュな女性、最後にタンクトップにホットパンツ姿の女性が入ってきた。
最後の女性と目が合う。
「ゴメンね! 出るトコを」
「いえ……」
女性が片手を上げて、謝るジェスチャーをした。
ツヅキたちも外に出る。
「茶舗の敷地外に出るのは久しぶりだな」
「油断しないでよね。ココからはもう戦いなんだから」
「ウィーとカップは?」
「ウチの屋敷の敷地内で合流予定よ。ぞろぞろ歩くよか、良いと思って」
確かに、と思いつつツヅキはふと気づく。
何も考えず言われるまま出てきてしまったが、変装とかしなくてよかったのだろうか。
「変装は必要ないわよ。オートラグは今日は別の用事で忙しいから」
「別の用事?」
「デル・ゾーネ内に、他国の旅団が侵入したらしいわ」
「え。ソレって大丈夫なのか」
「大丈夫なワケないでしょ。そりゃあもし遭遇したら、やり合う必要はあるけどね。向こうもワザワザ敵国内でドンパチ始めたくはないでしょ」
「まあでも、オートラグとしては見つける必要があるってコトか。俺たちは?」
「先に進むわ」
◇◇◇
経済区域を抜け、商店区域を歩くメイとツヅキ。
メイの、ペイルンオーリン家の屋敷へ行くには、実は商店区域を抜けるのは遠回りだ。
しかし、オートラグの手先から身を少しでも隠しながら進むには、商店区域の人の多さはうってつけだった。
デル・ゾーネを支配しているオートラグは、自国内においてはツヅキらを捜している状態にあるコトを秘匿していた。
ソレは自国民に対し自らの威勢を守るためだったが、故にツヅキらが一般民衆に後指をさされるコトもなくなったと言える。
だが、人の口に戸は立てられないモノだ。オートラグとツヅキらが揉めているという程度の情報については、一部の民衆にも浸透し始めていた。
だがコレも、ツヅキらにとっては何の問題もなかった。何せ、一般的には“旅団”の情報自体、自国民に対しては何も知らされはしないのだ。
つまり彼らが旅団で、ツヅキという人物がどんな顔なのかについて、オートラグと龍騎士団茶舗の一部、そして旅団の各々以外は知る由もなかった。
よって、商店区域を抜けようかという時に店仕舞いを進めていた一人の露天商に話しかけられた時のツヅキの驚きは、甚大なモノだった。
「やあ! 遂に見つけたぞ。坊主が“久世ツヅキ”だな、そうだろ?」
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