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第7章

第76話

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ザリー公爵から協力を取り付けて一ヶ月。

俺達は今、開拓の大地 アダウロラ会派のグウェンツダルク支部が拠点にしてる土地にいる。

この土地にあるたった一つの港。ピンチポート。

正に発展途上といった風情だ。正直一番活気がある街かもしれない。

ナガルスの首都も、ハルダニヤの王都も、ザリー公爵領都も人数は多く活気だってあった。でもあの活気はどちらかと言えば安定した活気と言うか…。

こちらの活気は正に爆発。ごちゃごちゃ。

とにかく元気ででかい声が飛び交ってる。

早く船から荷物出せバカ!とか、人手足りねぇぞそこの姉ちゃん手伝え!とか、おいマジかとんでもねぇ位持てんじゃねぇか!次はこっちだ!とか。

本当に疲れる。だがこの疲れが心地良い。

印象としては迷宮都市と同じような活気だろうか。だがこの街の活気は陰鬱じゃない。

とにかく元気が余って暴れまわってるような活気。

それに街の奴等も活き活きとしてる。

まぁ開拓のゴールデンラッシュみたいな状況だ。何をしても儲けになるんだからそりゃ楽しいわな。

「姉ちゃん!今回は助かったぜ!俺らぁ毎日ここで荷運びしてっからまた頼むわ!ほら銀貨2枚でいいか?!」

「え?いいんすか?あざっす!」

「おう!いつでも来てくれ!左目のワトキンソンって言ってくれりゃぁ分かるからよ!」

「へえ!また来やすぜ!」

「なんだその話し方…まぁ良し!じゃあな!」

いや~、何ていうかいいね。

やっぱり人間ってのはお天道様の下で毎日汗を垂らして働く。そしてうまい飯を食うのが人間らしい暮らしってもんだよ。

「メリィ。臨時収入が入った。情報収集のために屋台通りに行こう。生きた情報を集めるんだ。」

「ギュシ!!ンゴクッ!ギュハッギュハッ!」

「あそこの屋台上手いんだよな~。ほら、仲立さん達だって腹は減るからなぁ?バッタリ鉢合わせなんつー事だってさぁ?」

「ギュン!ギュン!ギュルルルルル…!」

「俺も腹減った!奢りだ!行くぞ!」

この土地ってのは貴族だ王族だなんて物は無い。それがそのまま自由な空気になってるんだろう。

とにかく実力…つまりは強さ主義って所だ。そこは徹底してる。

ただ少々他と異なるのは、強さを手に入れるための資格はない、ということ。

強くなりたい、とそう思う人間には誰でも門戸は開かれている。

正直言葉さえ通じれば魔物でも構わない位の勢いだ。

そして強さを目指すものがここで必ず習うのがアダウロラ会派グウェンツダルク流合術。

必ず習うというより、無料で習えるのがこの流派しかないというだけなんだけど。

他の魔術であったり、兵術であったりは習う時にギルドに入ってお金を治めなきゃならなかったり、誰か師についてもらわなければならない。

けど合術は、冒険者ギルドと提携してて、冒険者ギルドに入りさえすればこの流派を習うことが出来る。

ここでは冒険者ギルドに入るための金はいらない。マジか。

この合術を習えば自然、魔法・魔力の扱いにも長けるし、当然武器の扱いも上手くなる。

これはこの大陸が資源と土地に溢れてるから出来るシステムだとは思う。

利益や権益を独占するのが当然であるこの世界で、このシステムを考えついて運用しているアダウロラって男はとんでも無い男だろう。

世界の三大魔術師って言われてるのも納得だ。

このアダウロラが作り出したアダウロラ会派という合術の流派は、土地の開拓に密接に関係している剣術流派だ。

合術、という大きなくくりもアダウロラが新しく作り出したと言われている。

この剣術のコンセプトは、魔法と剣術を合体させようって内容。

剣を振りながら魔法を放ち、詠唱しながら槍を突く。そんな剣術のジャンルを合術という。

魔法戦士だ。

とは言え、さっき言ったような単純に魔法と剣術を合わせるだけじゃないってのが凄い所。

この合術ってのは割と最近できた…とは言え2,300年も前が始まりらしいが。しかしその強さと利便性はとてつもない。

この合術が広まったおかげで全く開発が不可能と思われていた開拓の大地を300年で半分も開拓してしまったくらいだ。

歴史の流れは簡単。

まず最初にアダウロラが合術を編み出し、その力でこの大陸の一部を開拓した。

そこを拠点とし、アダウロラが得た全ての技を弟子に伝えた。

この時点で弟子達はアダウロラと同じ力量だ。

更にアダウロラは免許皆伝の条件を設けた。

新たな技を編み出した者に、免許の皆伝と土地の開拓の権利を与える、と。

既にアダウロラと同じ力量である時点で土地を開拓する能力はある。更に技を独自開発させることで流派の発展と土地の開拓を紐つけた。

そんなの関係ねぇって勝手に開拓することも出来たはずだが、弟子達はそうしなかった。

自分の技の全てを伝えて、自分を超える力を出し惜しみなく与えてくれたアダウロラを弟子は崇拝していた。

彼らは授けられた奥義を元に様々な奥義を編み出した。

授けられた奥義の一つが即ち、魔剣。

剣に火を、水を、土を、風を纏わせて戦う技。

この奥義を元に独自の術を編み出していった。

もう一つが、起動点操作。

基本魔力は自らの体から発するのに対し、この技は体から離れた遠くに魔法を発動させることが出来る。

敵の後ろからファイヤボールを放ち、敵の体の中の空気を弾けさせ、数キロ離れた街に雨を恵む。

こちらも正に奥義と言えるだろう。

全員が全員ではないがアダウロラ会派の元で学んでる奴はこれらの奥義のどれか一つは必ず使えると言われている。

そして免許皆伝に必要な独自の奥義というのも、そう簡単に出来るものではない。

敵の後ろからファイヤーボールを打つことをマスターした弟子が、敵の下から土を盛り上げて閉じ込めるって技を使えるようになったとしてもそれは独自の技とは判断されない。

あくまで新しく、師匠ですらもすぐに出来るものではない独創的な技でなければならない。

だからこそ免許皆伝まで行くのは難しい。

アダウロラの最初の弟子は三人居て、ゴウィン、ガナータルト、グウェンツダルクだけだ。

その下にさらにそれぞれ三、四人の弟子が居て合計10名の免許皆伝者がいる。

アダウロラ本人を含めて、14人の免許皆伝者がおり、つまり開拓された土地も14個ある。この14人の免許皆伝者が領主みたいな形になってる。

俺がいるこの土地はグウェンツダルクが治めている土地だ。

彼は魔剣を一つ進化させ、雷を纏わせる事に成功した。

基礎四元素を纏わせるだけでも十分な威力になるが、雷の効果は開拓では特に抜群だった。

触れれば魔物は気絶する。

今までの魔剣を使ってでもしぶとく、かなり攻撃しなければ死ななかった魔物が、たった一人の一発で行動不能になるようになった。あとはゆっくりとどめを刺せばいい。

グウェンツダルクとその弟子たちは、その抜群の技を持ってみるみるこの大陸を開拓していった。

他の支部の土地では未だ魔物の驚異が去ったとは言えないが、この土地では魔物に怯えて暮らしてはいない。

グウェンツダルク流派の奴等が片っ端から狩ってるからだ。

ここで気づいたことがある人もいると思う。

奥義、と名の付く技が一般に知られているという点だ。

普通の流派では奥義は隠すもの。

にもかかわらず、戦いを生業としないようなそこらの商人だって技の詳細を知っている。

これはアダウロラ本人が自ら率先して公開しているせいだ。

彼が言うには、我々の技は人類相手に戦うものではない。人々の幸福を目指して魔物を討ち果たすために使うものだ、ということらしい。

つまり、人を守るための技なんだから幾ら人に知られようが問題ないだろ?ってことだ。

現実問題そうそう上手くいかない所だってあるし、個人の判断に任されてる所もあるが、弟子たちは皆奥義を公開している。

これもアダウロラへの信頼故だろう。

博愛溢れ、信に厚く、強い。

この大地で果たして彼に憧れない者がいるだろうか。いや居ない。そう思わないか?」

「…思うよ。嬢ちゃん。」

「ギュホ~ン…!」

「わかってるねおっちゃん!でもここじゃこれくらい常識だよ!しっかりしてくれよ!焼き飯スープまだ?!」

「焼き上がるまで待てよ…。っつーか大分前に俺が言ったことと全く同じ内容だけどな。あんたみたいなのは多いよ。ここのやり方が新しくてとにかく誰かに言いたいんだろうがな。皆知ってるっつーの。」

「ギュホ~ン…。」

「ま、細かいこといいだろ!ほら早くよそえって!俺しか客が居ないんだから勿体ぶってもしょうが無いだろ!」

「うるせぇ!昼時にゃもうちょっといんだよ!…っつーかお前も良く通うな。自分で言うのも何だがあんまり人気じゃねぇぞ、俺の屋台は。」

「分かってねぇ~な~。これが最高にうまいのによ。お茶漬けみたいでさぁ。正直一番うまいよ!」

「チャヅ…?…そう?まぁじゃあいいか。ほらよ!いつも通り二つで良いんだな?しかしどうしてこの量がその小さな虫に入ってくのかねぇ。」

「それは俺も分からん!じゃあな!早く売れるようになれよ!」

「売れてるっつーの!とっとと消えろ!バカ!」

いや~、しかし良いのかなぁ。この大陸に来てから随分楽しいじゃない?

いや真面目に人探しはしてるんだけどさ。

リザンとワックから本格的な調査は私どもがやりますんでって言われてるし。

モニとヴァルとアルト様はなんかチーム組んで色々なんかやってるし。

俺とメリィとハミンと翔は…この町の一般市民の情報収集…なんだけど本当にこれでいいのだろうか。

正直足手まとい…。

「あ~、遅いですよ!どこで何やってたんですかシャム!遅いからこんなに飲んじゃいました!ダハッ!」

「いよ~。こっちは何の進展もないよ。ヒック。」

しっかしハミンはしょうがないにしても最近佑樹も酒を飲むようになってきたな。

…こいつ結構酒に逃げる癖があるよな…。

「だぁってよぉ。荷運び手伝えって言われてさぁ。」

「ギュッホ!ギュッホ!」

「まぁたシャムは余計な事に首突っ込んでぇ!ッヒ。私達みたいに仕事しないとぉ!」

「…酒飲んでるだけじゃん。」

「いやいやぁ~。ちゃんと情報収集はしてるってぇ。俺達はぁ。なあハミン?」

「そうそう。ゴクッゴクッゴクッ。ッブハァ~~!美味い!そうそう!」

「…ギュワー…。」

「…。」

「そう言えば、帰ってきたら部屋に全員集合してくれってワックが言ってたぜ?」

「そうなん?じゃあ…行くか。」

「待って!待って待って!これだけ開けて行くからぁ!」

「こ、これだけって瓶一本丸々余ってるじゃん!」

「大丈夫大丈夫すぐだから!しょうがないから!すぐだから!」

うわ…。

本当にボトル一本一気飲みしてる…。

メリィもドン引きだよ…。佑樹は大爆笑してるし…。もう出来上がってるな。…こりゃ今日は駄目かも。

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

「ショー様、ナカダチの足取りが掴めました。」

「!!」

「いや、正確には武器商人ゴムリを見つけた、ということなのですが。」

「ほ、本当か?!ワック?!凄いじゃないか!これで見つかったも同然だろ?」

「…まぁ、そうだと思うんですが…。しばらく彼を付けていたんですが…仲間と会っている素振りがないんですよ…。」

「…?仲間同士で逃げてるわけじゃないのか?一緒に行動してる…んだよな?」

「…ザリー公爵家の諜報員が偶々ゴムリの跡をつけることが出来て、その時アベル…らしき者と話している所を目撃できたのです。その時ここに逃げることを話していたそうですが、全員一緒になっている所を目撃した訳じゃないんですよ。」

「うーん…確かに全員揃っていない可能性はあるけど…それでもゴムリとアベルを捕らえることが出来れば仲立さんの居場所だって予想が出来るかもしれないだろ?上手く行けば彼らを味方に出来るかもしれないし…。だって俺達は仲立さんを捕まえようとしてる訳じゃない。保護しようとしてるんだぜ?美紀さんのこともそうだ。」

「確かに…モニ様とユーキ様の話を聞く限り、彼らの仲は良さそうでしたし…協力を仰ぐことは不可能ではないと思います。いやむしろかなり可能性は高いと思うのですが…。…。」

「…?なんだ?気になることがあるなら言ってくれよ。」

「…武器商人ゴムリは大陸級冒険者です。武器を作る方に注力してるとは言え、大陸級なんです。その彼があのような…隙だらけの立ち居振る舞いをしてるのがどうも…。」

「それは私達も気になった。私とヴァルとモニで少々突っ掛かってみたんだが…うーん…彼が大陸級の腕前かと言われると…。しかし見慣れない武器を幾つか持っていたのは確かなんだが…。」

「何、君達そんな事してたの…?お、俺も呼んでくれたら良かったじゃない?っつーか、モニ。何で俺に教えてくれなかったのよ…!」

「あ、いや…ショーは、その…。一つのことに集中しちゃうことがあるというか…周りが見えなくなることがあるっていうか…。」

「猪バカには斥候は無理だ。冷静で冷酷な者でないとできん。」

「…じゃあアルト様にも無理じゃないっすかね…。」

「お前以外はそう思わなかったらしいなぁ?」

「ッブフーー!ギュシッ!ギュシッ!」

糞ッ!テメェ!メリィ!

糞…最近また捕まえにくくなってやがる。こいつも成長してるってことか…!

何でしれっと付いてきたアルト様にここまで言われにゃならんの。まぁ大分ザリー公爵家に迷惑かけてるからしょうがないけど。

ヴァルはもちろん構わない。

ぶっちゃけこっそり浮島に連れて帰ろうかと画策してるんだが。

「で、でもおぃちゃんは優しいよ!誰も助けてくれなかったもん!でもおぃちゃんは助けてくれたもん!」

お、おお…ヴァル。

やっぱりお前は最高に優しいよ。絶対連れて帰るんだから。ヴァルレンシア薬学長の名は伊達じゃない。

次は名誉顧問にしようか。

…いやこれだと引退してるのか?

「わかってるよ。ヴァル。別にバカにしたわけじゃない。ただ人には向き不向きがあるってだけだ。薬学長殿なら分かるだろ?」

「…薬学長…それいつの間にか…なってたし。あたし聞いてないし。そもそもおぃちゃんは勝手にさぁ…。」

「まぁ良いじゃないか。それでモニとも仲良くなれたんだろう?いきなり先生と言われてたのは私もビビったがな。」

「だってショーがしつこいくらいヴァル先生の事推してくるからさぁ。もう刷り込まれちゃってたの。」

「まぁモニちゃんの事好きだから良いけどさ…。」

「…やべ。可愛い~…。」

…モニさん?

…これはヴァル連れて帰れそうな気がする…。

「まぁつまりあいつがショーや私程強いかって言われたら疑問だってことだ。ああそれとさっき別にバカにしたわけじゃないって言ったのは嘘だ。バカにした。」

「アルト様!もう!」

「まぁまぁ、アルト様ヴァル様落ち着いて…。とにかく確認してもらった所そういった意見が多かったわけです。あとモニ様はゴムリの顔を覚えていらしたので、面通りもしていただいた訳です。」

「でもよ、ワック。わざわざ俺達集めて足取りが掴めたって言ったってことは、それなりに確信があったんだろ?」

「いえ、ユーキ様。正直言えばもう判断がつかなくなったので皆さんのお知恵を拝借したいと思いまして…。」

「なるほど…う~ん…。」

「何か難しそうな話ですねぇ~、モニ様。」

「…ハミンは何で酒瓶持ってるのよ…。」

「美味しいからですね。うふッ。」

…この野郎ハミンこの野郎。

酒ばっか飲みやがって予知出来る程の勘の良さは何処いったんだよ…!

「…ハミンはどう思う?三眼の民で予知も出来るんだっけか?」

「ん~予知は出来ないですねぇ。まぁ私の勘から言わせて貰えれば…ここには探し人は居ませんね。はい。」

「はぁ?ちょ、ここまで来て、何でもっと早い段階で言わないんだよ!」

「落ち着いてくださいよぉ~ショー様ぁ。私の勘なんてあくまで勘ですよ?他の判断材料がもうないって時におまけで付け足すようなもんですよ。あの時はザリー公爵様からの確かな情報があったんですからそっちの方がどう考えても確実でしょ?」

「いや…まぁそうだけど…。それにしたって一言くらい言ってくれたって…。」

「それで失敗したらショー様の指揮能力を疑われますよ?勘に頼る指揮官なんて嫌でしょう?」

「う…ん…。まぁ…そうかも?」

「…翔…。」

ん?何だよ佑樹こそこそと。

怪しいぞ。んん?なになに…?

「あのハミンって女…。銀貨の裏表当てるゲーム…39回連続で当ててたぞ…。」

「さんじゅッ…!?…40回目はなんで外れたんだ…?」

「…次の酒を頼むためにその銀貨使ったからな…。」

  …オホンっ!まぁでもちゃんと聞かなきゃな。うん。

「…ちなみに仲立さんは何処に居ますかねぇ~?ハミンさん?」

「え~、そんなの分かりませんよぉ。」

「…じゃあ、俺達は次に何処に行ったら良いですかねぇ~?俺達が皆…楽しくなるのは何処っすかね?ハミンさんがいきたいところは?」

「え~…お~ん…そうですねぇ…。ハルダニヤの王都に行きたいですかねぇ。」

「仲立さんはそこに居ると…?」

「いや王都のお酒ってまだ飲んだこと無いんですよぉ!皆で飲みましょう!ぐふふっ!」

糞の役にも立ちゃしねぇな…。

糞!結構期待した俺がバカみたいじゃねぇか。

「まぁ…ハミンさんのことは置いておくか…。…モニ。ゴムリの顔は間違いなく本人の顔だったんだよな?」

「ええ。間違いないわ。特徴的な形貌も一緒だったしね。」

「私も話で聞いていた大陸級冒険者の武器商人ゴムリの風貌と同じだと思う。」

「…少なくとも顔が同じである以上…最悪変装の指輪をしていたとしても、武器商人ゴムリと何らかの関係があるはずだ。仲間と会っている様子が無いのなら…捕まえて吐かせよう。」

「…わかりました。手筈の方は…。」

「…私が…整える…。」

「リザか…。出来るのか?」

「まぁ…業腹ですが暗殺術に関しては専門です。任せて良いでしょう。」

「ワックがリザンを褒めるのは意外だが…暗殺するわけじゃないんだけど…?」

「…最後に…殺すか、捕まえるか…それだけの…違いです。」

「殺すのと捕まえるのじゃ難しさが違うと思うが…。…大声出しても気づかれない場所で捕まえたい。」

「リザ…に…おまかせ。」

…大丈夫なんだよな?

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しっかし早かったな。

あの後速攻でゴムリを誘い出す役と追跡する役、待ち伏せする役に分かれて作戦開始。

…もっとじっくり作戦を練るもんじゃないの?って聞いたけど、今の状況なら早いほうが良いんだってさ。

別に大軍に挑むわけでもなし、一人の人間を取り押さえる位なら万が一逃げられるのが怖いくらいだと。

曲がりなりにも冒険者として実績があって追跡の経験がある俺とワックとモニがゴムリを追っている。

それぞれ別々に別れて追跡中だ。

ナガルス族は風魔法の扱いにも長けてて、俺の風探査魔法みたいな遠くの声を拾う魔法と似たような魔法を持ってた。

俺は遠くの声をリアルタイムで拾う方法だ。遠くの場所の空気の振動を増幅させてここまで届けさせてる。

自分でつないだ魔力と風の通り道を通って。

だから声を聞きたい奴と俺の間には常に見えない紐で繋がってる。

それに対し彼らは自分の声を投げる。

声を風に蓄音させて、それをボールみたいにして飛ばす。そのボールは多少の操作はできるが俺ほどいつでもどこでもって訳じゃない。

但し、この方法だと圧倒的に機密性が高い。

その蓄音されたウィンドボールの音を聞き取るためには、魔力を使った認証が必要だそうだ。

だからこそ最初に決めた符丁が無いと中身を聞くことが出来ない。

俺の手法だと、偶々別の人間の耳に音の通り穴があたってしまったら中身が聞き取れてしまう。

それは確かに不味い。

ま、俺の場合は常に音を聞き取れるのがメリットかな。

お互いにこんな感じの魔法を使って連携を取りながら追跡していった。

佑樹とワックとアルト様とヴァルは待ち伏せ犯。

あまり鬼役が多くてもバレるリスクが高くなるからな。

「ねぇ~!ゴムリさん?もっとぉ、武器のお話聞かせてぇ~?」

「ん?武器か?まぁ…語れないこともないが…ベッドの中限定じゃなぁ?」

「もぅ!エッチなんだから!もう少し先に一人暮らしの私の家があるから…ね?」

「うむ。…しかし随分と町外れに、おう、おおお…。わ、わかったって、早く行こうか。うんうん。」

「そうそう!とっとと行こ~!」

しっかし、ゴムリも今良い所に気づいたんだが、いかんせんリザの囮役がうまいな。

ヤバそうになったらさり気なくボディタッチしてる。

しかもだいぶ際どい所を。

…いや別に際どくねぇな。ありゃ本体だ。本体触ってますわ。

あんな単純な手で簡単に意識逸らされてやんの。

本当男ってバカだねぇ…?

…。

…ま、男ならしょうがねぇよな。

「ゴムリちゃ~ん!ゴムゴムちゃ~ん?」

「んん?なんじゃいなんじゃい?んふっ!」

だがあのリザの変わりようはどうよ?あの見事な彼女役。

私がおびき出すって言った時は大丈夫かと思ったがとんでも無い。

今まで見たどんな女よりも女らしい。

そもそもリザの野郎、普段と全然口調が違うじゃねぇか。

最初っからあんな感じで話してくれると楽なんだがな。

あ~あ~ゴムリの野郎だらしない顔しやがって。

知らない人にホイホイ付いてくんじゃないよって思ったけど、リザは前々から粉かけてたらしいな。実は顔見知りだったわけだ。

あいつがゴムリっぽいってなった時から準備を勧めてたらしい。

こういう事も起こりえるだろうってさ。

優秀すぎませんか?

だがあのゴムリって男。本当に俺が想像したドワーフそのままって風貌だな。

背は小さく筋肉質。ひげは生やしてるし、身につけてる装飾品は渋く豪華だ。

イメージから外れてるのはメガネを掛けてるってところくらいか?

だけど身につけてる道具や武器、どれも全部かっこいい。センスがある。

ゴムリにあった装備というか道具というか。

物を作れるからこそ出来る装いっていうの?

…そう言えばギオリも武器に宝石を装飾してたな。ドワーフってのは意外と美的感覚に優れるのか?

しかし…確かに強そうって感じはしないな。

ニギみたいなプレッシャーを感じないし…。

歩くときも何かフラフラしてる。いやちゃんとまっすぐ歩いてるんだけど跳ねながら歩いてる?いや違う。上手く説明できない。押せばすっ転んじゃいそうっていうか。

少なくともニギはそんな事なかった。

ただ歩いてくるだけでジワリジワリとした熱を感じた。

動く時、頭も腰の位置も変わらなかった。動作を予測することが出来なかったんだ。ふと気付けば2,3歩詰められてる。

体には魔力が濃淡なく敷き詰められてた。綺麗だったんだ。あいつの魔力は。少なくとも研ぎ澄まされていた。

でもあの男にはそんなところはない。

魔力がボヤボヤっとしてる。

…あいつは大陸級じゃない。少なくともニギレベルじゃない。

…罠か?

俺達を誘い出そうとしてるのか?

でももし俺達があくどい奴らだとしたら…あいつは多分簡単に殺されるぞ?

しかも違う国とは言え指名手配が懸かってるんだぞ?

あいつの首を持っていけばハルダニヤ国が金を出す。少なくとも旅行代を差し引いて有り余る金だ。

奴が罠だったとしてもあんなやつを一人にするのはリスクが高すぎないか?

…いや少なくともやつを捕らえる事は簡単にできそうだしいいか。

取り敢えずは俺達に危害が及びそうにないことを喜ぼう。

一応、捕らえる瞬間、闇討ちされたりするのを気をつければ良いのだろうか。罠って言ったらそれくらいか?あいつを捕まえようとする俺達を捕まえる…的な?

うーん…違うような…っていうか砂塵・土蜘蛛を展開してるから常に周囲の様子は分かるし。

アツさんの訓練のおかげで大分精度も上がってるしなぁ。

…正直周りに誰も居ないんだよね…。

あ、打ち合わせてた場所に入ってく。

「ぬ。何を。何をする!俺を武器商人ゴムリと…」

「おらぁ!!」

「ぉぐっ…!!」

…随分気合い入れて殴ってるな。

アルト様か?佑樹か?

やるねぇ。

…やっぱりあいつは強くなかったな。まぁ大陸級でも強さが全てじゃ無いのかもしれないし。

さてさて。尋問と行きますか。

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

「さて。あんたは武器商人ゴムリ…だよな?」

「…この大陸級冒険者、武器商人ゴムリにこんな真似してただで済むと思っておるのか?」

「おいおい。勘違いするなって。俺達はあんたの敵じゃない。…ただちょっと急いでいたのと万が一のためにちょいと拘束させてもらっただけさ。」

「…何が目的だ?」

「あんたは指名手配が懸かってるはずだろう?何故こんな所にいる。仲間は?」

「何故って…武器を売ろうとしてるのさ。俺は武器商人だぜ?ハルダニヤじゃ捌けなくなったから別の大陸に来たのよ。」

「嘘です。彼は嘘を付いていますね。」

「はぁ?!適当吹いてんじゃねぇ!」

ハミンさん…が言ってるなら間違いないな。

さて、どうするか。

拷問とかしたほうが良いのかなぁ…ん?ヴァルどうした?

ゴムリになにかあるのか?…ゴムリの前で仁王立ちなんかして。

「あ…お前…。」

ッバアン!!

!!

!?

??

え?!何?!

いきなりゴムリの顔をぶっ叩い…た?

…そのまま帰って…アルト様とハイタッチ。

いや、えぇ…?

頬を叩く音で初めて聞いた音だぞ…?

良くやったじゃ無いよアルト様…。あ、歯が一本取れてる…。

「…で、何でここに居る?他の仲間は?」

「…仲間とははぐれた。ここに居るのは…。」

「嘘ですね。失格~。」

早いねハミんさん。…とヴァル…さん。

もうスタンバイOKっすか。

「ッヒ…ちょ、ねぇちゃんちょっと…。」

ッッババアン!!

あ、一発ビンタ増えた。

…っていうかヴァルの力ってあんなに強かったっけ?

「…ッヒィ…ッヒィ…。」

「…。」

もうヴァル、ゴムリの目の前から動こうとすらしなくなった。

常に準備万端か…。

「…あー…好きな食べ物は何だ?」

「ッヒ…あ…ん?好きな食べ物?」

「そうだ。好きな食べ物。」

「…はぁ?…ッヒ!あ、あっと…ハバウの乳煮込み…。」

「本当です。しっかし気持ち悪い味覚してますね。」

「…。」

「…。」

叩かないね。ヴァルは。

本当の事を話せば大丈夫ってか。

俺ほんとびびったよ。あと心配になった。アルト様ウンウン頷かないで。半分以上はあんたの責任な感じがするよ。まじで。

「…で?あんたは武器商人ゴムリ何だよな?」

「ち、違う…。こ、この眼鏡で変装してるんだ!こ、これはゴムリにもらったもんだ。う、嘘じゃねぇです!」

…ハミンさんは…どうやら嘘じゃなさそうだな。

やはり本人じゃなかったか。

「で?じゃあ本人は何処に居る?ゴムリの仲間たちは?」

「わ、わからねぇ!俺はハーロック子爵領の…ブルーポートで奴に依頼を受けたんだ!お、俺に変装して武器を捌かないかって!新しい商売の形態を考えてるんだって!」

「はぁ?良くそんな依頼受けたな。指名手配されてたんだろ?」

「お、俺は冒険者でも無かったチンピラだったからよ。し、知らなかったんだよ!こっちに来てから知ったんだ!で、でもここじゃそんなに関係ねぇと思って…。」

「…ブルーポートでは奴らは何処に行くと言っていた。仲間同士でどんな話をしていた?」

「…し、知らねぇ。本当だ!本当なんだ!俺はゴムリ個人から依頼を受けたんだよ!な、仲間って一緒に逃亡してるって噂のエイサップとかか?会ってねぇ会ってねぇんだ!ゴムリからだって…俺の顔は良く知られてるから沢山の人間に俺の姿形を真似させて武器を売ればもっと儲けられるって…。それだけで…ッヒ、武器も本当に貰って、悪い奴じゃねぇって…。」

「…これは…。」

「…嘘…ではありませんね。全部真実です…。」

「…これは…囮、ですね…。しかし彼が作った武器まで渡して、高価な変装用の魔導具まで準備して…いやこれも自作ですか?参ったな、これはつまり…。」

「まんまとハマったってことだよな?ワック殿。」

「アルト様…残念ながらそのようです…。」

マジか。

結局振り出しってことか。

…マジかよ…。

▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽

あの後あのバカを開放して宿に戻ってきた。変装の眼鏡だけ貰ってきたが。

…どうしよう。

まさか全くの繋がりが無いとは思わなかった。

何かしら情報がでてくるもんだと。

ゴムリはブルーポートに拠点を構えるとか言ってたらしい。絶対嘘だよな。俺でもわかるわ。

どうすりゃ良いのか。

「…ねぇ、アルト様。エイサップみたいな人を探す人っていないの…?」」

「…ヴァル…それは…難しい。そりゃ、1,2m。上手く行けば1,2kmの範囲を調べる魔法はあったりするし、それを使える人間は結構いる。だがそれはあくまで探査なんだ。追跡じゃない。山を一つ越え二つ超えた後でも追い続けられるような、追跡用の魔法を持ってるやつなんて殆ど居ない。だからエイサップってのは各地を点々としてたんだ。もの凄い貴重で強力な能力だから様々な領主からの依頼が多くあった。彼意外そんな能力を持ってるやつなんて居なかったし、何より実績もあったからな。」

「…そう。」

確かに…俺のも探査魔法だ。

エイサップみたいに追跡が可能なわけじゃない。

そんな…都合の良い魔法があるわけ…。

人探しにあってるような…物を探すのが上手いやつでも良いんだけど…。

…。

…いや、待てよ?

あいつはどうだ?あいつなら確かそんな事を言ってたような…。

…いや嫌だ。あいつに頼るのだけはそれだけは…。

「…考えがある。」

「…佑樹…考え…?」

「…俺がハルダニヤ国に投降する。」

「はぁ?!んなもん駄目に決まってんだろ!意味わかんねぇこと…。」

「そもそもの発端が俺が逃げたことだ。俺がラドチェリー王女に投稿すれば…少なくとも仲立さん達の指名手配は解かれるだろ。そうすれば命を狙われる事もなくなるし…美紀さんだって時間を掛けて探せる。命の危険なしに。」

「…いや駄目だ。じゃあ俺達の作戦はどうなる?俺達に襲われてる所をうまく助けるんだろ?それで王になるんだろ?ハルダニヤに投稿したら最初っから戦うかもしれねぇじゃなねぇか!そうなったらもう上手く騙すことは出来ねぇぞ!?」

「…なんとかするさ…。そこは上手くよ…とにかく指名手配さえ解かれれば死ぬことはなくなるだろ?それなら…安全だろ。仲立って人も美紀さんもよ。」

「…そうなったら…王にはなれなくなるだろ…。それじゃ…お前…召喚魔法の研究だって…。」

「…ま、しょうがねぇさ。結構無謀な作戦だったろ?こっちの方が現実的だ。だろ?」

…駄目だ。

そんなことしたら王には多分なれないし、召喚魔法の研究だってやってはくれないだろ?

佑樹の母親を呼ぶことだってできなくなる。

…母親の病気を治すことだって…。

…。

……。

………。

「…待てよ。もう少しだけ俺にチャンスをくれ。人探しに使えそうな魔法を持ってる奴に、…心当たりがある。」

「…まぁ、まだ時間はあるけどよ。…2ヶ月程だがな。」

「ショー。その人探しが出来るやつとは誰だ?エイサップのような魔法は貴重なんだぞ?有名な奴か?」

「いえ、アルト様。そいつは有名じゃない。本当にクズで最低な…野郎です。」

「はぁ?どういう事だ?なんて奴だ?」

そいつは。そいつの名前は。

…糞っ!

糞ったれ!

…ちくしょう…。

「…ガルーザ。ガルーザ・バルドック。」

俺を、奴隷に落とした男。


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