【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件

三谷朱花

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マット・クーンの確信③

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「えーっと……」
 もう3度目ともなるのに、レイーアはマットを見ると戸惑った表情になる。
 3日連続で会いに来ているのだから、戸惑っても仕方がない。

 そう普通の人だったら思うだろう。
 マットだってそう思っていた。

「……会ったことはある気がするんだけど……」
 マットは愕然とする。
 印象に残る方だとマットは自負していた。
 だが、レイーアの記憶には、かけらがうっすらと残っているだけらしい。

 マットは確信する。
 レイーアは、絶対何かが抜けてしまっている。
 これでは貴族社会で生きていくのは難しいだろう。
 ……貴族社会のことを、きちんとレクチャーしてあげないといけない。

 マットは一人頷く。
 レイーアがあまりにも抜けていることにショックを受けているだけだ。
 自分が覚えられていなかったことに、ショックを受けているわけではないんだと、マットは自分を慰めた。
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