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ならば⑬
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「廃嫡と言う言葉すら知らない人間が皇太子とは、本当に信じられませんわ! ファビアン殿下は、勉強という勉強から逃げ回り、とうとう、ご自分に関係する言葉すら習得することなく、学院を卒業してしまわれるのですね」
「そ、そんなめったに聞かない言葉を、知らないからと言って、国王として困ることはないだろう! わからなければ、周りにいる人間たちに確認すればよいのだ!」
夢なのに、クリスティアーヌ様はまともなことを言うのね。会ったこともないのに、こんなこと言えるってわかるなんてすごいわ!
「廃嫡とは、皇太子の身分をはく奪することですわ。それでも、周りの人に聞いてから知ればよかった言葉だと思っていらっしゃるのかしら?」
「はく奪?! なぜ私が!?」
ファビアン殿下が、顔を真っ赤にする。
ファビアン殿下は、夢の中でもとことん残念なのね!
「よく、そのような疑問を持つことができますわね。皇太子としての責務を全うせず、嫌なことから逃げ回り、自分に厳しい人間を遠ざけ、自分が好き勝手に生活する。それが、一国の国王となるべき人の態度でしょうか?」
「な、何を言う! わ、私だって国王になるべき帝王学は学んでいる! 学院での勉強など取るに足らぬことではないか! ち、父上は私が十分やっていると認めていたのだ! 現に、私の行動を許していたぞ!」
ファビアン殿下の言葉に、レナルド殿下が表情を変えてくれるけど、笑顔がいつまでも見れそうにないわ! ファビアン殿下、せめて面白いことを言ったらいいのに! 私の夢なのに、レナルド殿下の困った顔しか見れないなんて嫌だわ!
「そう言われてしまえば、国王陛下がお許しになっていたと考えざるを得ませんわね。ですが、私はファビアン殿下の近くで、国王陛下にたびたび苦言を告げられているのを見ていたのですよ? ただ、ファビアン殿下が、その苦言に一度も耳を傾けることがなかっただけではありませんか」
「そ、そんなことはない!」
「いいえ。そんなことが度々ありましたわ。国王陛下、そうでしたわよね?」
レナルド殿下が口を開くわ! 素敵な声が聞けるかしら?
「陛下、もしや、ファビアン殿下がおっしゃっている通り、ファビアン殿下の行いを全てお許しになっていたのですか?」
レナルド殿下の声、想像していた通りだわ!
聞いたことがあるような気がするけれど……夢の中だから、自由よね。
「いえ。私は、ファビアンに良き国王になってほしいと、長年その行いに苦言を述べていたのですが……」
レナルド殿下、私を見てくれないかしら?
「そうでしたわ。でも、ファビアン殿下は、少しも聞く様子がありませんでした。ファビアン殿下は、自分に厳しい意見を言う人間の話を、聞こうとはされません。学びもせず遊び惚けていたファビアン殿下が国のかじ取りをしたとき、国が傾くのは目に見えていますわ。苦言を呈する人間の言葉を聞こうともしないファビアン殿下では、国の明るい未来が見えませんわ」
「意見など聞かなくとも、私はやれる! ノエリアもそう言っている! 私とノエリアの二人がいれば、この国は安泰だ!」
あら、私の名前が出たわ!
嫌だわ、レナルド殿下に、ファビアン殿下に好意があるとか思われたくないわ!
……どうしたらいいかしら?
何か手はないかしら?
「ファビアン殿下とノエリア様の二人がいたら、我が国の貯えも、早々に消えてしまうでしょうね。政治のかじ取りを失敗するだけではなくて、国の貯えまでも食いつぶす国王など、国が消滅するしかありませんのよ?」
「な、何を言い出すんだ! 貯えを食いつぶすなど、そんなことをするわけがないだろう! 我が国の貯えは潤沢にあるではないか!」
「あら。ノエリア様のドレスは、とても高価なものでしてよ? 公爵家令嬢である私でも、手が届きそうにない衣装だわ。バール王国の王妃様くらいでなければ買えないような値段だと思うのだけど。そのドレス、どうやって手に入れたのかしら? ガンス男爵家では、到底買えない衣装でしょうに」
クリスティアーヌ様、どうしてそんなことを知っているの?!
ばれてはいけないのに!
……そうだわ、夢だから! だから、知っているのよね?
「どういうことだ、ファビアン。ノエビア嬢のドレスは、どうやって手に入れたのだ!?」
「あ、あれは……しょ、商人が、そう、付き合いのある商人が、安くで手に入ると言うので、私のつてで買ったものです。国の貯えを使ったわけではないのです! わ、私の個人資産から払っております!」
「ふふふふ」
クリスティアーヌ様ったら、余裕の笑みね。だって、夢だもの!
あの計画がばれる訳がないわ!
「なぜ笑う! 私は国の貯えを使ってはおらん! 調べてみるがよい!」
「ファビアン、本当なのか?」
「父上、本当です! こんな女の言うことに、惑わされないでください!」
レナルド殿下、早く笑ってくれないかしら?
「そ、そんなめったに聞かない言葉を、知らないからと言って、国王として困ることはないだろう! わからなければ、周りにいる人間たちに確認すればよいのだ!」
夢なのに、クリスティアーヌ様はまともなことを言うのね。会ったこともないのに、こんなこと言えるってわかるなんてすごいわ!
「廃嫡とは、皇太子の身分をはく奪することですわ。それでも、周りの人に聞いてから知ればよかった言葉だと思っていらっしゃるのかしら?」
「はく奪?! なぜ私が!?」
ファビアン殿下が、顔を真っ赤にする。
ファビアン殿下は、夢の中でもとことん残念なのね!
「よく、そのような疑問を持つことができますわね。皇太子としての責務を全うせず、嫌なことから逃げ回り、自分に厳しい人間を遠ざけ、自分が好き勝手に生活する。それが、一国の国王となるべき人の態度でしょうか?」
「な、何を言う! わ、私だって国王になるべき帝王学は学んでいる! 学院での勉強など取るに足らぬことではないか! ち、父上は私が十分やっていると認めていたのだ! 現に、私の行動を許していたぞ!」
ファビアン殿下の言葉に、レナルド殿下が表情を変えてくれるけど、笑顔がいつまでも見れそうにないわ! ファビアン殿下、せめて面白いことを言ったらいいのに! 私の夢なのに、レナルド殿下の困った顔しか見れないなんて嫌だわ!
「そう言われてしまえば、国王陛下がお許しになっていたと考えざるを得ませんわね。ですが、私はファビアン殿下の近くで、国王陛下にたびたび苦言を告げられているのを見ていたのですよ? ただ、ファビアン殿下が、その苦言に一度も耳を傾けることがなかっただけではありませんか」
「そ、そんなことはない!」
「いいえ。そんなことが度々ありましたわ。国王陛下、そうでしたわよね?」
レナルド殿下が口を開くわ! 素敵な声が聞けるかしら?
「陛下、もしや、ファビアン殿下がおっしゃっている通り、ファビアン殿下の行いを全てお許しになっていたのですか?」
レナルド殿下の声、想像していた通りだわ!
聞いたことがあるような気がするけれど……夢の中だから、自由よね。
「いえ。私は、ファビアンに良き国王になってほしいと、長年その行いに苦言を述べていたのですが……」
レナルド殿下、私を見てくれないかしら?
「そうでしたわ。でも、ファビアン殿下は、少しも聞く様子がありませんでした。ファビアン殿下は、自分に厳しい意見を言う人間の話を、聞こうとはされません。学びもせず遊び惚けていたファビアン殿下が国のかじ取りをしたとき、国が傾くのは目に見えていますわ。苦言を呈する人間の言葉を聞こうともしないファビアン殿下では、国の明るい未来が見えませんわ」
「意見など聞かなくとも、私はやれる! ノエリアもそう言っている! 私とノエリアの二人がいれば、この国は安泰だ!」
あら、私の名前が出たわ!
嫌だわ、レナルド殿下に、ファビアン殿下に好意があるとか思われたくないわ!
……どうしたらいいかしら?
何か手はないかしら?
「ファビアン殿下とノエリア様の二人がいたら、我が国の貯えも、早々に消えてしまうでしょうね。政治のかじ取りを失敗するだけではなくて、国の貯えまでも食いつぶす国王など、国が消滅するしかありませんのよ?」
「な、何を言い出すんだ! 貯えを食いつぶすなど、そんなことをするわけがないだろう! 我が国の貯えは潤沢にあるではないか!」
「あら。ノエリア様のドレスは、とても高価なものでしてよ? 公爵家令嬢である私でも、手が届きそうにない衣装だわ。バール王国の王妃様くらいでなければ買えないような値段だと思うのだけど。そのドレス、どうやって手に入れたのかしら? ガンス男爵家では、到底買えない衣装でしょうに」
クリスティアーヌ様、どうしてそんなことを知っているの?!
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……そうだわ、夢だから! だから、知っているのよね?
「どういうことだ、ファビアン。ノエビア嬢のドレスは、どうやって手に入れたのだ!?」
「あ、あれは……しょ、商人が、そう、付き合いのある商人が、安くで手に入ると言うので、私のつてで買ったものです。国の貯えを使ったわけではないのです! わ、私の個人資産から払っております!」
「ふふふふ」
クリスティアーヌ様ったら、余裕の笑みね。だって、夢だもの!
あの計画がばれる訳がないわ!
「なぜ笑う! 私は国の貯えを使ってはおらん! 調べてみるがよい!」
「ファビアン、本当なのか?」
「父上、本当です! こんな女の言うことに、惑わされないでください!」
レナルド殿下、早く笑ってくれないかしら?
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