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レイーアの戸惑い④

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 夜会の途中、沈んだ顔をしたマディーが近づいてきて、マットに相談があるという。
 レイーアはちょっと離れたところで、二人の様子を見ていた。

「シェリ嬢に……」
 マディーの声は、暗い。
 レイーアの耳に、女性の名前が聞こえたが、詳細は聞こえてこなかった。
 もしかしたら、なにかトラブルを起こしたのかもしれない。

「押したらいいよ」
 マットがきっぱりと告げている。
 レイーアにはさっぱり何のことかわからなかった。
 マディーも戸惑った顔をしている。
 やはり、マットの言葉が理解できなかったのかもしれない。

「嫌がってたの?」
 マットの質問に、マディーが首をふった。
「じゃあ、行きなよ。躊躇してる間に、気まずくなるよ」
「いや、でも」
 躊躇するマディーに、マットが首をふった。

「何事もタイミングってあるんだよ。タイミングがずれるだけでチャンスは消える。僕だって、タイミングを読んでチャンスを掴んだんだよ?」
 マディーが、ハッとした顔をして頷いた。
 そしてきびすを返す。
 微笑んでマディーを見送ったマットが、レイーアに近づいてくる。

「どうかしたの?」
 レイーアが尋ねると、マットは首をふった。
「どれだけ僕がレイーアのことを好きかって話だよ」
 レイーアはまばたきを何度か繰り返したあと、顔を赤くした。
 そんな話をしていたようにはレイーアには思えなかった。
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