上 下
77 / 83

魔導師との戦い 2

しおりを挟む
 オリビアとアレスくんは人気の無い広場で二人組の男女と対峙していた。

「アレスくん、一緒に戦うより別々に戦った方が良いと思うんだけど、どう?」

「そうですね、僕はお姉さんの戦いかたも分からないので、向こうに連携されるよりは良いかもしれないですね。それでどちらを受け持ちますか?」

「私はどっちでも大丈夫。」

「分担して戦いたいなら乗ってやるからそっちの女戦士と戦わせろよ。俺よりも脚力があるやつなんて仲間以外では久しぶりだからな。」

「烈火って負けず嫌いよね。」

「俺たちは負けたままじゃ駄目だって事だ。」

「分かりました。それじゃあ僕はそちらのローブを着た方とやりますか。」

 よし、オリビアの戦うのは近接タイプの男みたいだな。

 油断は出来ないがオリビアは身体能力勝負ならまだ勝ち目があるきはする。

「そしたらこっちは向こうで戦うかな。」

 そう言うと烈火と名乗った男は広場の端に移動していく。

「お姉さん、気を付けて下さいね。僕もあの女性を倒し次第助けに行きますから、それまで耐えてください。」

「分かった。」

『逆にアレスくんは大丈夫なのかな。』

『なんか自信満々だから大丈夫じゃない?』

『まあ、勇者だから弱くはないだろうけど、相手に勇者のスキルが通用すれば良いんだけどね。』

『神眼とか?』

『うん、他にも強い勇者の場合は女神の加護ってのがあったりするんだけど、女神の加護の数は個人差があるから加護の数や能力次第では危ないかも……』

『じゃあ、こっちを早く終わらせよう。』

『なかなか簡単には勝たせてくれなそうだけどね。見た感じオリビアと同じタイプの近接戦闘を得意とするみたいだけど、他にもなにかあるかもしれないしね。』

 最悪、また私が主導権をもらい戦う事になるけど、まだ使いたくないな……

 たぶん、オリビアはもう一人のローブを着た方が苦手なタイプだと思うから、アレスくんが負けた時の為にも温存しておきたいんだよね。

「ここで良いか。さあ、殺し合いを始めようか。」

 烈火は背中の巨大な剣を右手で軽々と持ち構える。

 それにあわせてオリビアは左手に魔導書を持ちながら右手を前にだし、構える。

「あ? 魔導書を持ちながら戦うにしては変な構えだな?」

「私は格闘技で相手をする」

 本来なら私が剣に変化したものを使うのだが、現在の私はオリビアを変身させる事しか出来ないので、剣に変化する事は出来なかった。

 どこかで剣を買いたかったが、ダンジョンの村にはろくな武器は無かったので今は格闘技で対応するしかなかった。

「俺は相手が素手だろうと手加減はしねーぜ?」

「そんな心配はいらない。私は格闘技の方が得意。」

 オリビアには剣術の他に格闘技全般を教えていたので武器がなくても戦えるが、やはり武器を持つ敵を相手にするのはかなりのリスクがあるから、出来れば武器で戦って欲しかったなと思う。

「なら安心だな!」

 烈火は巨大な剣を持っているとは思えない速度でオリビアに迫ってきた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活

天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

悪役令嬢にざまぁされた王子のその後

柚木崎 史乃
ファンタジー
王子アルフレッドは、婚約者である侯爵令嬢レティシアに窃盗の濡れ衣を着せ陥れようとした罪で父王から廃嫡を言い渡され、国外に追放された。 その後、炭鉱の町で鉱夫として働くアルフレッドは反省するどころかレティシアや彼女の味方をした弟への恨みを募らせていく。 そんなある日、アルフレッドは行く当てのない訳ありの少女マリエルを拾う。 マリエルを養子として迎え、共に生活するうちにアルフレッドはやがて自身の過去の過ちを猛省するようになり改心していった。 人生がいい方向に変わったように見えたが……平穏な生活は長く続かず、事態は思わぬ方向へ動き出したのだった。

もう死んでしまった私へ

ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。 幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか? 今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!! ゆるゆる設定です。

悪役令嬢の去った後、残された物は

たぬまる
恋愛
公爵令嬢シルビアが誕生パーティーで断罪され追放される。 シルビアは喜び去って行き 残された者達に不幸が降り注ぐ 気分転換に短編を書いてみました。

オタクおばさん転生する

ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。 天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。 投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...