37 / 62
マディー・ガリヴァの憂鬱⑰
しおりを挟む
マディーはシェリをベッドにそっと横たえた。
頬を赤らめ艶やかな表情のシェリは、上から眺めても扇情的だった。
表情だけではない。乱れたドレスの裾から覗く白い足も、なまめかしい。
マディーはコクリと唾を飲み込む。
やることはわかっている。
だが、マディーは初めてだった。
だから、シェリを優しく扱えるのか不安があった。
ともすれば、欲情に任せて、乱暴に扱ってしまうかもしれなかった。
何しろ、初めて女性として意識したシェリは、どこもかしこ細い。
いや、女性らしさを強調する胸やお尻にはそれなりの肉感があるのだが、ひどく扱えば折れてしまいそうな気さえした。
それに、初めての行為でシェリを嫌な気分にさせてしまうかもしれないことに躊躇が生まれた。
シェリを大事にしたいからだ。
シェリとの将来を考えているからだ。
この行為でシェリに嫌われてしまうかもしれない可能性はゼロではない。
それを思うと、マディーは小部屋につれてきてしまった自分の浅はかさが憂鬱になった。
もっとシェリと関係性を深めてから、こんな行為をするべきなのだ。
考え込むマディーの手に、シェリがそっと触れた。
「マディー、シテ?」
なまめかしく動くシェリの唇に、マディーはクラクラした。危うく勢いで襲いかねない。だがマディーは理性で感情を押し止めた。
「シェリ嬢……」
「責任を取ってほしいとは言わないわ。貴方を感じてみたいの……」
シェリはマディーをじっと見ている。
「悪い、シェリ嬢」
そのマディーの言葉に、シェリの表情が陰り、目を伏せた。
マディーは慌てる。
「シェリを抱きたい気持ちはある。でも、責任を取るつもりでいるから、もっと二人の仲を深めてから……抱かせてくれないか?」
え、とシェリが声を漏らして、ゆっくりとマディーを見た。
マディーはシェリを抱き起こすと、シェリの足元にひざまづいた。
「シェリ嬢、結婚を前提に付き合ってくれないだろうか?」
見上げるマディーの顔を見下ろすシェリの顔が、徐々に染まって行く。
「え、でも……あの……」
「俺じゃ、ダメか?」
シェリの手をマディーがそっと握った。
「我が家は貧乏貴族だが、いずれ脱出つもりではいる。だから、俺のとなりに立ってくれないだろうか?」
うつむいたままのシェリに、マディーは眉を下げた。
「やはり……結婚相手としては見てもらえないんだろうか」
シェリは小さく首をふった。
「夢、みたいで。たぶん、私ずっと……マディーのことを意識していたんだと思うの」
真っ赤になったシェリがうつむく。
マディーは目を見開く。
真っ赤になってうつむくシェリを、マディーは横に座り抱き締めた。
「好きだ」
シェリはこくんとうなずくと、マディーを見上げた。
「ねえ……きちんと婚約しなきゃダメ?」
潤んだ瞳で見つめられて、マディーは理性が焼ききれた。
頬を赤らめ艶やかな表情のシェリは、上から眺めても扇情的だった。
表情だけではない。乱れたドレスの裾から覗く白い足も、なまめかしい。
マディーはコクリと唾を飲み込む。
やることはわかっている。
だが、マディーは初めてだった。
だから、シェリを優しく扱えるのか不安があった。
ともすれば、欲情に任せて、乱暴に扱ってしまうかもしれなかった。
何しろ、初めて女性として意識したシェリは、どこもかしこ細い。
いや、女性らしさを強調する胸やお尻にはそれなりの肉感があるのだが、ひどく扱えば折れてしまいそうな気さえした。
それに、初めての行為でシェリを嫌な気分にさせてしまうかもしれないことに躊躇が生まれた。
シェリを大事にしたいからだ。
シェリとの将来を考えているからだ。
この行為でシェリに嫌われてしまうかもしれない可能性はゼロではない。
それを思うと、マディーは小部屋につれてきてしまった自分の浅はかさが憂鬱になった。
もっとシェリと関係性を深めてから、こんな行為をするべきなのだ。
考え込むマディーの手に、シェリがそっと触れた。
「マディー、シテ?」
なまめかしく動くシェリの唇に、マディーはクラクラした。危うく勢いで襲いかねない。だがマディーは理性で感情を押し止めた。
「シェリ嬢……」
「責任を取ってほしいとは言わないわ。貴方を感じてみたいの……」
シェリはマディーをじっと見ている。
「悪い、シェリ嬢」
そのマディーの言葉に、シェリの表情が陰り、目を伏せた。
マディーは慌てる。
「シェリを抱きたい気持ちはある。でも、責任を取るつもりでいるから、もっと二人の仲を深めてから……抱かせてくれないか?」
え、とシェリが声を漏らして、ゆっくりとマディーを見た。
マディーはシェリを抱き起こすと、シェリの足元にひざまづいた。
「シェリ嬢、結婚を前提に付き合ってくれないだろうか?」
見上げるマディーの顔を見下ろすシェリの顔が、徐々に染まって行く。
「え、でも……あの……」
「俺じゃ、ダメか?」
シェリの手をマディーがそっと握った。
「我が家は貧乏貴族だが、いずれ脱出つもりではいる。だから、俺のとなりに立ってくれないだろうか?」
うつむいたままのシェリに、マディーは眉を下げた。
「やはり……結婚相手としては見てもらえないんだろうか」
シェリは小さく首をふった。
「夢、みたいで。たぶん、私ずっと……マディーのことを意識していたんだと思うの」
真っ赤になったシェリがうつむく。
マディーは目を見開く。
真っ赤になってうつむくシェリを、マディーは横に座り抱き締めた。
「好きだ」
シェリはこくんとうなずくと、マディーを見上げた。
「ねえ……きちんと婚約しなきゃダメ?」
潤んだ瞳で見つめられて、マディーは理性が焼ききれた。
0
お気に入りに追加
119
あなたにおすすめの小説
こわいかおの獣人騎士が、仕事大好きトリマーに秒で堕とされた結果
てへぺろ
恋愛
仕事大好きトリマーである黒木優子(クロキ)が召喚されたのは、毛並みの手入れが行き届いていない、犬系獣人たちの国だった。
とりあえず、護衛兼監視役として来たのは、ハスキー系獣人であるルーサー。不機嫌そうににらんでくるものの、ハスキー大好きなクロキにはそんなの関係なかった。
「とりあえずブラッシングさせてくれません?」
毎日、獣人たちのお手入れに精を出しては、ルーサーを(犬的に)愛でる日々。
そのうち、ルーサーはクロキを女性として意識するようになるものの、クロキは彼を犬としかみていなくて……。
※獣人のケモ度が高い世界での恋愛話ですが、ケモナー向けではないです。ズーフィリア向けでもないです。
行き遅れにされた女騎士団長はやんごとなきお方に愛される
めもぐあい
恋愛
「ババアは、早く辞めたらいいのにな。辞めれる要素がないから無理か? ギャハハ」
ーーおーい。しっかり本人に聞こえてますからねー。今度の遠征の時、覚えてろよ!!
テレーズ・リヴィエ、31歳。騎士団の第4師団長で、テイム担当の魔物の騎士。
『テレーズを陰日向になって守る会』なる組織を、他の師団長達が作っていたらしく、お陰で恋愛経験0。
新人訓練に潜入していた、王弟のマクシムに外堀を埋められ、いつの間にか女性騎士団の団長に祭り上げられ、マクシムとは公認の仲に。
アラサー女騎士が、いつの間にかやんごとなきお方に愛されている話。
王宮に薬を届けに行ったなら
佐倉ミズキ
恋愛
王宮で薬師をしているラナは、上司の言いつけに従い王子殿下のカザヤに薬を届けに行った。
カザヤは生まれつき体が弱く、臥せっていることが多い。
この日もいつも通り、カザヤに薬を届けに行ったラナだが仕事終わりに届け忘れがあったことに気が付いた。
慌ててカザヤの部屋へ行くと、そこで目にしたものは……。
弱々しく臥せっているカザヤがベッドから起き上がり、元気に動き回っていたのだ。
「俺の秘密を知ったのだから部屋から出すわけにはいかない」
驚くラナに、カザヤは不敵な笑みを浮かべた。
「今日、国王が崩御する。だからお前を部屋から出すわけにはいかない」
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
姉の身代わりで冷酷な若公爵様に嫁ぐことになりましたが、初夜にも来ない彼なのに「このままでは妻に嫌われる……」と私に語りかけてきます。
夏
恋愛
姉の身代わりとして冷酷な獣と蔑称される公爵に嫁いだラシェル。
初夜には顔を出さず、干渉は必要ないと公爵に言われてしまうが、ある晩の日「姿を変えた」ラシェルはばったり酔った彼に遭遇する。
「このままでは、妻に嫌われる……」
本人、目の前にいますけど!?
大好きだけど、結婚はできません!〜強面彼氏に強引に溺愛されて、困っています〜
楠結衣
恋愛
冷たい川に落ちてしまったリス獣人のミーナは、薄れゆく意識の中、水中を飛ぶような速さで泳いできた一人の青年に助け出される。
ミーナを助けてくれた鍛冶屋のリュークは、鋭く睨むワイルドな人で。思わず身をすくませたけど、見た目と違って優しいリュークに次第に心惹かれていく。
さらに結婚を前提の告白をされてしまうのだけど、リュークの夢は故郷で鍛冶屋をひらくことだと告げられて。
(リュークのことは好きだけど、彼が住むのは北にある氷の国。寒すぎると冬眠してしまう私には無理!)
と断ったのに、なぜか諦めないリュークと期限付きでお試しの恋人に?!
「泊まっていい?」
「今日、泊まってけ」
「俺の故郷で結婚してほしい!」
あまく溺愛してくるリュークに、ミーナの好きの気持ちは加速していく。
やっぱり、氷の国に一緒に行きたい!寒さに慣れると決意したミーナはある行動に出る……。
ミーナの一途な想いの行方は?二人の恋の結末は?!
健気でかわいいリス獣人と、見た目が怖いのに甘々なペンギン獣人の恋物語。
一途で溺愛なハッピーエンドストーリーです。
*小説家になろう様でも掲載しています
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
女嫌いな辺境伯と歴史狂いの子爵令嬢の、どうしようもなくマイペースな婚姻
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
恋愛
「友好と借金の形に、辺境伯家に嫁いでくれ」
行き遅れの私・マリーリーフに、突然婚約話が持ち上がった。
相手は女嫌いに社交嫌いな若き辺境伯。子爵令嬢の私にはまたとない好条件ではあるけど、相手の人柄が心配……と普通は思うでしょう。
でも私はそんな事より、嫁げば他に時間を取られて大好きな歴史研究に没頭できない事の方が問題!
それでも互いの領地の友好と借金の形として仕方がなく嫁いだ先で、「家の事には何も手出し・口出しするな」と言われて……。
え、「何もしなくていい」?!
じゃあ私、今まで通り、歴史研究してていいの?!
こうして始まる結婚(ただの同居)生活が、普通なわけはなく……?
どうやらプライベートな時間はずっと剣を振っていたい旦那様と、ずっと歴史に浸っていたい私。
二人が歩み寄る日は、来るのか。
得意分野が文と武でかけ離れている二人だけど、マイペース過ぎるところは、どこか似ている?
意外とお似合いなのかもしれません。笑
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる