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マット・クーンの確信⑧
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「ねえ、マディー。我が弟よ」
休暇明け、教室でマディーにそう話しかてみた。当然のように、マディーの表情が戸惑ったようになった。
だが、それは折り込み済みだ。
マディーは、休暇前、マットと距離を取ろうとしていた。
それは何とか防がなくてはならないと思ったマットの作戦のうちだ。
両親は強引にはいけないが、マディーならば強引に行ける、という確信があった。
「弟になったつもりはない」
当然マディーがきっぱりと告げた。
「あ、レイーアさんをとられたことに拗ねてるんだね!」
マットはニッコリと笑ってみた。
「姉上に昨日聞いたが、マットとは会ったこともないと言っていた」
マディーの言葉が、予想外に嬉しくてマットは顔を伏せる。
そうでもしないと、ガッツポーズでもしてしまいそうだった。
予想よりも早く、マディーが動いていたことを、ラッキーとしか思わなかった。
マットは顔を上げた。その顔が、微笑んでいる。
マディーが、更に困惑した表情になった。
「レイーアさんの口から、僕の名前が出るなんて!」
名前を印象づける。そのためには、やはり弟の口から出てくる名前以上のものはないだろう。
「いや、出たわけじゃないから。俺が名前出しただけだから!」
マディーが否定した。だが、マットは微笑んだまま首をふる。
「レイーアさんの話題になったってことが重要だよ!」
少なくとも、マットはレイーアに顔すら覚えられていないのだ。
「いや、そんな人知らないって言われてただけだぞ!」
マディーの言葉に、マットは満面の笑みを作った。
「僕のことを意識してくれてるってことだよね!」
そうでなければ泣きそうだった。
ポジティブにいく。
それが、マットがこの困難な恋を全うすると決めたときに決めたことだった。
マディーが唖然とした顔をしたが、それはそのうち受け入れられてくるだろうから、気にしなくていいと算段した。
とりあえず、マディーを仲間に引き入れるのが先だ。
「それでね、我が弟に報告したいことがあって」
マディーは返事をせずに目をそらした。
マットはそんなことでめげてはいられないのだと、口を開く。
「父上と母上に、レイーアさんと婚約したいって言ったら、覚悟を問われたんだ!」
マディーが目をつぶっておでこをおさえた。
「か、覚悟って?」
マットは遠くを見る。
「まだ婚約には早いんじゃないかって」
マディーがホッとする。マットだっておかしいのだとは理解している。
「で、それのどこが覚悟を問われたことになるんだ?」
マディーの問いかけに、マットは悲しい目をマディーに向けた。
「だって、愛し合っている僕らをすんなりとは認めないってことでしょう?」
マディーの顔がひきつった。
マットだってわかっている。おかしなことを言っていることぐらい。
だけど、初めて心からほしいと思ったことなのだ。
レイーアのとなりに立ちたい。
いや、違う。
レイーアのとなりに立つのは自分以外いない。
それは、まだ叶えるには遠い願いではあるけれど、マットにとっては確信にも満ちた決定事項だ。
休暇明け、教室でマディーにそう話しかてみた。当然のように、マディーの表情が戸惑ったようになった。
だが、それは折り込み済みだ。
マディーは、休暇前、マットと距離を取ろうとしていた。
それは何とか防がなくてはならないと思ったマットの作戦のうちだ。
両親は強引にはいけないが、マディーならば強引に行ける、という確信があった。
「弟になったつもりはない」
当然マディーがきっぱりと告げた。
「あ、レイーアさんをとられたことに拗ねてるんだね!」
マットはニッコリと笑ってみた。
「姉上に昨日聞いたが、マットとは会ったこともないと言っていた」
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そうでもしないと、ガッツポーズでもしてしまいそうだった。
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マディーが、更に困惑した表情になった。
「レイーアさんの口から、僕の名前が出るなんて!」
名前を印象づける。そのためには、やはり弟の口から出てくる名前以上のものはないだろう。
「いや、出たわけじゃないから。俺が名前出しただけだから!」
マディーが否定した。だが、マットは微笑んだまま首をふる。
「レイーアさんの話題になったってことが重要だよ!」
少なくとも、マットはレイーアに顔すら覚えられていないのだ。
「いや、そんな人知らないって言われてただけだぞ!」
マディーの言葉に、マットは満面の笑みを作った。
「僕のことを意識してくれてるってことだよね!」
そうでなければ泣きそうだった。
ポジティブにいく。
それが、マットがこの困難な恋を全うすると決めたときに決めたことだった。
マディーが唖然とした顔をしたが、それはそのうち受け入れられてくるだろうから、気にしなくていいと算段した。
とりあえず、マディーを仲間に引き入れるのが先だ。
「それでね、我が弟に報告したいことがあって」
マディーは返事をせずに目をそらした。
マットはそんなことでめげてはいられないのだと、口を開く。
「父上と母上に、レイーアさんと婚約したいって言ったら、覚悟を問われたんだ!」
マディーが目をつぶっておでこをおさえた。
「か、覚悟って?」
マットは遠くを見る。
「まだ婚約には早いんじゃないかって」
マディーがホッとする。マットだっておかしいのだとは理解している。
「で、それのどこが覚悟を問われたことになるんだ?」
マディーの問いかけに、マットは悲しい目をマディーに向けた。
「だって、愛し合っている僕らをすんなりとは認めないってことでしょう?」
マディーの顔がひきつった。
マットだってわかっている。おかしなことを言っていることぐらい。
だけど、初めて心からほしいと思ったことなのだ。
レイーアのとなりに立ちたい。
いや、違う。
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それは、まだ叶えるには遠い願いではあるけれど、マットにとっては確信にも満ちた決定事項だ。
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