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United Japanese tea varieties of Iratsuko(7)

旅立ち(2)

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「先に、各国の状況について共有しておくわね」

グリッドのホログラムに、“キョート”が表示される。
各国が色分けされており、『バクエット・ド・パクス』と『テラ・ドス・ヴェルメロス』以外の国には、それぞれ四人の人物が表示されていた。

「おいおい。パクスはわかるが、ヴェルメロスはどうなってる?」

口を開いたのはムサシだ。

「ヴェルメロスは“レア”が行方不明よ」

「何だって?」

ジュディとムサシを尻目に、アサヒはフランシスに近づいた。

「フランシスさん、『パクスはわかるが、ヴェルメロスは』って、どういうコトですか?」

「ああ。パクスは“キョート”の中の国で唯一、お前みたいな“レア”、異世界人を召喚しないんだよ」

「どうしてですか?」

「前回の召喚でしくじっちまってな。ソレが国へ大規模な被害をもたらしたから、国として召喚がトラウマになっちまったのさ」

「へえ。じゃあ、ヴェルメロスは召喚してるのに地図に“旅団”が表示されなかったから、ムサシさんは聞いたんですね」

「正解」

二人はジュディとムサシの方へ向き直す。
そちらの二人はまだ話し続けていた。

「だから、ヴェルメロス自体が自国の“レア”を確認できてないんだってば。当事国でもわからないコトが、他国である私たちにわかるワケないでしょ」

「まあ、そりゃあそうか……」

ムサシは顎に手を当て、考え込んだ。

「何よ。思い当たるフシでもあるのかしら?」

「いや、ない」

即答するムサシ。ソレをフランシスが追い打ちする。

「そういやお前、国家レベルの陰謀に巻き込まれてたんだっけか? ヴェルメロスが関係してたってオチか?」

「二人とも、ソレでも現役のFBU捜査官か? 俺は単純に『自国の“レア”を確認してない国がある』っていう事実に、キナ臭いもんを感じてるだけだ」

言いながらムサシは、心中全く違うコトを当然、感じていた。
二人とも、流石は現役のFBU捜査官だ。危ない危ない。

「確かに、異常な事態ではある。でも、今回の召喚では最初から、魔術回路に異常が発生してるわ。ソレは『デル・ゾーネ』のお嬢さまのせいだけれど、ヴェルメロスが“レア”を見失ってるのは、そういうコトが関係しているのかも」

「アサヒ君は見失わなかったろ? 他の二ヶ国だってそうだ。ヴェルメロスだけが自国の“レア”を見失うなんてコトがありうるのか?」

「結果として、ありえている。もういいかしら? 貴方が疑問を発するだけなら、他国の現状を説明して、本題に入りたいのだけれど」

「……わかった」

ムサシはコレ以上は、自分が怪しまれると思い話を打ち切った。
フランシスが言う。

「お前の良いトコロでもあるが、疑問を突き詰めるタチなのは変わってねえな」

「うるせえ」

そうフランシスに返しながらも、ムサシの頭の中では釈然としない考えが巡っていた。
ヴェルメロスが“レア”を確認していないってのは、この前のヤマで知ったヴェルメロスの“大量破壊兵器”と関係があるのか?

「じゃあ、話を戻すわね。言った通り、パクスは蚊帳の外として、ヴェルメロスは“レア”が確認できない以上、“旅団”の動き以前の問題よ。
ただ、南山城国は旅を既にスタートしている。事前の予測ではパクスの道を通るかと思われたけど、ソレに反し“童仙村”を通るみたい」
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