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シュロッス・イン・デル・ゾーネ(2)
オートラグ口頭試問(1)
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さあ、やってまいりました。
ツヅキは今、十数名に前方をぐるりと半円形に取り囲まれていた。圧迫面接もいいところだ。
「さて、役者は揃ったようだ。ではこれより“ゼルテーネ”殿に対する、口頭試問を開催する」
正面の、白髭を蓄えた老人が口を開いた。某魔法学校の校長よりも目つきは鋭く、また声もどこか辛辣さがある。
「ゼルテーネ殿。まずはようこそ、デル・ゾーネへ」
ぱちぱちと申し訳程度の拍手が周囲から放たれる。
「私はザターン・ヴァーシュリンクト・ゼイネン・ゾーン。本来はザターンだが、ヴァーシュと呼んでくれて構わない。私の周囲の人間は私とともに“オートラグ”のメンバーだ」
とりあえず目の前の爺さんはヴァーシュだ、ということだけツヅキは了解した。
メイはここに来るまでに、必要最低限の事前情報だけは教えてくれた。
これから自分は“口頭試問”を受けさせられるが、ありのまま答えていいこと。
“口頭試問”では最初に、“オートラグ”大法官のヴァーシュから“ゼルテーネ”向けに、この世界等々に関する説明があること。
その後に“口頭試問”本題、『魔術の諸式に対する応答』が行われること。
……まるで参考にならない事前情報ありがとうございます、だ。
メイはツヅキが察するに、“心中お察し”技術のせいで言葉での伝達能力が低いようだった。
いや、単に本人の性格に由来するだけかもしれないが。
「ゼルテーネ殿。混乱していることと心中お察し申し上げる」
これは本当の意味の“心中お察し”かな、と考えてみるツヅキ。
「これからの私の説明で、少しでもその混乱を取り除ければと願う。まず貴殿は、貴殿の世界から見ると異世界に召喚された、ということになる。
貴殿は幸い、そのような空想小説の多い世界の出身ということで、その点に関してはすんなり受け入れられたようだと、メイ・ペイルンオーリンから確認している。いかがかね?」
「まあ……その通りですね」
「よろしい。我々としてもその方が助かる」
正直なところ、ツヅキ自身の性格もあった。
ツヅキは、割と冷静にどのような場面でも受け入れられる性格だった。少しサイコパス気質気味かも、とは自覚している。
「さて、貴殿の召喚されたこの地はシュロッス・イン・デル・ゾーネ。これについてもメイから説明があったかと思う。我々“オートラグ”が主に魔術によって、政(まつりごと)を為している国だ。
貴殿が召喚されたのは偶然ではない。我々の世界では国家規模の危機の際、異世界より“ゼルテーネ”が5人召喚される」
「え? 5人?」
「そうだ。それぞれの国にだ」
「それぞれの国……ですか?」
「ふむ。やはりメイはそこまでは説明しておらぬか」
ツヅキの背後、扉のそばに立っているメイが言う。
「でしゃばりすぎてはいけませんので。大法官」
「ふむ……」
ツヅキも大法官と同じ気持ちだった。
「では、5つの国と5人のゼルテーネについても説明するとしよう」
ツヅキは今、十数名に前方をぐるりと半円形に取り囲まれていた。圧迫面接もいいところだ。
「さて、役者は揃ったようだ。ではこれより“ゼルテーネ”殿に対する、口頭試問を開催する」
正面の、白髭を蓄えた老人が口を開いた。某魔法学校の校長よりも目つきは鋭く、また声もどこか辛辣さがある。
「ゼルテーネ殿。まずはようこそ、デル・ゾーネへ」
ぱちぱちと申し訳程度の拍手が周囲から放たれる。
「私はザターン・ヴァーシュリンクト・ゼイネン・ゾーン。本来はザターンだが、ヴァーシュと呼んでくれて構わない。私の周囲の人間は私とともに“オートラグ”のメンバーだ」
とりあえず目の前の爺さんはヴァーシュだ、ということだけツヅキは了解した。
メイはここに来るまでに、必要最低限の事前情報だけは教えてくれた。
これから自分は“口頭試問”を受けさせられるが、ありのまま答えていいこと。
“口頭試問”では最初に、“オートラグ”大法官のヴァーシュから“ゼルテーネ”向けに、この世界等々に関する説明があること。
その後に“口頭試問”本題、『魔術の諸式に対する応答』が行われること。
……まるで参考にならない事前情報ありがとうございます、だ。
メイはツヅキが察するに、“心中お察し”技術のせいで言葉での伝達能力が低いようだった。
いや、単に本人の性格に由来するだけかもしれないが。
「ゼルテーネ殿。混乱していることと心中お察し申し上げる」
これは本当の意味の“心中お察し”かな、と考えてみるツヅキ。
「これからの私の説明で、少しでもその混乱を取り除ければと願う。まず貴殿は、貴殿の世界から見ると異世界に召喚された、ということになる。
貴殿は幸い、そのような空想小説の多い世界の出身ということで、その点に関してはすんなり受け入れられたようだと、メイ・ペイルンオーリンから確認している。いかがかね?」
「まあ……その通りですね」
「よろしい。我々としてもその方が助かる」
正直なところ、ツヅキ自身の性格もあった。
ツヅキは、割と冷静にどのような場面でも受け入れられる性格だった。少しサイコパス気質気味かも、とは自覚している。
「さて、貴殿の召喚されたこの地はシュロッス・イン・デル・ゾーネ。これについてもメイから説明があったかと思う。我々“オートラグ”が主に魔術によって、政(まつりごと)を為している国だ。
貴殿が召喚されたのは偶然ではない。我々の世界では国家規模の危機の際、異世界より“ゼルテーネ”が5人召喚される」
「え? 5人?」
「そうだ。それぞれの国にだ」
「それぞれの国……ですか?」
「ふむ。やはりメイはそこまでは説明しておらぬか」
ツヅキの背後、扉のそばに立っているメイが言う。
「でしゃばりすぎてはいけませんので。大法官」
「ふむ……」
ツヅキも大法官と同じ気持ちだった。
「では、5つの国と5人のゼルテーネについても説明するとしよう」
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