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テラ・ドス・ヴェルメロス(2)

旅団の少年たち

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「で、今はその5か国が覇権を争ってるってワケよ。というのが“キョート”の外、暗黒山脈のさらに向こうの、海も越えて別の大陸から“南蛮”の人々がやって来たからさ。
南蛮を制する国は“キョート”を制するってことで、何としてもどの国もそれを成し遂げたいわけ」

「それと自分が、どう関係するんですか?」

「まあまあララさん。話は最後までゆっくり聞きなって」

すっかり日も暮れて、ガス燈の明かりの中で、オクルスの講義が続いていた。

「南蛮を制するために必要なカギは何か? それがもうすぐ東の暗黒山脈を越えて“キョート”に届くんだ。
時を同じくして、国家存亡の危機に“漂着”する5人の“ララ”さんとともに、それぞれの国はそのカギを手にするため、東の暗黒山脈へと“旅団”を派遣する。
で、その旅団メンバーがこの国“テラ・ドス・ヴェルメロス”では、俺たちとララさんってワケ。いやー、燃えてきたー!」

名前を思い出せないがためにすっかり“ララ”が名前として定着してしまった。
そんなララは、他の記憶がないためか、意外と話をすんなり受け入れられた。
とは言え、オクルスの紡ぐ話の中では、自分の役割はかなり大変そうだったが。

「ただ、オクルス」

「なんだ?」

「歴史的に、旅団は4人で構成されるんだろ。あと一人足んねえぞ」

「何だそんなことか。レインス、あと一人なんてこれからどうにでもなるだろ。ララさんを手に入れた俺たちだぞ」

「……まっ、そりゃそうか」

ララは何か、オクルスとスカーフの少年、レインスのかけ合いに面白さを感じ始めていた。
悲観的だが何とはなしに協力するレインスと、楽観的でしかも世界を変えようと言わんばかりのオクルスの二人は、絶妙なコンビに見えた。

「で、次はどうする?」

レインスが問いかける。

「まあ仲間のもう一人は何とかなる。それよりララさんには、先立つものがなくっちゃあね」

「例の銃か?」

「もち、例の銃」

「譲ってもらう?」

「冗談だろ」

二人がニヤけて、ララの方を向く。

「盗んで、ララさんにプレゼントだ」
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