【完結】悪役令嬢は婚約者を差し上げたい

三谷朱花

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グリーン先生の忠告

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「いいかね、ハース君。卒業式は、学校の卒業を祝う会だ。君たちの結婚式じゃない」
 グリーンは、ハースによくわかるようにゆっくりと告げた。
「そんなこと、知っています」
 ハースが苦笑する。

「じゃあ、どうして卒業生代表の挨拶、アリス君が一緒じゃないと嫌だって言うんだ?!」
 グリーンが、こめかみを揉んだ。その表情は険しかった。
「何がおかしいんですか?」
 ハースが首をかしげた。

 グリーンは、トン、と控えめにテーブルを叩いた。本当はもっと強くやりたかったのだが、なんだか強気にはなれなかった。
「いいかい? 卒業生代表の挨拶は、神聖なものだ。在校生が君の一挙一動に目を向けるんだ。なぜそこに、アリスくんが要るんだ?」
 カッとハースが目を見開いた。

「神聖なものだからこそ、アリスが必要なんです! 先生がおっしゃるように在校生に向けて……いえ、その場にいる人間すべてに向けて、私は宣言したいのです!」
 グリーンがまばたきをした。
「何を?」

「私たちの愛は永遠だと!」
 グリーンはポカンとしたあと、我に返った。
「在校生に向けてだからね?」
 ハースがこくりとうなずく。
「私たちのようになれ、と在校生には言いたいのです!」

「別のところでやってくれるかな」
「私たちの宣言にふさわしい場は、あの場以外ないのです」
「絶対違うから」
「グリーン先生。大丈夫です。学園長の許可は出てます!」
 ハースがにっこり笑う。

「絶対後悔するやつだって!」
 グリーンが顔を手で覆った。
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