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宇宙との交信6 ~侵略者?~
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私は宇宙人と交信している。
その宇宙人は単なる地球人であり、単なる宇宙バカだ。本当に、間違いなく、迷うことなく、宇宙バカだと断言できる。ついでにその宇宙人は宇宙語まで操れる。……単なる悪筆で解読不能なだけだが。
元々間違いメールから始まったその交信は、半年ごとの本当にたまにある繋がりだった。それが、何の因果か、大学に入り宇宙人と遭遇することになってしまった。完全に巻き込まれた形で。
でも、その宇宙人とはまだお互いにきちんと名乗ったこともないので、宇宙人には私がその交信の相手だとはばれてはいない。宇宙人とは勉強の話しかしたことはないので、ばれる要素もない。ばらす必要も感じないので、きっとずっとそのままだと思うし、このままメールのやり取りは続いていくだろう。
そう、夏休みまでは思っていた。
空調の効いた館内から出ると、まだ残る暑さが肌にまとわりつく。
八月も終わったのにまだ暑さが和らがないことにウンザリしながらも、そう言えばあのメールに返信しなかったな、と思い出したのは、映画館から出てきたら宇宙人の姿を見つけたからだ。
やはりこの映画のセレクトは宇宙人ならではだろう。今日の映画は私的にも当たりだった。ロマンがある。
あのM13の画像のメールは何だったんだろうな、と思いつつも、まあいいかと結論付ける。実は、実家に帰っている間に、宇宙人から一度メールが来ていた。一番最初に貰ったM13の画像。友達に会いに行く直前で、返信するのを忘れていたことを今思い出した。
返事をしなくても返事を要求するようなメールはなかったし、何しろ今私は未知との遭遇を果たしている気分になっているからだ。
宇宙人にも彼女が存在するんだな、という、まあ、考えて見ればごく当たり前の出来事なのに、宇宙人認定していたせいで宇宙人の隣にいる地球人の女子の姿に一瞬驚いてしまった。
宇宙人の隣にいて腕をからませている女子が彼女じゃないと言うのであれば、何というのか教えて欲しいぐらいだが、間違いなく彼女だろう。
宇宙人と宇宙人の友達と学食で遭遇する時には全く女っ気がなかったため、彼女がいないものだとばかり思っていたが、そもそも遭遇するのは月に数回程度で、それだけで彼女の有無を断定できるわけもない。
一度勉強会に私の身代わりに差し出した肉食女子に宇宙人と宇宙人の友達が怒ったのもそれがあったんだろう。知らなかったとは言え、彼女持ちにあんな肉食女子を提供したら迷惑千万なだけだっただろう。今度会ったら謝っておこう。
思い込みっていけないな、と自分を戒める。
宇宙人の彼女が火星人であって欲しいなどと、そんなこと言っちゃいけない。
あの想像上の銀色の体が宇宙人の隣で跳ねているのを想像するだけでワクワクするけど、宇宙人にだって地球人の女子と付き合う権利はある。仕方あるまい。
あ、でもそうなると、私が送ってるメールも迷惑メールに近いものだろうな、と思う。
彼女からしてみれば、意味不明とは言え“みはる”という女子を表す存在からのメールを心安らかに受け取れる人はどれくらいいるだろうか。
心の広き彼女であれば、あんな意味不明のメールなど笑って流せるだろうが、宇宙人の彼女が心の広き彼女かどうかもわからないわけで。むしろ、今までそのメールの存在を宇宙人の彼女に責められて別れを選ばれるとかいう切ないことがなかったことを願う。
……メールの返信の有無は、そこら辺もあったのかもしれない。済まぬ、宇宙人。
今反省の真っ最中だ。今更だが。決して火星人と付き合ってほしくて彼女と別れればいいと思っていたわけではない、ということをここに宣言したい。
と言うことは、宇宙人との交信もこれまでか。高校一年から続いてたものだから、終わるとなるとそこはかとした寂しさみたいなものはある。
でも、私の単なる八つ当たりのためにカップルにいざこざを起こしたいほど神経ひねくれてはないし。
八つ当たりはあれだ、男の娘にスライドしよう。男の娘に彼女ができるとは思えぬ。……大変申し訳ないが、あれじゃ無理だろう。
ついでにメールで婉曲的な八つ当たりなんてかわいいものじゃなくて、直接的にだ。男の娘には連絡先も教えてないしね。
まあ、私の八つ当たりも半年に一回くらいの割合だし、男の娘にも耐えれよう。
宇宙人カップルの背中を見送りながら、私は能天気にそんなことを考えていた。
*
「ちょっと入れて」
私と男の娘の間にあった席に座ってきたのは、宇宙人の友達だった。暑さは絶賛継続中で、学食は冷房が効いている。
「まだテスト期間には早いですよ」
そんな約束をした記憶はないし、私らが後期のテストの時には四年生は卒論関係で大わらわな気がするから、そんな予定もないだろうけど。
「やだなみゃーちゃん。一人で食べるのが寂しいなと思ったら、二人が見えたから混ぜてもらったんでしょ?」
「あれ? ケイスケ先輩は?」
男の娘の疑問に宇宙人の友達が斜め前方を指差す。
「流石に彼女といちゃついてるところに混ぜてはもらえないよね」
なるほど宇宙人の友達の指の先には、イチャイチャしているようにしか見えない宇宙人カップルがいた。
どちらかと言えば彼女の方が積極的だが、宇宙人もあながち嫌がってはない。
「え。ケイスケ先輩彼女いたんですか?」
驚いた声を出す男の娘は、仲間が減ったと嘆いているように聞こえる。……それならば男装をすればいいのに。男の娘の心理が複雑すぎる。
「最近できたんだよ。でも昔からの知り合いなんだよね」
へー、とどうでもいい情報を聞き流しながら、定食のメインである唐揚げを口にはこぶ。
「同じ学部ですか?」
どうやら男の娘は興味津々のようだ。
「いや。それが、大学一年の時に圭介がメールを間違って送った相手がいてさ」
ああ宇宙人のうっかりは私以外にも発揮されていたのか、と笑いが漏れそうになりつつ我慢する。どんだけうっかりだよ。
「え? それからってことですか?」
「付き合いって言う意味ではね。それが何の因果か、そのメールの相手が同じ大学に入学してきたってわけ。直接顔を合わせたのはこの大学入ってかららしいよ」
それはすごい。ここにももう一人いるわけだし。宇宙人のうっかりが同じ大学に呼び寄せる鍵なのか? と言うことは、私がD判定を覆してこの大学に入学できたのは、宇宙人の吸引力によるものなのかも。これは、宇宙人を神として崇め奉らねば!
私は心の中で手を合わせながら、から揚げを咀嚼しつつ、宇宙人という名の神の姿を眺めた。神が彼女といちゃつくという俗世間にまみれている様子は信仰心を高めるのにはよろしくなさそうだけど、まあ、神には違いない。
「すごいですね」
男の娘も感嘆した様子で宇宙人たちを見ている。そうだ、宇宙人は神なのだ。崇め奉るが良い!
「夏休み頃までは本当にメールをやり取りしてるだけだったんだけど、彼女はさ“みはる”ちゃんって言うんだけど、どうやらずっと圭介のことが好きだったみたいなんだよね」
ぽと、と箸でつかんでいたから揚げが皿に落ちた。
……みはる?
「ずっとって……メールのやり取りしてる間、ってことですか?」
男の娘がふんふん、と相槌を打っている。
「その時から何となくいいな、とは思ってたらしいんだけど、大学生になってからどうやら圭介と同じバイト先で働きだしたらしくて、それでいいな、と思ってたら、何と昔からメールのやり取りをしてた相手だったってわけ。すごくない?」
「すごいですね! そんなに偶然が重なる確立って、すごくないですか」
男の娘よ興奮して地声に戻ってるよ? まあ、その興奮する理由は分かる。だが私は今違うことがものすごく気になっている。……いや、きっと気のせいだ。気のせいに違いない。
「どんなメールだったんでしょうね。離れ離れの二人がやり取りしたメールって。何だかロマンチックですね」
男の娘の言葉に、ぷ、と宇宙人の友達が吹き出す。
「ロマンチックなのかは知らないけど、銀河の画像とか太陽の画像とかのやり取りだったよ」
「銀河? ……アンドロメダ銀河とか、ですか?」
男の娘が首をかしげる。
「そうそう、M31もあったよね。M110とかも送られて来てたな」
動揺しつつつまんだきんぴらごぼうが、はたりと落ちる。
「滅茶苦茶ロマンチックじゃないですか!」
男の娘が興奮する。
「でもメールの本文は“ご飯飽きませんか”だよ?」
気持ちを落ち着けようと飲みかけたお茶を気管に入れてしまって悶える。
「みゃーちゃん大丈夫?」
私は口許を覆いながら宇宙人の友達にコクコクと頷く。
いやいやきっとたまたまだ。私ともしたようなやり取りをきっと宇宙人なら誰とでもしそうだ。だからきっとたまたま彼女さんもそんなメールを送ったんだ……そうに違いない。
「それってご飯作りましょうか? ってことじゃないですか! めちゃめちゃケイスケ先輩アプローチされてますね!」
なるほど、そういう使い方もあるわけだね! 私のメールは違うよ。その言葉通りの意味だよ!
「ああ、そう言われればそうかもね。流石タケノシン。女心に聡いね」
「いやいや。伊達に女装してませんから。それと、るんちゃんですよ」
……色々と男の娘に突っ込みたいことはあるが、まず女装のクオリティはあげてほしい。
「そうか、じゃあ、今までの八つ当たりみたいなメールって、女心の裏返しってやつだね」
八つ当たり―。何かが当選したような気分になったのも、きっと気のせいだ。うん、気のせい、気のせい。間違いない。
「八つ当たり、ですか? ああ、どうして私に気付いてくれないんですか! ってことですね」
私の八つ当たりにはそんな意図は全くないけど……。“みはる”さんにはあったのかも……しれないよね?
「そう言うことだろうね」
「じゃ、付き合いだしたのは、みはるさんからのアプローチってことですか?」
「そうらしいよ」
「でも、あれを見る限り、ケイスケ先輩もまんざらじゃなかったんですね」
「みたいだね。みはるちゃん、メールを通してじゃない私を見てくださいって、使ってたメルアド変えちゃってメールでのやり取り禁止らしいよ」
「ああ、メールだけの繋がりだったから、その繋がりだけじゃ嫌だってことですね。情熱的ですね」
「そうだよね。って、みゃーちゃん静かだけど、もしかして圭介に彼女ができてショックだったりする?」
男の娘との会話に夢中になっていた宇宙人の友達が私に視線を向ける。
「あ、それはどうでもいいんです。人の恋路に興味はないんで。すごいことがあるんだなって、感心して聞いてただけですよ」
今の話でようやく、私は夏休みに送られてきた宇宙人からのメールの意味が理解できた。
「うん、確かにそう言う感じじゃなさそう。みゃーちゃんには“みはる”ちゃんみたいな気持ちがまだ分からないんだろうね。お子ちゃまだな」
私の表情を見て、宇宙人の友達は私が宇宙人に対して恋心を抱いていたのかも、という勘違いを見事に消去してくれた。うん、そうしてくれれば、何と言われてもいい。
私は、純粋にすごいな、と口をぱかりと開けて宇宙人カップルを見ていた。多分、間違いなく、百発百中、宇宙人が元々知っている宇宙人の友達が語った“みはる”は、私のことだ。だけど、宇宙人がバイト先で出会ったという“みはる”さんが、そのメールをやり取りしていたのは自分だったと言い出した。そしてそれを宇宙人は信じた。
そしてきっと“みはる”という名前が、宇宙人の勘違いを助長しただろうことは間違いないし、その裏付けに、夏休みの宇宙人からのメールがあったんだと思う。あの夏休みの宇宙人からのメールは……あのメールから返信がないかどうかの確認メールだったはず。そうなると、私がメールを返信しなかったのは、“みはる”さん的には、きっと正解、だった。
想像もしてない出来事に唖然としていたのが整理されると、途端に他の気持ちが沸きあがってきた。
急に口元がムズムズしてきて、ニヤニヤしたくてたまらない。
今となれば知らないうちに人の恋路を邪魔しなかったことにほっとしている。だって! 宇宙人の彼女が地球人の姿をした火星人なのだ! ニヤニヤしたくもなる。私を騙る行動は、侵略者みたいだ。だから、地球人の姿をした火星人なのだ。誰が何と言おうと!
”みはる“さんは本当は銀色の体を宇宙人の隣でぴょこぴょこと跳ねさせたいだろうに、私と言う地球人に擬態してしまったから制約がある。そんなところも火星人っぽい! 別人の“みはる”を騙る行為が褒められたことではないのは理解しているけど、とりあえず騙られた方の私に直接実害があるわけではないし、宇宙人は彼女ができてハッピーだし、宇宙人の彼女だって恋が実ってハッピーだ。
“みはる”さんがついてしまった嘘がばれてしまった場合には、残念としか言いようがないが、まあ、かわいい嘘だと宇宙人に理解される可能性もなくはない。人の恋路のために私のメルアドを変更する必要性は全く感じないのでそのままにするつもりだけど。私のメルアドがどこか経由で宇宙人にばれる、ということはあり得ないと思うし、まあ、宇宙人が“みはる”さんのことを信じている限りには大丈夫だろう。
宇宙人たちの恋愛がどんな方向を向いていこうとも、私には関係のない話だし。
そこまで考えると、ようやく落ち着いて食事を再開する。宇宙人の友達と男の娘はまだ盛り上がっているけど、もう宇宙人カップルのなれそめエピソードなど正直どうでもいい。ふと、夏休みに友達が言っていたことを思い出して、確かにそうかも、と思う。
“現実にロマンスはあり得ない”
確かに宇宙人カップルのなれそめは、表向きは色んな偶然が重なったロマンチックな話になっているが、その実、半分以上はノンフィクションを借りてきたフィクションだ。確かにノンフィクションではそんなロマンチックな話にはならなかっただろう。
……だって、私と宇宙人が? ないな、とだけ思う。今の私には、誰も恋愛対象にはならないけど。
あ、今日の浅漬けはおいしいかも。ポリポリと浅漬けを食べながら、宇宙人カップルを視界に入れてニヤニヤする。宇宙人と地球人の姿をした火星人のカップル。いい組み合わせだ。
*
「ちょっと入れて」
私と男の娘の間にあった席に座ってきたのは、宇宙人の友達だった。
なんかデジャヴ。でも、前回のは一か月くらい前だったかな? そう言えば冷房もいつの間にか必要なくなっていたことを思い出す。
「ケイスケ先輩また彼女といちゃついてるんですか?」
男の娘の言葉に、宇宙人の友達がうーん、と首をかしげる。
「いちゃついてる……のかな?」
私と男の娘の視線は、自然に宇宙人の友達の視線の先に向かう。
「いちゃついてるじゃないですか」
男の娘の言葉に、私もコクリと同意する。
どう見ても、一か月前と変わらぬいちゃつきっぷりだと思うのだが。久しぶりに宇宙人と地球人の姿をした火星人カップルを視界に入れたので、ついまじまじ見てしまう。火星人が地球人への擬態を辞めてないかと目を凝らしてみたけど、全く銀色の肌は見えない。とても残念だ。
「……まあ、いちゃついているように見える、よね」
ハハ、と乾いた笑いを漏らす宇宙人の友達の様子が、今までに見たことがないことに気付く。
「どうかしたんですか?」
男の娘が先に宇宙人の友達に問いかける。
「いや、何でもないよ。俺がどうこう言うことでもないしね」
「気になることがあるんですか?」
男の娘が心配そうな様子で尋ねるのに、宇宙人の友達は首を横に振る。
「俺が口出すようなことじゃないからね」
「まあ、聞いてもどうにもならないですけど、口に出したらすっきりするんじゃないですか?」
私の言い分に、宇宙人の友達がぷ、と吹き出す。
「みゃーちゃん、最初から聞いてもどうにもならないって言い切るとかないから」
「だって、聞いたところで、間違いなく問題は解決しそうにないですよね?」
「みゃー、そんな男前発言いらないから。もう少し心配してる体(てい)だしなよ」
「タケノシンもなかなかだな。心配してる体って、心配してないだろ」
「いえいえ、心配してる体ですから、心配してますよ」
男の娘よ、全くフォローになってないし。でも表情がちょっと固かった宇宙人の友達がクククと笑いだす。
「ま、いいや。単にね、友達として彼女の束縛強くて圭介平気なのかな、って思ってるだけ」
「へぇ。束縛系ですか」
なるほど、宇宙人を捕獲する人物が現れたってことだね! まあ、火星人ならばきっと捕獲する術があるんだろう。
「束縛系、駄目ですか?」
男の娘の発言に、やや引く。男の娘が束縛系なのか、束縛されたい方なのか。…知らない方が幸せそうなので問い合わせるのはやめておこう。
「駄目ってわけでもないんだけどね、たださ……」
宇宙人の友達が宇宙人カップルを見て息をつく。
「俺と遊ぼうとするのも阻止されるんだけど」
「なるほど、自分が遊んでもらえなくて拗ねてるんですね!」
私の断定に、宇宙人の友達がむっとする。
「拗ねてるってわけではないけど……友達と遊ぶくらい良くない?」
同意を貰おうと男の娘を向いたけど、きっとそれはいい返事は貰えないんじゃないかな。
「彼女優先で。まだ付き合って日が浅いんですから、彼女優先したって誰にも責められることじゃありません」
男の娘が宇宙人の友達を諭すように言い含める。
「……まさかの裏切り。タケノシン、前期の試験誰のおかげでそこそこいい点数取れたと思ってる?」
「シロー先輩、るんちゃんですよ。それに試験の点数は勿論実力です!」
男の娘が言い切ったことに、私はぷぷ、と吹き出す。
「そこ、笑わない! タケノシンとみゃーちゃんが冷たくてお兄さん哀しい!」
「シロー先輩、それが人生です。人生は切ないものですよ。女装が似合わないのも人生です」
うんうん、と頷く男の娘に、私は笑いをこらえきれなくて慌てて口を押える。
「二人とも後輩がいのない……。なんかさ、俺がイメージしてた“みはる”ちゃんとは違うな、って感じがして違和感があるんだよね」
それはそうだろう。あれ偽物、本物こちら。
「メールだけで相手の性格が分かるものですか?」
分かられても困るんだけど?
「少なくとも、束縛はしなさそうなイメージだった、かな」
「そんなの実際はどうか分かりませんよ」
男の娘の言葉に、迷わず同意する。多分束縛するような性格ではないと思うけど、今日ばかりは同意するしかない。
そうか、騙られるということは、私のイメージを変える可能性があるってことになるのか。……でも、ばれることはない予定だし……気にしなくて大丈夫?
彼女は、私を騙る侵略者?
その宇宙人は単なる地球人であり、単なる宇宙バカだ。本当に、間違いなく、迷うことなく、宇宙バカだと断言できる。ついでにその宇宙人は宇宙語まで操れる。……単なる悪筆で解読不能なだけだが。
元々間違いメールから始まったその交信は、半年ごとの本当にたまにある繋がりだった。それが、何の因果か、大学に入り宇宙人と遭遇することになってしまった。完全に巻き込まれた形で。
でも、その宇宙人とはまだお互いにきちんと名乗ったこともないので、宇宙人には私がその交信の相手だとはばれてはいない。宇宙人とは勉強の話しかしたことはないので、ばれる要素もない。ばらす必要も感じないので、きっとずっとそのままだと思うし、このままメールのやり取りは続いていくだろう。
そう、夏休みまでは思っていた。
空調の効いた館内から出ると、まだ残る暑さが肌にまとわりつく。
八月も終わったのにまだ暑さが和らがないことにウンザリしながらも、そう言えばあのメールに返信しなかったな、と思い出したのは、映画館から出てきたら宇宙人の姿を見つけたからだ。
やはりこの映画のセレクトは宇宙人ならではだろう。今日の映画は私的にも当たりだった。ロマンがある。
あのM13の画像のメールは何だったんだろうな、と思いつつも、まあいいかと結論付ける。実は、実家に帰っている間に、宇宙人から一度メールが来ていた。一番最初に貰ったM13の画像。友達に会いに行く直前で、返信するのを忘れていたことを今思い出した。
返事をしなくても返事を要求するようなメールはなかったし、何しろ今私は未知との遭遇を果たしている気分になっているからだ。
宇宙人にも彼女が存在するんだな、という、まあ、考えて見ればごく当たり前の出来事なのに、宇宙人認定していたせいで宇宙人の隣にいる地球人の女子の姿に一瞬驚いてしまった。
宇宙人の隣にいて腕をからませている女子が彼女じゃないと言うのであれば、何というのか教えて欲しいぐらいだが、間違いなく彼女だろう。
宇宙人と宇宙人の友達と学食で遭遇する時には全く女っ気がなかったため、彼女がいないものだとばかり思っていたが、そもそも遭遇するのは月に数回程度で、それだけで彼女の有無を断定できるわけもない。
一度勉強会に私の身代わりに差し出した肉食女子に宇宙人と宇宙人の友達が怒ったのもそれがあったんだろう。知らなかったとは言え、彼女持ちにあんな肉食女子を提供したら迷惑千万なだけだっただろう。今度会ったら謝っておこう。
思い込みっていけないな、と自分を戒める。
宇宙人の彼女が火星人であって欲しいなどと、そんなこと言っちゃいけない。
あの想像上の銀色の体が宇宙人の隣で跳ねているのを想像するだけでワクワクするけど、宇宙人にだって地球人の女子と付き合う権利はある。仕方あるまい。
あ、でもそうなると、私が送ってるメールも迷惑メールに近いものだろうな、と思う。
彼女からしてみれば、意味不明とは言え“みはる”という女子を表す存在からのメールを心安らかに受け取れる人はどれくらいいるだろうか。
心の広き彼女であれば、あんな意味不明のメールなど笑って流せるだろうが、宇宙人の彼女が心の広き彼女かどうかもわからないわけで。むしろ、今までそのメールの存在を宇宙人の彼女に責められて別れを選ばれるとかいう切ないことがなかったことを願う。
……メールの返信の有無は、そこら辺もあったのかもしれない。済まぬ、宇宙人。
今反省の真っ最中だ。今更だが。決して火星人と付き合ってほしくて彼女と別れればいいと思っていたわけではない、ということをここに宣言したい。
と言うことは、宇宙人との交信もこれまでか。高校一年から続いてたものだから、終わるとなるとそこはかとした寂しさみたいなものはある。
でも、私の単なる八つ当たりのためにカップルにいざこざを起こしたいほど神経ひねくれてはないし。
八つ当たりはあれだ、男の娘にスライドしよう。男の娘に彼女ができるとは思えぬ。……大変申し訳ないが、あれじゃ無理だろう。
ついでにメールで婉曲的な八つ当たりなんてかわいいものじゃなくて、直接的にだ。男の娘には連絡先も教えてないしね。
まあ、私の八つ当たりも半年に一回くらいの割合だし、男の娘にも耐えれよう。
宇宙人カップルの背中を見送りながら、私は能天気にそんなことを考えていた。
*
「ちょっと入れて」
私と男の娘の間にあった席に座ってきたのは、宇宙人の友達だった。暑さは絶賛継続中で、学食は冷房が効いている。
「まだテスト期間には早いですよ」
そんな約束をした記憶はないし、私らが後期のテストの時には四年生は卒論関係で大わらわな気がするから、そんな予定もないだろうけど。
「やだなみゃーちゃん。一人で食べるのが寂しいなと思ったら、二人が見えたから混ぜてもらったんでしょ?」
「あれ? ケイスケ先輩は?」
男の娘の疑問に宇宙人の友達が斜め前方を指差す。
「流石に彼女といちゃついてるところに混ぜてはもらえないよね」
なるほど宇宙人の友達の指の先には、イチャイチャしているようにしか見えない宇宙人カップルがいた。
どちらかと言えば彼女の方が積極的だが、宇宙人もあながち嫌がってはない。
「え。ケイスケ先輩彼女いたんですか?」
驚いた声を出す男の娘は、仲間が減ったと嘆いているように聞こえる。……それならば男装をすればいいのに。男の娘の心理が複雑すぎる。
「最近できたんだよ。でも昔からの知り合いなんだよね」
へー、とどうでもいい情報を聞き流しながら、定食のメインである唐揚げを口にはこぶ。
「同じ学部ですか?」
どうやら男の娘は興味津々のようだ。
「いや。それが、大学一年の時に圭介がメールを間違って送った相手がいてさ」
ああ宇宙人のうっかりは私以外にも発揮されていたのか、と笑いが漏れそうになりつつ我慢する。どんだけうっかりだよ。
「え? それからってことですか?」
「付き合いって言う意味ではね。それが何の因果か、そのメールの相手が同じ大学に入学してきたってわけ。直接顔を合わせたのはこの大学入ってかららしいよ」
それはすごい。ここにももう一人いるわけだし。宇宙人のうっかりが同じ大学に呼び寄せる鍵なのか? と言うことは、私がD判定を覆してこの大学に入学できたのは、宇宙人の吸引力によるものなのかも。これは、宇宙人を神として崇め奉らねば!
私は心の中で手を合わせながら、から揚げを咀嚼しつつ、宇宙人という名の神の姿を眺めた。神が彼女といちゃつくという俗世間にまみれている様子は信仰心を高めるのにはよろしくなさそうだけど、まあ、神には違いない。
「すごいですね」
男の娘も感嘆した様子で宇宙人たちを見ている。そうだ、宇宙人は神なのだ。崇め奉るが良い!
「夏休み頃までは本当にメールをやり取りしてるだけだったんだけど、彼女はさ“みはる”ちゃんって言うんだけど、どうやらずっと圭介のことが好きだったみたいなんだよね」
ぽと、と箸でつかんでいたから揚げが皿に落ちた。
……みはる?
「ずっとって……メールのやり取りしてる間、ってことですか?」
男の娘がふんふん、と相槌を打っている。
「その時から何となくいいな、とは思ってたらしいんだけど、大学生になってからどうやら圭介と同じバイト先で働きだしたらしくて、それでいいな、と思ってたら、何と昔からメールのやり取りをしてた相手だったってわけ。すごくない?」
「すごいですね! そんなに偶然が重なる確立って、すごくないですか」
男の娘よ興奮して地声に戻ってるよ? まあ、その興奮する理由は分かる。だが私は今違うことがものすごく気になっている。……いや、きっと気のせいだ。気のせいに違いない。
「どんなメールだったんでしょうね。離れ離れの二人がやり取りしたメールって。何だかロマンチックですね」
男の娘の言葉に、ぷ、と宇宙人の友達が吹き出す。
「ロマンチックなのかは知らないけど、銀河の画像とか太陽の画像とかのやり取りだったよ」
「銀河? ……アンドロメダ銀河とか、ですか?」
男の娘が首をかしげる。
「そうそう、M31もあったよね。M110とかも送られて来てたな」
動揺しつつつまんだきんぴらごぼうが、はたりと落ちる。
「滅茶苦茶ロマンチックじゃないですか!」
男の娘が興奮する。
「でもメールの本文は“ご飯飽きませんか”だよ?」
気持ちを落ち着けようと飲みかけたお茶を気管に入れてしまって悶える。
「みゃーちゃん大丈夫?」
私は口許を覆いながら宇宙人の友達にコクコクと頷く。
いやいやきっとたまたまだ。私ともしたようなやり取りをきっと宇宙人なら誰とでもしそうだ。だからきっとたまたま彼女さんもそんなメールを送ったんだ……そうに違いない。
「それってご飯作りましょうか? ってことじゃないですか! めちゃめちゃケイスケ先輩アプローチされてますね!」
なるほど、そういう使い方もあるわけだね! 私のメールは違うよ。その言葉通りの意味だよ!
「ああ、そう言われればそうかもね。流石タケノシン。女心に聡いね」
「いやいや。伊達に女装してませんから。それと、るんちゃんですよ」
……色々と男の娘に突っ込みたいことはあるが、まず女装のクオリティはあげてほしい。
「そうか、じゃあ、今までの八つ当たりみたいなメールって、女心の裏返しってやつだね」
八つ当たり―。何かが当選したような気分になったのも、きっと気のせいだ。うん、気のせい、気のせい。間違いない。
「八つ当たり、ですか? ああ、どうして私に気付いてくれないんですか! ってことですね」
私の八つ当たりにはそんな意図は全くないけど……。“みはる”さんにはあったのかも……しれないよね?
「そう言うことだろうね」
「じゃ、付き合いだしたのは、みはるさんからのアプローチってことですか?」
「そうらしいよ」
「でも、あれを見る限り、ケイスケ先輩もまんざらじゃなかったんですね」
「みたいだね。みはるちゃん、メールを通してじゃない私を見てくださいって、使ってたメルアド変えちゃってメールでのやり取り禁止らしいよ」
「ああ、メールだけの繋がりだったから、その繋がりだけじゃ嫌だってことですね。情熱的ですね」
「そうだよね。って、みゃーちゃん静かだけど、もしかして圭介に彼女ができてショックだったりする?」
男の娘との会話に夢中になっていた宇宙人の友達が私に視線を向ける。
「あ、それはどうでもいいんです。人の恋路に興味はないんで。すごいことがあるんだなって、感心して聞いてただけですよ」
今の話でようやく、私は夏休みに送られてきた宇宙人からのメールの意味が理解できた。
「うん、確かにそう言う感じじゃなさそう。みゃーちゃんには“みはる”ちゃんみたいな気持ちがまだ分からないんだろうね。お子ちゃまだな」
私の表情を見て、宇宙人の友達は私が宇宙人に対して恋心を抱いていたのかも、という勘違いを見事に消去してくれた。うん、そうしてくれれば、何と言われてもいい。
私は、純粋にすごいな、と口をぱかりと開けて宇宙人カップルを見ていた。多分、間違いなく、百発百中、宇宙人が元々知っている宇宙人の友達が語った“みはる”は、私のことだ。だけど、宇宙人がバイト先で出会ったという“みはる”さんが、そのメールをやり取りしていたのは自分だったと言い出した。そしてそれを宇宙人は信じた。
そしてきっと“みはる”という名前が、宇宙人の勘違いを助長しただろうことは間違いないし、その裏付けに、夏休みの宇宙人からのメールがあったんだと思う。あの夏休みの宇宙人からのメールは……あのメールから返信がないかどうかの確認メールだったはず。そうなると、私がメールを返信しなかったのは、“みはる”さん的には、きっと正解、だった。
想像もしてない出来事に唖然としていたのが整理されると、途端に他の気持ちが沸きあがってきた。
急に口元がムズムズしてきて、ニヤニヤしたくてたまらない。
今となれば知らないうちに人の恋路を邪魔しなかったことにほっとしている。だって! 宇宙人の彼女が地球人の姿をした火星人なのだ! ニヤニヤしたくもなる。私を騙る行動は、侵略者みたいだ。だから、地球人の姿をした火星人なのだ。誰が何と言おうと!
”みはる“さんは本当は銀色の体を宇宙人の隣でぴょこぴょこと跳ねさせたいだろうに、私と言う地球人に擬態してしまったから制約がある。そんなところも火星人っぽい! 別人の“みはる”を騙る行為が褒められたことではないのは理解しているけど、とりあえず騙られた方の私に直接実害があるわけではないし、宇宙人は彼女ができてハッピーだし、宇宙人の彼女だって恋が実ってハッピーだ。
“みはる”さんがついてしまった嘘がばれてしまった場合には、残念としか言いようがないが、まあ、かわいい嘘だと宇宙人に理解される可能性もなくはない。人の恋路のために私のメルアドを変更する必要性は全く感じないのでそのままにするつもりだけど。私のメルアドがどこか経由で宇宙人にばれる、ということはあり得ないと思うし、まあ、宇宙人が“みはる”さんのことを信じている限りには大丈夫だろう。
宇宙人たちの恋愛がどんな方向を向いていこうとも、私には関係のない話だし。
そこまで考えると、ようやく落ち着いて食事を再開する。宇宙人の友達と男の娘はまだ盛り上がっているけど、もう宇宙人カップルのなれそめエピソードなど正直どうでもいい。ふと、夏休みに友達が言っていたことを思い出して、確かにそうかも、と思う。
“現実にロマンスはあり得ない”
確かに宇宙人カップルのなれそめは、表向きは色んな偶然が重なったロマンチックな話になっているが、その実、半分以上はノンフィクションを借りてきたフィクションだ。確かにノンフィクションではそんなロマンチックな話にはならなかっただろう。
……だって、私と宇宙人が? ないな、とだけ思う。今の私には、誰も恋愛対象にはならないけど。
あ、今日の浅漬けはおいしいかも。ポリポリと浅漬けを食べながら、宇宙人カップルを視界に入れてニヤニヤする。宇宙人と地球人の姿をした火星人のカップル。いい組み合わせだ。
*
「ちょっと入れて」
私と男の娘の間にあった席に座ってきたのは、宇宙人の友達だった。
なんかデジャヴ。でも、前回のは一か月くらい前だったかな? そう言えば冷房もいつの間にか必要なくなっていたことを思い出す。
「ケイスケ先輩また彼女といちゃついてるんですか?」
男の娘の言葉に、宇宙人の友達がうーん、と首をかしげる。
「いちゃついてる……のかな?」
私と男の娘の視線は、自然に宇宙人の友達の視線の先に向かう。
「いちゃついてるじゃないですか」
男の娘の言葉に、私もコクリと同意する。
どう見ても、一か月前と変わらぬいちゃつきっぷりだと思うのだが。久しぶりに宇宙人と地球人の姿をした火星人カップルを視界に入れたので、ついまじまじ見てしまう。火星人が地球人への擬態を辞めてないかと目を凝らしてみたけど、全く銀色の肌は見えない。とても残念だ。
「……まあ、いちゃついているように見える、よね」
ハハ、と乾いた笑いを漏らす宇宙人の友達の様子が、今までに見たことがないことに気付く。
「どうかしたんですか?」
男の娘が先に宇宙人の友達に問いかける。
「いや、何でもないよ。俺がどうこう言うことでもないしね」
「気になることがあるんですか?」
男の娘が心配そうな様子で尋ねるのに、宇宙人の友達は首を横に振る。
「俺が口出すようなことじゃないからね」
「まあ、聞いてもどうにもならないですけど、口に出したらすっきりするんじゃないですか?」
私の言い分に、宇宙人の友達がぷ、と吹き出す。
「みゃーちゃん、最初から聞いてもどうにもならないって言い切るとかないから」
「だって、聞いたところで、間違いなく問題は解決しそうにないですよね?」
「みゃー、そんな男前発言いらないから。もう少し心配してる体(てい)だしなよ」
「タケノシンもなかなかだな。心配してる体って、心配してないだろ」
「いえいえ、心配してる体ですから、心配してますよ」
男の娘よ、全くフォローになってないし。でも表情がちょっと固かった宇宙人の友達がクククと笑いだす。
「ま、いいや。単にね、友達として彼女の束縛強くて圭介平気なのかな、って思ってるだけ」
「へぇ。束縛系ですか」
なるほど、宇宙人を捕獲する人物が現れたってことだね! まあ、火星人ならばきっと捕獲する術があるんだろう。
「束縛系、駄目ですか?」
男の娘の発言に、やや引く。男の娘が束縛系なのか、束縛されたい方なのか。…知らない方が幸せそうなので問い合わせるのはやめておこう。
「駄目ってわけでもないんだけどね、たださ……」
宇宙人の友達が宇宙人カップルを見て息をつく。
「俺と遊ぼうとするのも阻止されるんだけど」
「なるほど、自分が遊んでもらえなくて拗ねてるんですね!」
私の断定に、宇宙人の友達がむっとする。
「拗ねてるってわけではないけど……友達と遊ぶくらい良くない?」
同意を貰おうと男の娘を向いたけど、きっとそれはいい返事は貰えないんじゃないかな。
「彼女優先で。まだ付き合って日が浅いんですから、彼女優先したって誰にも責められることじゃありません」
男の娘が宇宙人の友達を諭すように言い含める。
「……まさかの裏切り。タケノシン、前期の試験誰のおかげでそこそこいい点数取れたと思ってる?」
「シロー先輩、るんちゃんですよ。それに試験の点数は勿論実力です!」
男の娘が言い切ったことに、私はぷぷ、と吹き出す。
「そこ、笑わない! タケノシンとみゃーちゃんが冷たくてお兄さん哀しい!」
「シロー先輩、それが人生です。人生は切ないものですよ。女装が似合わないのも人生です」
うんうん、と頷く男の娘に、私は笑いをこらえきれなくて慌てて口を押える。
「二人とも後輩がいのない……。なんかさ、俺がイメージしてた“みはる”ちゃんとは違うな、って感じがして違和感があるんだよね」
それはそうだろう。あれ偽物、本物こちら。
「メールだけで相手の性格が分かるものですか?」
分かられても困るんだけど?
「少なくとも、束縛はしなさそうなイメージだった、かな」
「そんなの実際はどうか分かりませんよ」
男の娘の言葉に、迷わず同意する。多分束縛するような性格ではないと思うけど、今日ばかりは同意するしかない。
そうか、騙られるということは、私のイメージを変える可能性があるってことになるのか。……でも、ばれることはない予定だし……気にしなくて大丈夫?
彼女は、私を騙る侵略者?
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