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冒険者登録 実技テスト 2

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「やっぱり予想通り、お嬢ちゃんは強いな……」

「ありがとう」

「次はお嬢ちゃんが全力で攻撃していいぞ」

「危なくない?」

「ふっ、俺の心配は不要だ。いくらお嬢ちゃんが強くても俺はそこそこ強いから回避は出来るぜ」

「分かった。じゃあ全力でいく」

 私もオリビアの全力は危ないと思うけど、本人が大丈夫だと言っているので、オリビアに任せる事にした。

 それに私が生成した魔力剣ならショック死をしない限りは安全である。

 しかし、初撃はオリビアじゃなければ危ないレベルの攻撃だったな。

 明らかに、これから冒険者になろうっていう見習い冒険者にする攻撃では無い気がした。

 見た目だけでオリビアの実力を判断して、回避出来るレベルのスピードに調整しているとしたら、おじさんの実力は凄いなと思うけど、どうなのだろう?

 オリビアは魔力剣を右手に構えながらおじさんへと真っ直ぐに走りながら斬りつける。

 直線に走って、上から斬りつけるのは普通に考えたら悪手だと言われそうだが、オリビアの場合は超人的なスピードによる攻撃なので、普通の悪手が必殺の攻撃へと変化するのだ。
 
 私はおじさんがいくら強いと言っても、オリビアの攻撃を回避出来ないだろうと考えていたが……

「あれ?」

 オリビアの攻撃は紙一重ではあるがおじさんに回避されてしまう。

 しかし、今の回避方法は……

 それからオリビアは何回か高速で魔力剣を振るい攻撃するが、全て紙一重で回避されてしまった。

「回避されたのが不思議そうだな」

「うん、何で?」

「だが、それは秘密だ」

「……」

 そこで秘密なのか……

 だけど、私にはからくりが分かってる。

『あれは神眼だね』

『神眼?』

『うん、本来は勇者か聖人にしか持っていないはずの超レアスキルだから、なんで冒険者組合のおじさんが所持しているかは謎だけど、あの手の神眼には対策はあるからもう一度普通に攻撃してみて』

『分かった』

 神眼にも多種多様なものがあり、厄介な神眼は私のサポートがあっても今のオリビアには対策をするのは難しい。

 しかし、おじさんの神眼は対策しやすい上におじさん本人が神眼に頼りきった動きだから、多分慣れればサポートなしのオリビアでも余裕だろう。

 オリビアは私に言われた通りに攻撃する。

 先程と似たような攻撃なので簡単に回避出来る筈だが……

「ぐあああ!?」

「あ、当たった」
 
 微動だにしなかったおじさんは傷を負わないとはいえ魔力剣を袈裟斬りの形で斬られたことにより、激しい痛みを感じていた。

「な、何故当たった……」

「さあ?」

「まぐれだと? そんな馬鹿な……」

『なんで当たったの?』

『おじさんの神眼は相手の視界を惑わすタイプのものだったから、オリビアには効かないように対抗魔導を付与しただけだよ』

 熟練の神眼使いなら対抗される事を想定した位置取り等があるのだが、おじさんは全く動いてなかったから、簡単に斬ることが出来たのだ。
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