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エサーナ

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 オリビアとローラ様は無事に学院へ到着したが、ローラ様が心配だったのもあり職員室へ連れていった。

「何故か朝より体調が良さそうなので大丈夫ですよ?」

「また倒れたら危ない」

「そうだぜ、また王女様が倒れたら周りが大変だぜ」

「確かにそうですね……」

 ローラ様は体調が良さそうだから普通に授業を受けたいと言っていたが、オリビアとガブエルくんに危ないと言われて渋々と職員室に来ていたのである。

 職員室に入り、担任のエサーナ先生のところへ向かう。

「あら、どうしたの? もうすぐ授業が始まるわよ」

「エサーナ先生、ローラが学院へ向かう途中に倒れたから連れてきた」

「えっ! 大丈夫!?」

「今は大丈夫なんですが、また倒れたら良くないって言われて……」

「そうよ! ローラさんは王女でもあるんですから、倒れたら大問題になりますよ!」

「すいません……」

「とりあえず、保健室に連れていくのでオリビアさんたちは教室に戻っていて下さい」


 オリビアは教室に戻って席に座ってエサーナ先生を待っていた。

『ローラは大丈夫なのかな』

『とりあえずは大丈夫だと思うよ。ローラ様の魔力を調べた時は危険な状態だったけど、私がかなりの余剰魔力を吸収したから数日間は魔力不全にはならないからね』

『そうなんだ? じゃあ、ずっとゾディアがローラの魔力を吸収したらローラは大丈夫なの?』

『まあ、体調だけの話ならば私が魔力を吸収すれば大丈夫だけど、根本的な治療をするならローラ様が魔力操作を覚えるしかないかな。それに魔力操作を覚えないと外のスキルもほとんど覚えられないからね』

『やっぱり魔力操作なんだね』

『うん、魔力不全になる人が魔力操作をしっかりと使えてスキルを覚えればオリビアみたいにかなり強くなれる要素はあるんだよね』

『そうなんだ! ならローラが良くなるのが楽しみだね』

『……ローラ様が強くなったとしてもオリビアと対等にはなるかは微妙かな。まだ勇者のほうが強いと思うよ』

『閃光の勇者? あまり強そうには見えないよ?』

『あれが本物の勇者ならかなり強い筈だよ。時代が変わって勇者も変わってしまった可能性もあるけどね』

 冒険者組合にいたおじさんは勇者の神眼を持っていたけど勇者と呼べるほどの強さを持たない雑魚だったし、閃光の勇者は若すぎるから本物かどうかは私にも分からないんだよね。

 本気の戦いを見れたら勇者特有のスキルを使えるかで判断出来るけど……

「みなさんお待たせしました。授業を始めましょう」

 ローラ様を保健室へ連れていっていたエサーナ先生が教室に入ってきた。

「今日の授業は計算をやっていきますね。既に出来る人もいると思いますが一緒にやっていきましょう」

 今日はオリビアの得意な計算か。
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