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United Japanese tea varieties of Iratsuko(3)

塩味の効いた朝食

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アサヒは目が覚めた。目の前には、端正な人形の顔があった。アサヒは知らないが、ドールを思わせる顔だ。
寝起きの頭が、思考を麻痺させていた。ただ「キレイだなあ……」と見つめる。

と、その人形が瞬きした。驚きの感覚がアサヒの頭の頂点から突き刺すように足先まで走った。

「うわっ!」

と後ろに勢いよく頭を引いて、後頭部を壁に強打した。

「何してるの、ケガするわよ」

「っつう……いや、ジュディさんこそ何してたんですか」

「完全に生身の人間の顔を、まじまじと見る機会は少なくてね。さあ、起きましょうか」

アサヒは徐々に、自分の置かれた状況を思い出していた。
昨日、異世界とかいうところに気づいたら“誘拐”されてしまっていて、あれよあれよという間に、“特捜6課”なるチームに配属されてしまったこと。
この“国”が捜索してくれていたっていうくらい自分は重要人物だって聞いたけど、寝るところがないって言われたこと。

「留置所なら空いてるぜ、それか俺の部屋」というフランシスの提案に、ジュディが「それなら留置所一択ね」と返したこと。
結局、ジュディの部屋で寝ることになってしまったこと(それに対してのフランシスの一言は「なるほど、留置所ね」)。

小さな窓からは、高層ビル群が輝いていた。青空はほぼ見えなかった。

「朝食よ。私は食べたことがないから、味は保証できないけど」

フレンチスクランブルにベビーリーフ、味噌汁と白米という、およそ異世界らしくない朝食だった。
アサヒは朝食の前に立ったまま、しばらくそれらを見つめてしまった。

「何かおかしい? この国の異世界についての研究は、かなり進んでいるはずなのだけれど。朝食についても」

アサヒは、ぽろぽろと泣き出してしまった。

「ちょっと! どうしたの?」

アサヒの前に膝をついて、顔を窺うジュディ。
鼻を啜りながらアサヒは笑って、答えた。

「いや、こんな朝食まで研究が進んでるのにビックリして……へへ」

「……心配させないでよ。ほら、食べて」

ジュディは、アサヒが泣き出した本当の理由を知っていた。
だが、会って二日目の相手にそれを話されるのは、アサヒにとっては嫌に違いないのだ。
それにその“理由”は、これからアサヒを協力させ続けるのに“利用”できる。

我ながら、反吐が出そうな振る舞いだ。と、ジュディは思った。
このクソみたいな世界で育ってきた子供ならともかく、異世界で育った子供なのだ。
そんな相手を利用するような振る舞いは、赤子に対して行うのと一緒で、気分が良いはずがない。

「んっ!」

「味が良くなかったかしら?」

「……塩味が効いてますね」

「……それはあなたの味付けね」
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