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United Japanese tea varieties of Iratsuko(7)

旅立ち(1)

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「なんか顔色悪いな、元々そんなに良い方じゃあなかったけど」

「ほっとけ」

“旅立ち”を目前にしての、打合せのメンバーが揃った。
アサヒ、ジュディ、フランシス、そしてムサシだ。

部屋の中央には、正方形のグリッドが空中に展開されていた。
ソレを囲むように、四人が立っている。
ジュディだけがグリッドに手を掲げて、打合せの準備をしていた。

「もうちょいかかる。ほれっ」

フランシスがグリッドを通して、小さな箱をムサシに投げた。
『カピタン』という名前のタバコだ。

「ちょっと。グリッドに物、通さないでくれる?」

「わりぃわりぃ。煙で見やすくなるから許してくんな」

ジュディが苦言を呈す。
フランシスは、グリッドのホログラムがタバコの煙に反射して、より見やすくなるコトを言い訳にした。

「やべ、先立つもん忘れちまった」

ムサシは箱からタバコを咥え出したが、自らの服を両手で探り探り言った。

「アサヒ、ほれっ」

「うわっと」

フランシスがアサヒにライターを投げ渡す。

アサヒとムサシは近寄ると、ムサシが腰を曲げてタバコを火種の元に近づけた。
アサヒが点火する。

「あざす。何かお前、慣れてんな。元いた世界じゃあガキが大人に火ぃ渡すのは普通なのか?」

「えっと……まぁ」

「準備できたわ」

ジュディが会話を遮るように言った。
フランシスは頭を掻いている。アサヒとムサシの距離を縮めようと促したが、変に近づいた部分もあったらしい。

「旅の問題ってのは別に珍しくもない、アレだろ? 出発の遅れ」

ムサシがタバコをふかしながら言う。
フランシスが答える。

「その通り。茶畑を見てたら当然だな」

「“CS園”よ」

「“CS園”を見てたらよくわかったよ。収穫が遅れてるっぽかったからな」

“CS園”の部分を強調して、ムサシが言う。

「遅れの原因は、日照量か?」

「ああ、今年に入ってU.J.Iは曇りの日がより増えてる。気分も滅入るってもんさ」

「環境破壊進めすぎだろ、我が国」

「まあ、何はともあれ」

ジュディがまたも話を仕切り直す。

「旅の出発が遅れているのは事実よ。私たちは遅れを取り戻す必要があるわ」

「なんか、皆さん、すみません。僕が教えてもらいつつの作業だったので……」

アサヒが反省する。フランシスとジュディがすぐに否定しようと

「いや、アサヒ君のせいじゃあないさ。異世界から来たヤツが茶の育て方を初めから知ってる可能性なんて限りなく少ないし、ソレを踏まえても、キミの管理は見事だったぜ。ちゃば……CS園のな」

ムサシがさらりと言う。フランシスとジュディは口を開けたまま、ムサシを見つめる。

「何だよ」

「いや、お前の言う通りだ」

「そうね、ムサシの言う通り。アサヒのお陰で、私たちのCS園とその収穫物のコンディションは例年に比べて、かなり良かったわ。安心して旅をスタートできる。
出発の遅れは、純粋に天候の不順によるものよ」

ムサシがグリッドに煙を吹きつける。ホログラムが一際、濃くなった。

「とは言え、天候不順だからと言って、他の国々が手加減してくれるわけじゃあねえしな」

「ええ。遅れは何としても、取り戻す必要がある」
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