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バクエット・ド・パクス(4)

ギャザリング(1)

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ミサトは木漏れ日差し込む草原に寝転びながら、銃を掲げていた。
普通のトカレフだが、銃身に三本の茨が巻き付いている。

ミサトが気を変えると、銃は急須の形に変化した。
真っ茶色の味気ない形だ。

「やっぱだせぇ……」

銃の形に戻す。

「こっちのが幾分マシだけど、茨が邪魔でズボンのケツに突っ込めねえんだよな……」

「ミサトさーん!」

ミサト目がけて、手を振りながら走ってくる巫女装束の女の子。カトリーヌだ。
背後には十名程度の少女も一緒だ。

「うへぇ、来た来た」

「何処に行かれたのかと思いました。急須の練習ですか?」

この場合の『急須の練習』とは、つまるところ『銃の練習』だ。
理想主義、平和を是とするこの国独特の言い方だ。

「いや、実は急須は得意なんだ。前の世界でもよく扱ってたから」

「頼もしいです♪ さて、そろそろ旅の仲間を選んでいただきたいと思いまして、お連れしました」

そろそろそんな頃だろうと思ったよ、とミサト。
少女たちは色とりどりではあれど皆、巫女装束だった。ただ、同じ装束でもデザインが違い、露出度には若干の差。

「さあ、お選びください」

異性とか、私にその趣味があればグッとくるんだろうけどなあ、とミサト。

「巫女装束って、制服じゃあないよね?」

「ええ。今は選定の儀の、神聖なる場ですので♪」

ふーむ、それじゃあ……

「この娘とこの娘」

身長も周りと比較すると高めでスラっとしていて、長い黒髪が風に流れている娘と、
青髪ショート、若干ちびっこいけど抱き心地良さそうな娘を選んだ。

「ミサトさん、あと一人です」

「それ、あなたで」

「ええ? 私ですか♪」

わかってただろてめぇ。

「うん、ここじゃあ一番長い付き合いだし」

「嬉しいです♪」

一番、頭も切れそうだしね、とミサト。
なんか適当にやってるけど、これから暗黒山脈への旅に出るのだ。

ミサトにとっては、その旅路自体は全く知らないものではない。
なので、他の国の“ぺルソン・ラー”を出し抜く自信はある。

だが、とても一人では無理だ。“ぺルソン・ラー”の役割は、あくまで同行者の能力を引き出すことだ。自分が先陣を切って活躍することではない。
それを考えると、どうもこの国を取り仕切っているような実力を持つ、カトリーヌは引き抜きたい。

「お選びいただいた娘は、黒い髪の娘がノワール・シューベルト。青い髪の娘がブレーズ・イメールシュテです」

二人は、指を絡ませながら向き合って喜んでいる。
一通り喜び終えると、カオルの方を向いた。

「「よろしくお願いします♪♪」」

うへぇ、キミらも音符ボイスかよ。
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