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バクエット・ド・パクス(8)

他国に入っただけなのに(3)

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「しかし、デル・ゾーネの出発が遅れているのは何故でしょうね?」

ノワールが皆に問いかける。

一行が市街で最初に到達した場所は、商店区域だった。
ソコで情報(と食べ物とその他諸々)を手に入れながら、彼女らは市街を北へ進んでいた。

「なんか聞いてると、この国の最大機関『オートラグ』とごちゃごちゃしてるみたいだけどね」

ミサトがサンドイッチを食べ歩きながら言う。
ノワールは内心「どれだけ食べられるんだろうこの人……」と思っていた。

「まあ、私たちにとっては好都合ですね♪」

「…………」

カトリーヌもホットドッグを食べ歩きながら言う。
ブレーズも内心「どれだけ食べられるんだろうこの人……」と思いながら、カトリーヌの言に対し頷いていた。


◇◇◇


ミサトとカトリーヌがまだ満腹にならぬうちに、彼女らは商店区域を通り抜けた。
街並みは緩やかに、商品などを売り込むために外に開けた店々が立ち並ぶソレから、中に一歩踏み込まなければ様子がわからない建物の群にシフトしていく。

「経済区域、ですかね?」

「みたいだねぇ。カトリーヌ、道はコッチで合ってんの?」

「大丈夫ですよ♪」

「あ……アレ」

ブレーズが消え入りそうな声とともに、前方の建物を指差す。
そこには、一つの商館が建っていた。

「どうしました? ブレーズ」

「お茶の………意外と………………」

「確かに割とここまで、お茶関連のお店は見かけませんでしたね。食べ物関連は多かったですが」

「デル・ゾーネはお茶の“目立ってる度”で言えば、確かにキョート内では高くはないかもしれませんね。でも品質、特に抹茶などの品質は高いんですよ♪」

カトリーヌが解説する。ミサトがそれに対し、ふと疑問を投げかける。

「へえ、そうなんだ。パクスは?」

「パクスの特徴は、大規模な生産ですね~。キョート随一の生産量ですから♪」

「ほーん」

喋っているうちに、商館の前まで辿り着いた。
商館の扉の上には『龍騎士団茶舗』の文字。

「入ってみる?」

「情報収集します?」

ミサトとノワールが他の二人に聞く。

「じゃあ、レディファーストで入りますね♪ さあ、ブレーズも」

「……」

全く会話にならぬまま、カトリーヌとブレーズが中に入る。
ミサトとノワールは「私たちもレディだよね?」と顔を見合わせつつも、その後に続いた。
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