【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花

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マット・クーンの確信⑥

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「こんにちは」
 マットが挨拶すると、レイーアがにっこりと笑った。
「こんにちは」
 マットはようやく顔が覚えられたんだと、嬉しくなった。

「レイーアさんは裁縫、お好きなんですか?」
 マットの問いに、レイーアがぱちくりとまばたきをした。
「物知りなのねぇ」
 何だかずれた反応に、マットは苦笑した。
「そういうわけでは」

「だって、初めて会う人の趣味まで知ってるなんて、本当に物知りよ!」
 マットは衝撃で固まった。4日連続で会いに来たのに、まだ覚えられてもいなかった。ぬか喜びしたから、尚更ショックだった。

「いえ……マディーが……」
 マットの言葉に、レイーアが顔を覆う。耳は赤い。
「やだ、マディーったら、いろんな人に私の話をしてるの?! 恥ずかしいからやめてもらわなきゃ! 早速手紙を書かなきゃ! ごめんなさい、失礼するわね」
 呆然としたマットが一人取り残された。

 レイーアはいろんな意味で手強い。
 マットはそれだけは確信した。
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