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詠唱魔法 2

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 オリビアが母親から魔法を習い始めてから1ヶ月が経過していたのだが、一向に魔法を使える気配がなかった。

 オリビアは頭が良いので母親が教えてくれた詠唱は1日で丸暗記し、魔力操作もまあまあ出来ているのに魔法は発動しなかった。

「オリビアが魔法を使えないなんて予想外だな。」

「うう……」

「ああ! ごめん、ごめん! でもオリビアは魔法が使えなくても俺より強いから凄いよな。 俺も身体は鍛えてる筈なんだけど。」

 オリビアとガブエルは2、3日に1回は遊んでおり、たまに魔法ありの戦いをしているのだがオリビアが全勝していた。

 ガブエルからしたら、もう少しで勝てそうな接戦で負けてるからすぐにリベンジしてくるのだが、私が接戦になるようにオリビアへ重力負荷を調整しているのでちょっと可哀想になってくる。

 オリビアからしたら良いトレーニングになるらしくて楽しいみたいだが……

「しかし、何でオリビアは魔法が使えないんだ? 全属性で魔力もあるんだろ?」

「たぶん魔法の才能がないんだよ。」

 ……職業が初級剣士だから魔法が使えない可能性は非常に高い気がする。

 前世でも剣士で魔法を使える人は見たことがなかった。

 その代わり、剣豪や剣聖などは魔法みたいな飛ぶ斬撃や縮地、空間切断など多種多様なスキルを使用していた。

 そこまでいくと魔法っていらないよね?ってレベルにはなるのだが、超遠距離戦になると剣士は弱いんだよな……

「オリビアって親から剣術は習ってるのか?」

「えっ? 習ってないよ。 お母さんから魔法を習ってるだけ。」

「そんなに強いなら剣術を習えば良くないか?」

「何で親から?」

「えっ、だってオリビアのお父さんは有名な魔法戦士じゃん。」

「……初めて聞いた。」

「マジかよ。 火炎魔法剣を得意とするってのが俺達の中だと有名なんだぜ、あと俺のおやじも火炎魔法が得意な魔法師だから俺も将来はおやじみたいになりたいんだ。」

「私は覚えたい剣術があるから大丈夫。」

「なんて剣術だよ?」

「魔導剣術。」

「魔法剣術に似てるけど、違うのかな? おふくろは魔導剣術って知ってる?」

「私も初めて聞いたわね。 オリビアちゃんは何で魔導剣術を知ったの?」

「お父さんが買ってくれた魔導書から。」

「ああ、本屋の魔法書をほとんど買い占めた時のやつね。 あれは近所でも有名になってたわよ。 あそこの本屋は高いからね。」

 私が売られていた本屋は客がいないと思ったら、値段が高かったのか……

 そろそろオリビアに魔導剣術の基礎位は教えても良いかもしれないな。

『オリビア、魔導剣術の基礎をそろそろ教えようか。』

『いいの!?』

『うん、本当の基礎だけどね。 魔導斬もギリギリ使えるようになったから多分いけそうなんだよ。』

『やった!』
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