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バクエット・ド・パクス(3)
現実(サイコパスな彼女)は非情である
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「で、ここは南山城国じゃあないってわけね?」
語気強めに彼女は聞いた。
「はい♪ ぺルソン・ラーさま!」
その語気をもろともせず、目の前の巫女装束の少女は答える。
その一言が、彼女には堪えた。
「最悪じゃん……嫌な予感しかしねえ……」
頭を抱える。
「ところで、ぺルソン・ラーさま?」
「あい?」
「お名前は、何と仰るのですか?」
「あー、恭仁(くに)ミサト。ミサトでいいよ」
「ミサトさまっ! 良いお名前ですね♪」
耳には嬉しいがクセ強いな、その音符ついてそうなアニメ声、と思うミサト。
「で、巫女装束の似合うお姉ちゃんはなんてえの?」
「わぁ! 似合ってるですって、嬉しい! カトリーヌ・ソルティエールです」
「……その服装で?」
「ええ? おかしいですか? “キョート”がまだ一つの国だった時から受け継がれる、伝統的な服装なのですが」
「なるほど、お隣の南山城国は今でも和装だもんね。んでここはやっぱバクエット・ド・パクスってわけだ」
バクエット・ド・パクス。意味は“平和の花束”で、南山城国流の呼び方をすれば“和束(わづか)”。
“キョート”の中ではトップクラスの栄華を誇っていたが、かつて発生した5度目の“召喚”によって、詳細不明の不可逆な事象が発生した国。
そしてその事象の影響により、現在はポスト・アポカリプスとも呼べそうな状態で、しかしながらある種の自然との共生状態を理想として継続している国。
それがまさかここまで女の子女の子しているとは、ミサトも知らなかったが。
「我々の国には、もうぺルソン・ラーさまは召喚されないと思っていました。召喚のための儀式さえ、今では禁忌として行っておりませんでしたので」
「でも、皆で神社に集まってたじゃん」
「あれは……もう二度と“5度目”のようなことにならないようにです」
気になるけど、これ以上は聞き出せないだろうな、とミサトは思った。
“5度目”については、この国では決して口に出してはいけない事柄だ。それに、そんなに興味もなかった。テンションも下がってるし。
「で、あんまり聞きたくないんだけど」
「なんなりと仰ってください♪」
「私、引き受けなかったら“再召喚”かな?」
「それは“ぺルソン・ラー”さまのお役目ですので♪ “召喚”自体が“5度目”のようにならないかは心配でしたが、ぺルソン・ラーさまの降臨自体はこの上なく嬉しいことです。お役目を拒否されるかどうかはご自由ですが、その際に何もしないことによって“5度目”のようにならないという保証もございませんし……お断りの際は、“再召喚”させていただきます♪」
この子、意外とサイコパスだな……とミサト。いっけね、声に出てたかな。まあ、出ててもこの子は気にするまい。
“再召喚”。つまり私は“消滅”させられて、代わりが喚ばれる。
それは流石にご免こうむる。
「はぁぁぁぁぁ~」
長いため息の後に、まあ、南山城国のメンズに会えるかもだしと自分を納得させて、応える。
「わかりました、受けますよ。受けりゃあいいんでしょう受けりゃあ」
「ありがとうございます♪」
カトリーヌがするすると近づき、ミサトの手を胸に抱える。
顔が近い顔が。
語気強めに彼女は聞いた。
「はい♪ ぺルソン・ラーさま!」
その語気をもろともせず、目の前の巫女装束の少女は答える。
その一言が、彼女には堪えた。
「最悪じゃん……嫌な予感しかしねえ……」
頭を抱える。
「ところで、ぺルソン・ラーさま?」
「あい?」
「お名前は、何と仰るのですか?」
「あー、恭仁(くに)ミサト。ミサトでいいよ」
「ミサトさまっ! 良いお名前ですね♪」
耳には嬉しいがクセ強いな、その音符ついてそうなアニメ声、と思うミサト。
「で、巫女装束の似合うお姉ちゃんはなんてえの?」
「わぁ! 似合ってるですって、嬉しい! カトリーヌ・ソルティエールです」
「……その服装で?」
「ええ? おかしいですか? “キョート”がまだ一つの国だった時から受け継がれる、伝統的な服装なのですが」
「なるほど、お隣の南山城国は今でも和装だもんね。んでここはやっぱバクエット・ド・パクスってわけだ」
バクエット・ド・パクス。意味は“平和の花束”で、南山城国流の呼び方をすれば“和束(わづか)”。
“キョート”の中ではトップクラスの栄華を誇っていたが、かつて発生した5度目の“召喚”によって、詳細不明の不可逆な事象が発生した国。
そしてその事象の影響により、現在はポスト・アポカリプスとも呼べそうな状態で、しかしながらある種の自然との共生状態を理想として継続している国。
それがまさかここまで女の子女の子しているとは、ミサトも知らなかったが。
「我々の国には、もうぺルソン・ラーさまは召喚されないと思っていました。召喚のための儀式さえ、今では禁忌として行っておりませんでしたので」
「でも、皆で神社に集まってたじゃん」
「あれは……もう二度と“5度目”のようなことにならないようにです」
気になるけど、これ以上は聞き出せないだろうな、とミサトは思った。
“5度目”については、この国では決して口に出してはいけない事柄だ。それに、そんなに興味もなかった。テンションも下がってるし。
「で、あんまり聞きたくないんだけど」
「なんなりと仰ってください♪」
「私、引き受けなかったら“再召喚”かな?」
「それは“ぺルソン・ラー”さまのお役目ですので♪ “召喚”自体が“5度目”のようにならないかは心配でしたが、ぺルソン・ラーさまの降臨自体はこの上なく嬉しいことです。お役目を拒否されるかどうかはご自由ですが、その際に何もしないことによって“5度目”のようにならないという保証もございませんし……お断りの際は、“再召喚”させていただきます♪」
この子、意外とサイコパスだな……とミサト。いっけね、声に出てたかな。まあ、出ててもこの子は気にするまい。
“再召喚”。つまり私は“消滅”させられて、代わりが喚ばれる。
それは流石にご免こうむる。
「はぁぁぁぁぁ~」
長いため息の後に、まあ、南山城国のメンズに会えるかもだしと自分を納得させて、応える。
「わかりました、受けますよ。受けりゃあいいんでしょう受けりゃあ」
「ありがとうございます♪」
カトリーヌがするすると近づき、ミサトの手を胸に抱える。
顔が近い顔が。
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