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テラ・ドス・ヴェルメロス(6)
アイ・オブ・ザ・ガール
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「あのっさぁ、ララさん」
「は、はい……」
「コレ、どういうこと?」
ララは、一人の少女に詰められていた。
少女は自らの容姿を指して言う。
「いくら何でも、覆い掛けすぎじゃあないかなぁ?」
少女の背後では、オクルスとアルマージュが笑いを堪えていた。
「その、ちょっとどこまで変わるのかに興味があって……」
「じゃあ、見事成功。で、私本人は今どう思ってると思う?」
「おいレインス、ララさんだって悪気があってやったわけじゃあないんだからさあ。それに“ララ”の茶の育成に関しては、旅団メンバーはとやかく言えないはずだぜ」
「その通りだけどオクルス、あなたも黙ってて言わなかったわよね」
「『あなたも』、『わよね』ってお前……」
堪らず吹き出すオクルスとアルマージュ。
「はぁ~。まあ、仕方ないか」
「すみません、レインスさん」
「半分は冗談よ。……私もわかってて、今の今まで言えなかったわけだし」
とは言え、発案自体はオクルスであることを、ララは言えなかった。
二十日ほど前、オクルスが全員の茶園に覆いを直掛けすることをララに提案したのが、全ての始まりだった。
◇◇◇
「皆さん全員にですか?」
「そう。全く覆いを掛けないと、成人男性になっちゃうからね」
「そうなると、マズいんですか?」
「また今度詳しく言うけど、うん、マズいんだ。別に女性になりたいってワケじゃあなくて、このぐらいの、子どもの容姿の方が良いんだよ」
そう言うと、オクルスは胸を張ってみせた。
「ただ、勿論そうなると収穫のタイミングとかが難しいだろうから、オレにある程度は任せてもらえればと思う」
「うーん、わかりました」
その時、ララが少し逡巡するのを、オクルスは見逃さなかった。
「ひょっとしてララさん、性別が変わるのに興味ある?」
「いえっ! 別にそこまで深くは……」
「少しはあるのね。レインスには話つけとくから、やってみたら?」
◇◇◇
そして現在に至る。
オクルスは、自分の容姿が変わっていくのを自覚しつつも『“ララ”の決定だから……』で、言うのをためらっているレインスを見るのが楽しくて仕方なかった。
もちろん、オクルスはレインスに最初から何も伝えていない。
片やララはと言うと、持ち前の生真面目さと若干の臆病さから、オクルスに提案されたとは言えど、自分が今回の件の原因である後ろめたさを勝手に強く感じ、今はレインスに詰められて一人で反省していた。
つまるところ、オクルスだけが勝ったというワケだ。
レインスは今日の今日まで何も言わなかったが、オクルスに言われて夕食後にララが提案した「あ、明日、レインスさんの茶畑を収穫しましょうか」の一言に、ついに爆発したのだった。
「とりあえずオクルスは二発、アルマージュは一発殴るわね」
「いや待てよ。オクルスは何となくわかるが、なんでオレもなんだよ」
「笑ってるじゃん」
「……はい、笑ってません」
「……二発」
「はぁ~? まあいいや、女のパンチなんてたかが知れ」
アルマージュは吹っ飛んだ。
思わず座っていた椅子から立ち上がるオクルス。
「一発で十分だったわね」
レインスの右フック一閃で、アルマージュは完全にのびていた。
それを見て思わず、マジな顔になるオクルス。
「さて、でもオクルス、あなたは二発よ。大丈夫、一発目はボディに入れるから」
「は、はい……」
「コレ、どういうこと?」
ララは、一人の少女に詰められていた。
少女は自らの容姿を指して言う。
「いくら何でも、覆い掛けすぎじゃあないかなぁ?」
少女の背後では、オクルスとアルマージュが笑いを堪えていた。
「その、ちょっとどこまで変わるのかに興味があって……」
「じゃあ、見事成功。で、私本人は今どう思ってると思う?」
「おいレインス、ララさんだって悪気があってやったわけじゃあないんだからさあ。それに“ララ”の茶の育成に関しては、旅団メンバーはとやかく言えないはずだぜ」
「その通りだけどオクルス、あなたも黙ってて言わなかったわよね」
「『あなたも』、『わよね』ってお前……」
堪らず吹き出すオクルスとアルマージュ。
「はぁ~。まあ、仕方ないか」
「すみません、レインスさん」
「半分は冗談よ。……私もわかってて、今の今まで言えなかったわけだし」
とは言え、発案自体はオクルスであることを、ララは言えなかった。
二十日ほど前、オクルスが全員の茶園に覆いを直掛けすることをララに提案したのが、全ての始まりだった。
◇◇◇
「皆さん全員にですか?」
「そう。全く覆いを掛けないと、成人男性になっちゃうからね」
「そうなると、マズいんですか?」
「また今度詳しく言うけど、うん、マズいんだ。別に女性になりたいってワケじゃあなくて、このぐらいの、子どもの容姿の方が良いんだよ」
そう言うと、オクルスは胸を張ってみせた。
「ただ、勿論そうなると収穫のタイミングとかが難しいだろうから、オレにある程度は任せてもらえればと思う」
「うーん、わかりました」
その時、ララが少し逡巡するのを、オクルスは見逃さなかった。
「ひょっとしてララさん、性別が変わるのに興味ある?」
「いえっ! 別にそこまで深くは……」
「少しはあるのね。レインスには話つけとくから、やってみたら?」
◇◇◇
そして現在に至る。
オクルスは、自分の容姿が変わっていくのを自覚しつつも『“ララ”の決定だから……』で、言うのをためらっているレインスを見るのが楽しくて仕方なかった。
もちろん、オクルスはレインスに最初から何も伝えていない。
片やララはと言うと、持ち前の生真面目さと若干の臆病さから、オクルスに提案されたとは言えど、自分が今回の件の原因である後ろめたさを勝手に強く感じ、今はレインスに詰められて一人で反省していた。
つまるところ、オクルスだけが勝ったというワケだ。
レインスは今日の今日まで何も言わなかったが、オクルスに言われて夕食後にララが提案した「あ、明日、レインスさんの茶畑を収穫しましょうか」の一言に、ついに爆発したのだった。
「とりあえずオクルスは二発、アルマージュは一発殴るわね」
「いや待てよ。オクルスは何となくわかるが、なんでオレもなんだよ」
「笑ってるじゃん」
「……はい、笑ってません」
「……二発」
「はぁ~? まあいいや、女のパンチなんてたかが知れ」
アルマージュは吹っ飛んだ。
思わず座っていた椅子から立ち上がるオクルス。
「一発で十分だったわね」
レインスの右フック一閃で、アルマージュは完全にのびていた。
それを見て思わず、マジな顔になるオクルス。
「さて、でもオクルス、あなたは二発よ。大丈夫、一発目はボディに入れるから」
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