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テラ・ドス・ヴェルメロス(8)
地図にない王国(3)
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「ぐるりと、真上から見てみたが、入口はやっぱり樹のトコしかないな!」
ピラミッド上空から、アルマージュが通信を飛ばしてきた。
レインスが見上げ、自らのヘルメットのマイクに言う。
「わかった! 少しホバリングしてて」
下の三人が話し合う。
「どうする? アルマージュはああ言ってるけど」
「まあ、ほんじゃ件の場所から入るしかないわね」
「登るんですか? ピラミッドを」
「冗談! 飛んでいきましょ」
オクルスがアルマージュに言う。
「樹のトコロへ降りてくれ! 俺たちも上がる」
「わかった!」
下の三人はアズールを稼働した。
◇◇◇
「よっ、と」
レインスが最後に、巨石の上に降り立った。
全員がアズールとヘルメットを外す。オクルスが目を細めて言った。
「それなりの景色だな」
一行が立っている場所は、ピラミッドの上から4分の1程度の高さのトコロだった。
周囲を取り囲んでいる木々の頂点と、遠くには“廃都”を隔離している壁の上端が見える。
「さてさて~」
アルマージュは、手をこすりこすりピラミッドの中へ通じるであろう穴へ近づいた。
茶の巨木が生えている穴の隙間を覗き込む。
「何も見えねえだろアルマージュ。ほれ、ライト」
オクルスがアルマージュへライトを差し出す。
アルマージュは隙間へ顔を突っ込んだままだ。
「おい、アルマージュ?」
アルマージュは穴の奥を見つめたまま、頭を穴から出した。
目は大きく見開かれている。
「アルマージュさん?」
ララが問いかける。アルマージュは目を外さないまま、首だけを少し皆の方へ向けて、口を開いた。
だが、すぐには話し出さなかった。言う言葉を考えているようだった。
「……コレは見てもらった方が早いや」
そう言うと、ようやく目を外して、穴から一歩引いた。
レインスが穴に近づく。
「オクルス、ライト貸してよ」
「ああ」
ライトを使うが早いか、レインスは穴を覗き込んだ。
ライトを持った手の動きが止まる。
「な?」
アルマージュがレインスに問いかけた。
「『な?』って何なんだよ。ララさん、俺たちも見ようぜ」
「ちょっとちょっと」
レインスを押しのけるようにオクルスが穴を覗き込む。
彼らの隙間から、ララも穴を覗いた。
穴の先には、洞窟が広がっていた。
その洞窟の奥から、日差しが内部全体を照らしている。
覗き込んでいた三人は暫し停止した後、オクルスが言った。
ソレに返したのはアルマージュだ。
「どゆコト?」
「な?」
ピラミッド上空から、アルマージュが通信を飛ばしてきた。
レインスが見上げ、自らのヘルメットのマイクに言う。
「わかった! 少しホバリングしてて」
下の三人が話し合う。
「どうする? アルマージュはああ言ってるけど」
「まあ、ほんじゃ件の場所から入るしかないわね」
「登るんですか? ピラミッドを」
「冗談! 飛んでいきましょ」
オクルスがアルマージュに言う。
「樹のトコロへ降りてくれ! 俺たちも上がる」
「わかった!」
下の三人はアズールを稼働した。
◇◇◇
「よっ、と」
レインスが最後に、巨石の上に降り立った。
全員がアズールとヘルメットを外す。オクルスが目を細めて言った。
「それなりの景色だな」
一行が立っている場所は、ピラミッドの上から4分の1程度の高さのトコロだった。
周囲を取り囲んでいる木々の頂点と、遠くには“廃都”を隔離している壁の上端が見える。
「さてさて~」
アルマージュは、手をこすりこすりピラミッドの中へ通じるであろう穴へ近づいた。
茶の巨木が生えている穴の隙間を覗き込む。
「何も見えねえだろアルマージュ。ほれ、ライト」
オクルスがアルマージュへライトを差し出す。
アルマージュは隙間へ顔を突っ込んだままだ。
「おい、アルマージュ?」
アルマージュは穴の奥を見つめたまま、頭を穴から出した。
目は大きく見開かれている。
「アルマージュさん?」
ララが問いかける。アルマージュは目を外さないまま、首だけを少し皆の方へ向けて、口を開いた。
だが、すぐには話し出さなかった。言う言葉を考えているようだった。
「……コレは見てもらった方が早いや」
そう言うと、ようやく目を外して、穴から一歩引いた。
レインスが穴に近づく。
「オクルス、ライト貸してよ」
「ああ」
ライトを使うが早いか、レインスは穴を覗き込んだ。
ライトを持った手の動きが止まる。
「な?」
アルマージュがレインスに問いかけた。
「『な?』って何なんだよ。ララさん、俺たちも見ようぜ」
「ちょっとちょっと」
レインスを押しのけるようにオクルスが穴を覗き込む。
彼らの隙間から、ララも穴を覗いた。
穴の先には、洞窟が広がっていた。
その洞窟の奥から、日差しが内部全体を照らしている。
覗き込んでいた三人は暫し停止した後、オクルスが言った。
ソレに返したのはアルマージュだ。
「どゆコト?」
「な?」
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