記憶にある本

秘密

　ミステリーの中でもこの作家さんの話は好きだ。
　なぜか。
　最後、自分の予想が裏切られるから。
　予測のできないラストに、いつも心躍らされる。
　サスペンスドラマを見ていると、途中で犯人が分かってしまうという性質を持つ人間にとっては、自分の予想が裏切られる感覚がものすごく楽しい。

　この話がミステリーと言っていいのかは疑問だけど、読後の衝撃は今でも思い出せる。
　衝撃、と言っていいのか、やるせなさ、と言っていいのか。
　うーん、と唸るあの感覚。
　この本を読んだのはずいぶん昔なのに、忘れることができない。