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テラ・ドス・ヴェルメロス(3)
黄金銃を持つララ
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「急須は覚えてんだね」
「あ、そうですね」
後から下りてきたレインスがララに問う。
「俺のこの英雄的スライディングへの誉め言葉はなしかよ」
「ナイスキャッチっつったろ」
急須二つをすんでのところでキャッチしたオクルスが毒づく。
彼は立ち上がり、机の上に急須二つを戻した。
その机の上には、ざっと見て50個近い急須が千鳥足状に、ジグザグに置かれていた。
手前側の列の急須は持ち手のところが机上からはみ出しているものがいくつかあり、その中の二つに、ララの背中が当たったらしい。
約50個の急須を見るのに、視界を端から端まで動かす必要がある。
どの急須も、一つとして同じ形のものはなかったが、色合いは似通っていた。黄金色を基調としていた。
「これがお二人が狙っていたものなんですか?」
「この中のどれか一つがね」
オクルスが答える。
「この中のどれか一つが、“銃”なんだ」
「なるほど、オクルス。こりゃあ見分けがつかないわけだ」
「だろ。ララさんがいないとね」
二人に視線を向けられ、ララは困惑気味だ。
形に微妙な違いがそれぞれあれど、どれも似たような急須にしか見えなかった。ましてや“銃”になど。
「どういうこと……なんですか?」
「旅に出る“ララ”は、“銃”を所持して旅立つんだよ、言い伝えでは。で、その銃は急須の形をしてるんだけど、“ララ”が使う時には銃に変わるってわけ」
「だから、自分が触ればどれかわかると?」
「そういうこと。直感で選んじゃって。失敗オッケーだし」
急須と銃なんて不思議な話だが、まあ自分の存在自体が不思議な話だ。
そう不思議に納得して、ララは選ぶことにした。
まずは目についた物に近づいた。
黄金色の急須が並ぶ中、一つだけ赤い鈍色を含んだものがあった。
手に取る。変化しなかった。
「さすがに一発では無理だよね」とレインス。
◇◇◇
50個全てに触れた。だがどれも変化しなかった。
最後の一個を固唾を飲んで見ていたオクルスとレインス。それも変化しないのを見て、レインスが言った。
「だぁあ~! なんで無いんだ」
「……いや、この中にあるはずだぞ。何か条件があるのかな」
「持ち方の問題とかか?」
「『銃として使う!』っていう明確な意志かな」
「とりあえず、持ち方を銃みたいに持ってみよう」
言われるまま、もう一度急須に近づくララ。
最初に気になった、赤い鈍色を含む急須で試す。
すると、急須の形が変化し、6バレルピストルへと変化した。
持ち手のすぐ上に、メーターらしきものも現れた。
「「「おお~!」」」と三人。
「俺にも持たせて」とオクルス。
オクルスが持つが早いか、銃は急須に戻った。持ち方を変えても変化しない。
レインスも試したが、同様だった。
「まあとりあえず見つかったな。拝借して撤退だ。帰って試そう」
「あ、そうですね」
後から下りてきたレインスがララに問う。
「俺のこの英雄的スライディングへの誉め言葉はなしかよ」
「ナイスキャッチっつったろ」
急須二つをすんでのところでキャッチしたオクルスが毒づく。
彼は立ち上がり、机の上に急須二つを戻した。
その机の上には、ざっと見て50個近い急須が千鳥足状に、ジグザグに置かれていた。
手前側の列の急須は持ち手のところが机上からはみ出しているものがいくつかあり、その中の二つに、ララの背中が当たったらしい。
約50個の急須を見るのに、視界を端から端まで動かす必要がある。
どの急須も、一つとして同じ形のものはなかったが、色合いは似通っていた。黄金色を基調としていた。
「これがお二人が狙っていたものなんですか?」
「この中のどれか一つがね」
オクルスが答える。
「この中のどれか一つが、“銃”なんだ」
「なるほど、オクルス。こりゃあ見分けがつかないわけだ」
「だろ。ララさんがいないとね」
二人に視線を向けられ、ララは困惑気味だ。
形に微妙な違いがそれぞれあれど、どれも似たような急須にしか見えなかった。ましてや“銃”になど。
「どういうこと……なんですか?」
「旅に出る“ララ”は、“銃”を所持して旅立つんだよ、言い伝えでは。で、その銃は急須の形をしてるんだけど、“ララ”が使う時には銃に変わるってわけ」
「だから、自分が触ればどれかわかると?」
「そういうこと。直感で選んじゃって。失敗オッケーだし」
急須と銃なんて不思議な話だが、まあ自分の存在自体が不思議な話だ。
そう不思議に納得して、ララは選ぶことにした。
まずは目についた物に近づいた。
黄金色の急須が並ぶ中、一つだけ赤い鈍色を含んだものがあった。
手に取る。変化しなかった。
「さすがに一発では無理だよね」とレインス。
◇◇◇
50個全てに触れた。だがどれも変化しなかった。
最後の一個を固唾を飲んで見ていたオクルスとレインス。それも変化しないのを見て、レインスが言った。
「だぁあ~! なんで無いんだ」
「……いや、この中にあるはずだぞ。何か条件があるのかな」
「持ち方の問題とかか?」
「『銃として使う!』っていう明確な意志かな」
「とりあえず、持ち方を銃みたいに持ってみよう」
言われるまま、もう一度急須に近づくララ。
最初に気になった、赤い鈍色を含む急須で試す。
すると、急須の形が変化し、6バレルピストルへと変化した。
持ち手のすぐ上に、メーターらしきものも現れた。
「「「おお~!」」」と三人。
「俺にも持たせて」とオクルス。
オクルスが持つが早いか、銃は急須に戻った。持ち方を変えても変化しない。
レインスも試したが、同様だった。
「まあとりあえず見つかったな。拝借して撤退だ。帰って試そう」
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