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番外編⑧
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ようやく外に出してもらえることになったみたい。
私の婚約者は、どちらに決まったのかしら?
可能なら、レナルド殿下がいいけれど。ワルテ殿下でも、悪くはないわ。
でも、どうして私の手はくくられているのかしら?
あ! そうだわ! 私に逃げられたら困るからね!
ふふ。逃げることなんてないのに。
あ! 私が誰かに連れ去れられるかもしれない危険性を考えているのもあるかもしれないわね。
そうよね。
私みたいに魅力的な女性を妻にしたい人間は、たくさんいるもの。
ファビアン様……だって、その一人だったわけだし。
そういえば、ファビアン様は、どうしているかしら?
私を失ったショックで、寝込んでいたりして。
気を持たせて、かわいそうなことをしてしまったわ。
でも、仕方ないわ。
私だもの。
殿方が取り合ってしまう運命なのよ。
あら。外に出るのね?
ということは、レナルド殿下の婚約者になることになったのかしら?
きっと、ワルテ殿下だったら、城から出なくていいものね?
あら、凄い歓声だわ!
そうよね。レナルド殿下の婚約者になるのだもの。これだけ祝福されるべきよね。
私を連れて歩いていた騎士が、上に上るように指図してきたわ。
ぶっきらぼうになってるけど、私と話すのが恥ずかしいのね。私の魅力の前じゃ、どんな殿方も惑わせてしまうのよ。本当に、私ったら罪深いわ。
この階段を上るのね。
沢山の歓声の中で、私とレナルド殿下の婚約が発表されるのかしら?
……あら、この道具は何かしら? 昔見たことがある気がするけれど? ……何だったかしら?
あ! 広場の中で高い場所がここしかなかったから、この道具に意味はないのね。
ふふふ、皆が興奮しているわ。
手を振ったら、ますますヒートアップしているわ!
私の人気って、ここまであったのね。
本当に、私ってすごいわ。
え?
何々? どうして急に乱暴に扱うの?
嫌だわ。この騎士、私のことを手放したくなくなってしまったのかしら?
嫌だわ! この道具に固定するなんてどういうつもり?!
いやよ、いやよ!
私はレナルド殿下と結婚するんだから!
「ノエリア!」
あら、この声は。
声のした方に視線を向けると、ファビアン様が懸命に手を振っていた。
……もう、出番はないのに。私の相手は、レナルド殿下なの。ごめんなさい。
寝込んでいるかと思ったけど、案外元気そうだわ。
……ファビアン様、話が通じないところがあったから、まだ自分が振られたことを理解してないのかもしれないわ。
「ノエリア! 今から助けるからな!」
助ける?
えーっと。この道具から助けるってこと?
私は視線をファビアン様に向ける。
ファビアン様が手に持った綱と剣を私に向けて振っている。
あの綱を切ったら、私が解放されるのかしら?
でも、その役目はレナルド殿下がふさわしいと思うわ?
もう、ファビアン様は出番はないはずなのに。
なのに、一層盛り上がるって、どういうことかしら?
……なるほど、これも演出の一つってことね?
じゃあ、無視するわけにもいきませんわ。
とりあえず、いつもの笑顔を向けておきましょう。害はないはずよ。魅了はさせてしまうかもしれないけれど。
ファビアン様が剣を振り上げた。
その瞬間、私はこの道具が何か思いだした。
「ダメ! ファビアン様、切っては」
最後に見えたのは、青ざめるファビアン様の顔だった。
完
私の婚約者は、どちらに決まったのかしら?
可能なら、レナルド殿下がいいけれど。ワルテ殿下でも、悪くはないわ。
でも、どうして私の手はくくられているのかしら?
あ! そうだわ! 私に逃げられたら困るからね!
ふふ。逃げることなんてないのに。
あ! 私が誰かに連れ去れられるかもしれない危険性を考えているのもあるかもしれないわね。
そうよね。
私みたいに魅力的な女性を妻にしたい人間は、たくさんいるもの。
ファビアン様……だって、その一人だったわけだし。
そういえば、ファビアン様は、どうしているかしら?
私を失ったショックで、寝込んでいたりして。
気を持たせて、かわいそうなことをしてしまったわ。
でも、仕方ないわ。
私だもの。
殿方が取り合ってしまう運命なのよ。
あら。外に出るのね?
ということは、レナルド殿下の婚約者になることになったのかしら?
きっと、ワルテ殿下だったら、城から出なくていいものね?
あら、凄い歓声だわ!
そうよね。レナルド殿下の婚約者になるのだもの。これだけ祝福されるべきよね。
私を連れて歩いていた騎士が、上に上るように指図してきたわ。
ぶっきらぼうになってるけど、私と話すのが恥ずかしいのね。私の魅力の前じゃ、どんな殿方も惑わせてしまうのよ。本当に、私ったら罪深いわ。
この階段を上るのね。
沢山の歓声の中で、私とレナルド殿下の婚約が発表されるのかしら?
……あら、この道具は何かしら? 昔見たことがある気がするけれど? ……何だったかしら?
あ! 広場の中で高い場所がここしかなかったから、この道具に意味はないのね。
ふふふ、皆が興奮しているわ。
手を振ったら、ますますヒートアップしているわ!
私の人気って、ここまであったのね。
本当に、私ってすごいわ。
え?
何々? どうして急に乱暴に扱うの?
嫌だわ。この騎士、私のことを手放したくなくなってしまったのかしら?
嫌だわ! この道具に固定するなんてどういうつもり?!
いやよ、いやよ!
私はレナルド殿下と結婚するんだから!
「ノエリア!」
あら、この声は。
声のした方に視線を向けると、ファビアン様が懸命に手を振っていた。
……もう、出番はないのに。私の相手は、レナルド殿下なの。ごめんなさい。
寝込んでいるかと思ったけど、案外元気そうだわ。
……ファビアン様、話が通じないところがあったから、まだ自分が振られたことを理解してないのかもしれないわ。
「ノエリア! 今から助けるからな!」
助ける?
えーっと。この道具から助けるってこと?
私は視線をファビアン様に向ける。
ファビアン様が手に持った綱と剣を私に向けて振っている。
あの綱を切ったら、私が解放されるのかしら?
でも、その役目はレナルド殿下がふさわしいと思うわ?
もう、ファビアン様は出番はないはずなのに。
なのに、一層盛り上がるって、どういうことかしら?
……なるほど、これも演出の一つってことね?
じゃあ、無視するわけにもいきませんわ。
とりあえず、いつもの笑顔を向けておきましょう。害はないはずよ。魅了はさせてしまうかもしれないけれど。
ファビアン様が剣を振り上げた。
その瞬間、私はこの道具が何か思いだした。
「ダメ! ファビアン様、切っては」
最後に見えたのは、青ざめるファビアン様の顔だった。
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