記憶にある本

やさしさの精神病理

　新書系は確実に沢山読んだはずなのに、表紙を見てもみな同じにしか見えないのもあって、全く記憶を掘り起こせない。
　でも、このタイトルを見たら、絶対読んだと思った。
　記憶に残っている。

　心理学の道を目指すつもりだったから、心理学に関係ありそうな本を片っ端から読んでいた。片っ端から読んだだけあって、中身はやっぱり覚えてないけど。
　
　果たしてあの時読んだ無数の本たちの知識は、私の中に蓄えられているんだろうか。それくらい数だけ読んでた日々だった。
　昔はきちんとできていなかった心理描写ができるようになった気がするのは、この本の数々のおかげ？　単に人生経験のたまもの？　

　心理学を学ぶのを辞めたのは、これじゃヒトが分からないと思ったから。
　私が目指していた心理学と現実が乖離しすぎているような気がして。
　だって、色んなヒトがいるのに、枠に当てはめられるもの？
　色んなヒトがいるから、ヒトと関わるのは面白いし、大変だし、一筋縄じゃ行かないし。

　未だに、想像の斜め上を行くヒトたちに遭遇する。きっとずっとこれからも。