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テラ・ドス・ヴェルメロス(4)

ギャザリング(2)

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ララは急須を机に置く。

「ってことは、コレがそうか?」

「そう。見てろ」

ララは急須に再度触れる。三人は周りの視線を隠すように、上体を机に被せる。
急須は、6バレルピストルに変化した。
「な?」とオクルス。

「さ、触ってもいいか?」

「どうぞ」

「失礼します」

銃に手を伸ばすアルマージュ。質感を確かめているようだ。

「手に取ってもいいか?」

「いいけど、すぐ戻るぞ」

「いや、ソレも見たい」

銃を手に取るアルマージュ。ララの手から離れた途端、銃は急須に戻った。

「信用したか?」

オクルスの問いに答えず、急須を戻すアルマージュ。口は真一文字で、瞳は見開かれていた。

「この人に、俺が撃ち方を教えるって?」

「おうよ。幾らでやれる?」

「とんでもないだろ。是非やらせて欲しい」

「おーっしゃ、交渉成立だ。旅団にも入ってもらうぞ」

「何? 旅団にもか?」

「もちろんだろ」

両手を握りしめ、下を向いて唸りながら震えだすアルマージュ。

「そんなに嫌か?」

「まさか! これは歓喜の震えだよ!」

ララの方を向く。

「ララさん、どうぞよろしくお願いします! 先程は無礼な振る舞いをして、誠に申し訳ない。俺はアルマージュ・ファーゴです」

「あ、どうも。自分の本当の名前も記憶喪失で思い出せなくて……そのままララでお願いします」

「オヤジ! 七面鳥を頼む! あと、ビールを4つ!」

「おいおい、飲めねえぞ」

「あるだけでテンション上がんだよ! 要らなけりゃそこらの奴にやれば、ついでに盛り上がれるってもんだし」

三人は顔を見合わせる。レインスが手のひらを上に向けて仕方ないといった動作をすると、他の二人も笑ってそれに応じた。

「で、計画は?」

アルマージュが問う。

「計画ってほど大それたもんはないが、しばらくはララさんに銃の手ほどきかな」

「任せろ。10日でモノになるよ」

「むしろそっからのが長くなるからな、俺たちの準備があるし」

「例によって、ソレもララさんか」

「もちろんだろ、ララさん以外誰がやるってんだ」

ララは会話を聞いて、銃の練習以外にも何かすることがあるのかと思った。
別に嫌なワケではない。むしろ、次々と何かが起こり、スゴく新鮮味を感じる日々を楽しんでいた。
記憶を失う前の自分は、何となくこのような状況を望んでいたのだと思う。

「じゃあ今が春先で……ってそりゃあそうか。“召喚”はいつもそのタイミングだもんな。そしたら、出発は大体6月だな」

「毎回この“旅”では、どこの国も競って5月下旬に整うように準備するっていうね」

「まあそうだがレインス、準備をしっかり6月までやった国が成果を残すとも言うぜ」

「ま、全てはララさん次第だな」

「お待ちどお~」

店の娘が、注文したメニューを持ってくる。

「あざっす! なあ、この人と握手しといた方が良いぞ」

アルマージュが娘に、ララとの握手を促す。

「誰なの?」

「歴史に名を残す人さ」
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