【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花

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シェリ嬢の回想6

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 シェリは自分のハンカチーフを取り出して、そう言えば、ある時マットがハンカチーフを広げながらニコニコとマディーに話しかけている日があったのを思い出す。
 シェリからは遠くて、何を話しているのかは聞き取れなかったが、ときおり「優しい」「嬉しい」という言葉が聞こえてきたような気がするから、どうやらハンカチーフをマディーからもらったのかもしれない。

 ハンカチーフ一つであれだけ幸せになれるなんて、マットの思考回路もすばらしいし、それをうまく引き出したマディーもすばらしい。
 シェリはほのぼのとした気持ちで二人の様子を遠目に見る。

「両想いって、楽しいね!」
 マットが肩をすくめる。
 その言葉だけはっきりと聞こえたシェリは、何だか気恥ずかしくなる。

 ああ、やっぱり二人は尊い。
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