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テラ・ドス・ヴェルメロス(5)

煎茶畑でつかまえて(1)

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「えーっと、ここは?」

「俺たちの茶畑だよ。土地の権利は一応レインス」

ララと三人の少年は、馬に乗ってヴェルメロス中心市街から小一時間、市街が見渡せそうな小高い山へ到着した。
今は山の頂上近く、少し開けた場所にいる。目の前には木の柵で区切られた土地があり、その内側には茶の畝が十数列並んでいた。

馬を降りながら、ララが問いかける。

「ここで何をするんですか?」

「農作業かな」

「……オクルス、俺たちにとっては当然だが、ララさんにとってはそうでもないんじゃあないか?」

オクルスはレインスを見て首をかしげる。だが、すぐに気づいたようだった。

「そうか! ララさんって別の世界の人だもんね。失敬失敬」

「?」

「えーっと、俺たちは実は茶の樹と一心同体なんだよ」

「それ説明してなかったのかよ……」

毒づくアルマージュ。

「俺たちからすると、逆にララさんみたいに自分の樹がないのが不思議なんだが、別の世界の人はそういうもんらしいね。ともかく、この世界では人が生まれる時、近くに一本の茶の樹も生えるわけ。
んで、例えばその樹が枯れたら、その人も死んじゃう。逆に、その樹があればその人は死ぬことはない。だから一心同体なワケよ」

「説明下手すぎだろ……」

「……というコトは、皆さんは茶の樹の精霊か何かみたいなものなんですか?」

「そうなのか?」

レインスに振るオクルス。

「そんな良いもんだとは自分では思わないけど、まあそうなのかな」

「そうみたいです」

「じゃあ、これからここで行う農作業って重要ですね」

「あーまあそうなんだけど、旅の準備も兼ねてるんだ」

馬を近場の木に繋ぐ。茶園の脇には、小屋と言うにはやや大きめな木造の建物があった。
そこへ馬で運んできた荷物を入れているうちに日は沈んだが、暖炉に薪をくべると室内は明るくなった。

落ち着いたところで、アルマージュがカップを持ってきて皆に配る。
中には、爽快で芳しい香りの液体が入っていた。

「これ、お前か?」

「ああ、良い香りの煎茶だろ」

「結構苦味強いのな」

「お前たちよりも厳しい世界に生きようと思うと、あんまり冠(かぶ)せると良いことなくてね」

ララには会話の内容はさっぱりわからなかったが、煎茶を啜る。
じわりとした旨味と、少しの苦味。最後には鼻に抜ける緑の香りがあった。
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