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テラ・ドス・ヴェルメロス(7)
旅立ち(2)
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オクルスが機械を背負う。
ララの機械も、レインスの手によって調整が終わったようだ。
「よっこらしょっと」
「オクルスさん、聞いてもいいですか?」
「何?」
「この機械って、名前とかあるんですか?」
少し沈黙の間。
ララは慌てて、周囲を見回す。
「え? ……えっ?」
「いや、確かに名前知らなかったわね」
「そういやそうだな。何て言うんだオクルス?」
皆がオクルスの方を見る。当人は口元を歪めていた。
考えている時の表情だ。
「オクルス、あんた今考えて」
「“パラ・メテオ・アズール”! “パラ・メテオ・アズール”だよ!」
皆にまた少しの間。
レインスとアルマージュが噴き出した。
「いや~、ソレはストレート過ぎでしょ」
「よくお前……そのネーミングで大事なコトのように二回も言えたな」
「えっ? どういう意味なんですか?」
ララが聞く。レインスが答えようとする。
「それはね~」
「なんでだよ! 結構カッコいいだろ! 『青を殺すために』だぞ!」
「いや、センスが直球過ぎて」
「どういう意味なんですか?」
「ちょっと待て、俺に答えさせろ」
アルマージュが話に割り込む。
「『青を殺す』ってのは『殺青』って言って、お茶を蒸すことなんだよ」
「ああ、確か酵素を止めるための?」
ララは思い出していた。先日、旅団メンバーの茶園で収穫を行った後のことを。
刈り取った茶葉を工場に運び入れて行ったことだ。
お茶の葉はまず、蒸すという工程を通る。茶葉は収穫して放っておくと、酵素の働きで発酵が進むのだ。
発酵が進むと茶葉は緑茶ではなく、烏龍茶や紅茶と言われるものになってしまう。
ソレはソレでララには興味の対象だったが、彼ら旅団メンバーは“かぶせ茶(煎茶よりの)”という緑茶だったので、摘採(収穫)後すぐに蒸しを行ったのである。
「アレは『殺青』とも言うんですね」
「茶葉の青色が烏龍茶や紅茶の色に変化する前に殺す、停止させるって意味ね」
「ソレで、この機械がその名前って言うのは? 確かに、見た目もあの時に使った『蒸し機』にそっくりですね」
「そっくりなだけじゃあないんだよ。コレも蒸気で飛ぶ機関だからさあ、こんな風に」
アルマージュが機械を作動させてみせる。と、機械下部から猛烈な勢いで蒸気の白煙が噴出した。
その反動で、アルマージュの身体が地面から浮き上がる。
「うわわっ!」
ララが思わずたじろぐ。
アルマージュは地面から3メートルほど浮かび上がり、再び着地した。
「ほらな。んでコレが“パラ・メテオ・アズール”って言うんだから……」
アルマージュとレインスが再び笑い出す。
「なんでそんなにおかしいんだよ!」
「いや、今のご時世に蒸気エネルギーをそのままは使わないでしょ。せめて回転エネルギーに変えてプロペラにしたりとかすると思うけど……。そんな機械を作っちゃうだけならまだしも、ソレへのネーミングのセンスもド直球過ぎて、もう何と言うか……。ダサさの極みというか」
レインスがクスクス笑いながら言う。アルマージュは大声で笑った。
オクルスが毒づく。
「くそっ。笑わないのはララさんだけだよ」
「いや、まあ……」
正直、今一つララには笑いどころがわからなかっただけなのだが。
プラス、アルマージュの飛行を見て、自分には果たしてちゃんと操作ができるのか、不安感に襲われていたララでもあった。
ララの機械も、レインスの手によって調整が終わったようだ。
「よっこらしょっと」
「オクルスさん、聞いてもいいですか?」
「何?」
「この機械って、名前とかあるんですか?」
少し沈黙の間。
ララは慌てて、周囲を見回す。
「え? ……えっ?」
「いや、確かに名前知らなかったわね」
「そういやそうだな。何て言うんだオクルス?」
皆がオクルスの方を見る。当人は口元を歪めていた。
考えている時の表情だ。
「オクルス、あんた今考えて」
「“パラ・メテオ・アズール”! “パラ・メテオ・アズール”だよ!」
皆にまた少しの間。
レインスとアルマージュが噴き出した。
「いや~、ソレはストレート過ぎでしょ」
「よくお前……そのネーミングで大事なコトのように二回も言えたな」
「えっ? どういう意味なんですか?」
ララが聞く。レインスが答えようとする。
「それはね~」
「なんでだよ! 結構カッコいいだろ! 『青を殺すために』だぞ!」
「いや、センスが直球過ぎて」
「どういう意味なんですか?」
「ちょっと待て、俺に答えさせろ」
アルマージュが話に割り込む。
「『青を殺す』ってのは『殺青』って言って、お茶を蒸すことなんだよ」
「ああ、確か酵素を止めるための?」
ララは思い出していた。先日、旅団メンバーの茶園で収穫を行った後のことを。
刈り取った茶葉を工場に運び入れて行ったことだ。
お茶の葉はまず、蒸すという工程を通る。茶葉は収穫して放っておくと、酵素の働きで発酵が進むのだ。
発酵が進むと茶葉は緑茶ではなく、烏龍茶や紅茶と言われるものになってしまう。
ソレはソレでララには興味の対象だったが、彼ら旅団メンバーは“かぶせ茶(煎茶よりの)”という緑茶だったので、摘採(収穫)後すぐに蒸しを行ったのである。
「アレは『殺青』とも言うんですね」
「茶葉の青色が烏龍茶や紅茶の色に変化する前に殺す、停止させるって意味ね」
「ソレで、この機械がその名前って言うのは? 確かに、見た目もあの時に使った『蒸し機』にそっくりですね」
「そっくりなだけじゃあないんだよ。コレも蒸気で飛ぶ機関だからさあ、こんな風に」
アルマージュが機械を作動させてみせる。と、機械下部から猛烈な勢いで蒸気の白煙が噴出した。
その反動で、アルマージュの身体が地面から浮き上がる。
「うわわっ!」
ララが思わずたじろぐ。
アルマージュは地面から3メートルほど浮かび上がり、再び着地した。
「ほらな。んでコレが“パラ・メテオ・アズール”って言うんだから……」
アルマージュとレインスが再び笑い出す。
「なんでそんなにおかしいんだよ!」
「いや、今のご時世に蒸気エネルギーをそのままは使わないでしょ。せめて回転エネルギーに変えてプロペラにしたりとかすると思うけど……。そんな機械を作っちゃうだけならまだしも、ソレへのネーミングのセンスもド直球過ぎて、もう何と言うか……。ダサさの極みというか」
レインスがクスクス笑いながら言う。アルマージュは大声で笑った。
オクルスが毒づく。
「くそっ。笑わないのはララさんだけだよ」
「いや、まあ……」
正直、今一つララには笑いどころがわからなかっただけなのだが。
プラス、アルマージュの飛行を見て、自分には果たしてちゃんと操作ができるのか、不安感に襲われていたララでもあった。
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