13 / 13
★フィオーレSide ★
しおりを挟む
目の前に並ぶ5人の青年に、私はパチパチと瞬きを繰り返す。
コストナー王国に着いて、国王陛下と王妃殿下に婚約の報告をしたあと、テオ様のお兄様たちが5人、揃って出迎えてくれたんだけれど……。
テオ様の報告に、なぜか5人はそれぞれに叫び声をあげた。
「まさか、テオが結婚するって言い出すとは!」
嬉しそう雄叫びをあげたのは、第一王子。つまり、皇太子殿下。
……きっと、末の弟が婚約したのが、嬉しかったのよね?
……でも、そうなると後の4人は?
第二王子殿下は頭を抱えて天井に向かって何やら言っている。
「まさか! テオがフィオーレ嬢の相手だったなんて!」
「私じゃ悪いんでしょうか、兄上」
テオ様が困ったように突っ込むけれど、第二王子殿下は聞こえていないみたい。
……私のことを好きってわけではないと思うの。だって、第二王子殿下は、溺愛するお妃様がいるわけだし。
それは、他の王子殿下も一緒なのよね。だから、益々その反応が不思議でならないんだけど。
「番か! まさかそんなシステムにテオが組み込まれているとか思わないし!」
悔しそうなのは、第三王子殿下。
「あの、システムって訳じゃないんですよ? 本能と言いますか……」
一応、語弊がありそうなので訂正しておく。……悔しそうに唇を噛んでいて、聞いてはいないみたいだけど。
「あー。こんなことだったら、さっさとテオをフィオーレ様に差し出すんだった!」
地団駄を踏んでいるのは、第四王子殿下。
「あの、テオ様はモノではありませんので……」
「うん、モノじゃない。でも、そのつもりがあったのなら、無理矢理にでも会わせてくれれば良かったのに」
テオ様の甘い視線に、私も小さくうなずく。
……でも、益々4人が何を悔しがっているのか、わからなくなってきたわ。
「あー! まさかの兄上の一人勝ちか!」
第五王子殿下の大きなため息に、私とテオ様の動きが止まる。
……一人勝ち?
「まさか兄上たち、私が結婚するかどうかを賭けていたんですか?!」
テオ様の言葉に、5人の視線がテオ様に向く。
「「「「「当然」」」」」
見事なシンクロだわ!
「私の結婚で賭けをしないでください!」
呆れた様子のテオ様に、皇太子殿下が、ポン、と肩を叩く。
「私は、テオが結婚できると信じていたよ」
「兄上の言い方だと、他の4人は私が結婚できないと思っていたみたいですよ」
ため息をつきながら首を横にふるテオ様に、第四王子殿下が手刀を入れる。
咄嗟に避けたテオ様に、第四王子殿下がムッとする。
「避けるなよ」
「兄上の手刀など受けたら、洒落になりませんから!」
テオ様、第四王子殿下は脳筋なんだと説明してたから……。
肩をすくめた第四王子殿下が口を開く。
「私は結婚しません、と断言していたのはどこのだれだよ!」
「いや、確かに言いましたけど」
そうなんだ。じゃあ、テオ様が結婚せずにいてくれたのは、テオ様の意思ではあったけど、運命だったのかな。
「する気がないのがよくわかってたんだから、結婚しない方に賭けるだろう、普通」
第三王子殿下が、ブスリと告げる。
「普通っておかしいでしょう?」
テオ様がため息をつく。そうね。それには同意だわ。私も頷く。
「なのに! フィオーレ様に会った途端、手のひらを返したのかよ!」
第二王子が嘆く。……ちょっと表現がおかしい気がするんだけど。
「フィオーレ様を見た瞬間、フィオーレ様以外は目に入らなくなった。番ってそんなものらしいから」
「「「「「番じゃなくてもそれはわかる!」」」」」
……お妃様たち、愛されてるなぁ。
「テオは絶対結婚できないと思ってたのに!」
第五王子殿下が顔を覆う。
肩が震えてるけど、まさか、泣いているのかしら?
「泣くって!? 一体、兄上たちは何を賭けたんです!?」
テオ様の疑問に、満面の笑みの皇太子殿下が口を開いた。
「私の妃が一番だと言う権利だよ。他の4人は私の前ではもう言っちゃいけないんだ」
悔しそうな4人の肩が落ちる。
4人には悪いのだけれど、私は微笑みが止められそうにもなかった。
だって、何だか5人とも、可愛らしいんですもの!
「兄上、その賭けに私は入ってないんだから、兄上の前でフィオーレのことを一番だと言ってもいいんですよね?」
真面目な顔のテオ様に、私は頬が熱くなる。
コストナー王国に着いて、国王陛下と王妃殿下に婚約の報告をしたあと、テオ様のお兄様たちが5人、揃って出迎えてくれたんだけれど……。
テオ様の報告に、なぜか5人はそれぞれに叫び声をあげた。
「まさか、テオが結婚するって言い出すとは!」
嬉しそう雄叫びをあげたのは、第一王子。つまり、皇太子殿下。
……きっと、末の弟が婚約したのが、嬉しかったのよね?
……でも、そうなると後の4人は?
第二王子殿下は頭を抱えて天井に向かって何やら言っている。
「まさか! テオがフィオーレ嬢の相手だったなんて!」
「私じゃ悪いんでしょうか、兄上」
テオ様が困ったように突っ込むけれど、第二王子殿下は聞こえていないみたい。
……私のことを好きってわけではないと思うの。だって、第二王子殿下は、溺愛するお妃様がいるわけだし。
それは、他の王子殿下も一緒なのよね。だから、益々その反応が不思議でならないんだけど。
「番か! まさかそんなシステムにテオが組み込まれているとか思わないし!」
悔しそうなのは、第三王子殿下。
「あの、システムって訳じゃないんですよ? 本能と言いますか……」
一応、語弊がありそうなので訂正しておく。……悔しそうに唇を噛んでいて、聞いてはいないみたいだけど。
「あー。こんなことだったら、さっさとテオをフィオーレ様に差し出すんだった!」
地団駄を踏んでいるのは、第四王子殿下。
「あの、テオ様はモノではありませんので……」
「うん、モノじゃない。でも、そのつもりがあったのなら、無理矢理にでも会わせてくれれば良かったのに」
テオ様の甘い視線に、私も小さくうなずく。
……でも、益々4人が何を悔しがっているのか、わからなくなってきたわ。
「あー! まさかの兄上の一人勝ちか!」
第五王子殿下の大きなため息に、私とテオ様の動きが止まる。
……一人勝ち?
「まさか兄上たち、私が結婚するかどうかを賭けていたんですか?!」
テオ様の言葉に、5人の視線がテオ様に向く。
「「「「「当然」」」」」
見事なシンクロだわ!
「私の結婚で賭けをしないでください!」
呆れた様子のテオ様に、皇太子殿下が、ポン、と肩を叩く。
「私は、テオが結婚できると信じていたよ」
「兄上の言い方だと、他の4人は私が結婚できないと思っていたみたいですよ」
ため息をつきながら首を横にふるテオ様に、第四王子殿下が手刀を入れる。
咄嗟に避けたテオ様に、第四王子殿下がムッとする。
「避けるなよ」
「兄上の手刀など受けたら、洒落になりませんから!」
テオ様、第四王子殿下は脳筋なんだと説明してたから……。
肩をすくめた第四王子殿下が口を開く。
「私は結婚しません、と断言していたのはどこのだれだよ!」
「いや、確かに言いましたけど」
そうなんだ。じゃあ、テオ様が結婚せずにいてくれたのは、テオ様の意思ではあったけど、運命だったのかな。
「する気がないのがよくわかってたんだから、結婚しない方に賭けるだろう、普通」
第三王子殿下が、ブスリと告げる。
「普通っておかしいでしょう?」
テオ様がため息をつく。そうね。それには同意だわ。私も頷く。
「なのに! フィオーレ様に会った途端、手のひらを返したのかよ!」
第二王子が嘆く。……ちょっと表現がおかしい気がするんだけど。
「フィオーレ様を見た瞬間、フィオーレ様以外は目に入らなくなった。番ってそんなものらしいから」
「「「「「番じゃなくてもそれはわかる!」」」」」
……お妃様たち、愛されてるなぁ。
「テオは絶対結婚できないと思ってたのに!」
第五王子殿下が顔を覆う。
肩が震えてるけど、まさか、泣いているのかしら?
「泣くって!? 一体、兄上たちは何を賭けたんです!?」
テオ様の疑問に、満面の笑みの皇太子殿下が口を開いた。
「私の妃が一番だと言う権利だよ。他の4人は私の前ではもう言っちゃいけないんだ」
悔しそうな4人の肩が落ちる。
4人には悪いのだけれど、私は微笑みが止められそうにもなかった。
だって、何だか5人とも、可愛らしいんですもの!
「兄上、その賭けに私は入ってないんだから、兄上の前でフィオーレのことを一番だと言ってもいいんですよね?」
真面目な顔のテオ様に、私は頬が熱くなる。
46
お気に入りに追加
220
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(2件)
あなたにおすすめの小説
竜王陛下の番……の妹様は、隣国で溺愛される
夕立悠理
恋愛
誰か。誰でもいいの。──わたしを、愛して。
物心着いた時から、アオリに与えられるもの全てが姉のお下がりだった。それでも良かった。家族はアオリを愛していると信じていたから。
けれど姉のスカーレットがこの国の竜王陛下である、レナルドに見初められて全てが変わる。誰も、アオリの名前を呼ぶものがいなくなったのだ。みんな、妹様、とアオリを呼ぶ。孤独に耐えかねたアオリは、隣国へと旅にでることにした。──そこで、自分の本当の運命が待っているとも、知らずに。
※小説家になろう様にも投稿しています
私のことが大好きな守護竜様は、どうやら私をあきらめたらしい
鷹凪きら
恋愛
不本意だけど、竜族の男を拾った。
家の前に倒れていたので、本当に仕方なく。
そしたらなんと、わたしは前世からその人のつがいとやらで、生まれ変わる度に探されていたらしい。
いきなり連れて帰りたいなんて言われても、無理ですから。
そんなふうに優しくしたってダメですよ?
ほんの少しだけ、心が揺らいだりなんて――
……あれ? 本当に私をおいて、ひとりで帰ったんですか?
※タイトル変更しました。
旧題「家の前で倒れていた竜を拾ったら、わたしのつがいだと言いだしたので、全力で拒否してみた」
王子と従者と私〜邪魔なのは私だった
jun
恋愛
新婚旅行の途中で事故に遭い、私と夫は大怪我で入院する。
1ヶ月意識を失くし、目覚めた私に医師が告げたのは、頭を強く打った夫は私と出会う前までの記憶しかないということ。
先祖返りの元第二王子の夫シリルと夫の従者のケネスの関係を知った16歳。私がようやく結婚出来た19歳でのシリルの記憶喪失。
もう私にはもう一度やり直す気力はなかった…
*完結まで描き終えております。
体調を崩し、その他連載中のものも少しずつ完結させていこうと思っていますが、自分の身体と相談しながらのんびりいこうと思っておりますので、よろしくお願いします。
*19時に投稿予定にしております。
運命は、手に入れられなかったけれど
夕立悠理
恋愛
竜王の運命。……それは、アドルリア王国の王である竜王の唯一の妃を指す。
けれど、ラファリアは、運命に選ばれなかった。選ばれたのはラファリアの友人のマーガレットだった。
愛し合う竜王レガレスとマーガレットをこれ以上見ていられなくなったラファリアは、城を出ることにする。
すると、なぜか、王国に繁栄をもたらす聖花の一部が枯れてしまい、竜王レガレスにも不調が出始めーー。
一方、城をでて開放感でいっぱいのラファリアは、初めて酒場でお酒を飲み、そこで謎の青年と出会う。
運命を間違えてしまった竜王レガレスと、腕のいい花奏師のラファリアと、謎の青年(魔王)との、運命をめぐる恋の話。
※カクヨム様でも連載しています。
そちらが一番早いです。
[完結]間違えた国王〜のお陰で幸せライフ送れます。
キャロル
恋愛
国の駒として隣国の王と婚姻する事にになったマリアンヌ王女、王族に生まれたからにはいつかはこんな日が来ると覚悟はしていたが、その相手は獣人……番至上主義の…あの獣人……待てよ、これは逆にラッキーかもしれない。
離宮でスローライフ送れるのでは?うまく行けば…離縁、
窮屈な身分から解放され自由な生活目指して突き進む、美貌と能力だけチートなトンデモ王女の物語
前世を思い出したので、最愛の夫に会いに行きます!
お好み焼き
恋愛
ずっと辛かった。幼き頃から努力を重ね、ずっとお慕いしていたアーカイム様の婚約者になった後も、アーカイム様はわたくしの従姉妹のマーガレットしか見ていなかったから。だから精霊王様に頼んだ。アーカイム様をお慕いするわたくしを全て消して下さい、と。
……。
…………。
「レオくぅーん!いま会いに行きます!」
おいしいご飯をいただいたので~虐げられて育ったわたしですが魔法使いの番に選ばれ大切にされています~
通木遼平
恋愛
この国には魔法使いと呼ばれる種族がいる。この世界にある魔力を糧に生きる彼らは魔力と魔法以外には基本的に無関心だが、特別な魔力を持つ人間が傍にいるとより強い力を得ることができるため、特に相性のいい相手を番として迎え共に暮らしていた。
家族から虐げられて育ったシルファはそんな魔法使いの番に選ばれたことで魔法使いルガディアークと穏やかでしあわせな日々を送っていた。ところがある日、二人の元に魔法使いと番の交流を目的とした夜会の招待状が届き……。
※他のサイトにも掲載しています
君は僕の番じゃないから
椎名さえら
恋愛
男女に番がいる、番同士は否応なしに惹かれ合う世界。
「君は僕の番じゃないから」
エリーゼは隣人のアーヴィンが子供の頃から好きだったが
エリーゼは彼の番ではなかったため、フラれてしまった。
すると
「君こそ俺の番だ!」と突然接近してくる
イケメンが登場してーーー!?
___________________________
動機。
暗い話を書くと反動で明るい話が書きたくなります
なので明るい話になります←
深く考えて読む話ではありません
※マーク編:3話+エピローグ
※超絶短編です
※さくっと読めるはず
※番の設定はゆるゆるです
※世界観としては割と近代チック
※ルーカス編思ったより明るくなかったごめんなさい
※マーク編は明るいです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
無様とかひどすぎですね!
感想ありがとうございます。
楽しんでいただけたようで幸いです。
こんにちは(」・ω・)
最後のテオ様兄弟の仲の良さが良いですね(*^^*)
自分のお妃様第一主義も良き👍
平和で素晴らしい国なんでしょうね…
皆お幸せに( *´꒳`* )
感想ありがとうございます。
楽しんでいただけたようで何よりです!