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マディー・ガリヴァの憂鬱
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「レイーア、喜んでくれるかな?」
部屋に響いたマットの問いかけに、マディーは肩をすくめるより他はなかった。
マットはまだ幼さは残しているものの、出会った6年前に比べれば、大人っぽくなった。マディーはマットよりは老けたと自分では思っている。そうは言ってもまだ18だ。マディーの顔も十分若かった。
「さあ?」
マットがムッとした顔をする。この爽やか系イケメンは、こんな表情をするだけで、あざと可愛い感じを醸し出し、お姉さま連中からは、抜群の人気を得ている。
マディーは世の中、間違っていると思う。
「マディー、真剣に考えてよ! レイーアのためなんだよ?!」
肩をつかまれガクガクと揺さぶられようと、マディーには考えようがない。
「わかんねーよ」
マディーは本音を告げた。
「わかんねーよじゃないよ! マディーが、レイーアならこっちじゃないかって言ったんでしょ!」
「知るかよ。俺は姉上じゃないからな」
実際、マディーはマットに尋ねられるたびに、適当に答えていた。面倒だったからだ。
「ヒドイ! 僕はレイーアが好きそうなものの中から、特にどっちがいいのかって、わざわざマディーに聞いてたんだよ!?」
叫ぶマットに、マディーは呆れる。なぜ既にレイーアの好みを把握しているのか。実際マットがレイーアに会ったのは、王城に勤めるようになった数か月前からだったはずだ。
だが、追及するだけ無駄だ。徒労でしかない。だから、マディーはスルーすることにした。
「だったら、これでいいんじゃねーの。姉上なら、間違いなく喜ぶね」
どうでも良かったが、これ以上、マットから絡まれるのは御免だった。だから、太鼓判を押すことにした。
ぱぁ、と花が咲くようにマットの顔がほころんだ。
どうやらマディーの回答は正解だったようだ。これ以上、マットに絡まれることもないだろう。
「だよね、だよね! 僕って天才かも! レイーアの部屋にこっそり入ったりした甲斐があったなぁ」
両手を組んで、夢見る乙女のようにマットが呟いた。
マディーは、ん、と思ったが、スルーすることにした。
マットがイカレテいるのは、既にわかっていることだからだ。
レイーアに関してだけ。
「でね、マディー」
マットが真剣な顔でマディーを見た。
「なんだよ」
マットが言う内容は予測できたが、どうしてかマディーは背筋を伸ばした。これは、きちんとした態度で聞いた方が良いだろうと思ったからだ。
「僕は」
マットが言葉を溜めた。
「ああ」
コクリ、とマディーが唾を飲みこんだ。
「どうやったら、レイーアと付き合えるかな?」
部屋に沈黙が落ちた。
我に返ったマディーが、パチパチと瞬きをした。
「何だって?」
「だから、どうやったら、レイーアと付き合えるかな、って」
マットの顔は、間違いなく真剣だった。
「あのさ、マット」
マディーは、首を傾げた。
「何?」
「この家って、何のために用意したんだ?」
マディーが部屋を見回す。マット曰く、レイーア好みの家だ。
「勿論、僕らの新居さ」
ニッコリと笑うマットに、マディーは頭をかいた。
「つまり、何だ? ……付き合ってもなかったのか?」
マディーが時折マットから聞く話だと、王城でレイーアと上手くいっているような話しぶりだった。だが、付き合っていた事実はないらしい。
コクリ、と困ったようにマットが頷く。
「まだ、話したことも数えるほどしかなくて……」
今までレイーアと上手くいっているような発言の数々が何だったのか、マディーは理解できなかった。
もしかしたら、マットの妄想だったのかもしれない。
こいつ、やべぇ。
既に理解していたことだったが、マディーは改めて思った。
何しろまだ二人が中等部の時、接点がないのに、マットはいつの間にかレイーアの情報を集めきっていたのだ。
「そ、そうか。……まあ、頑張れ」
とりあえず、マディーにできることは、応援することぐらいだった。
「具体的には?」
だが、マットは予想外に食いついてきた。
「まあ、お茶に誘ってみたら?」
マディーは面倒だったが、一般的な方法を提案する。
「うーん。それだと、付き合うまでに時間がかかるよね?」
だが、マットは頷いてくれなかった。
「じゃあ、結婚を前提に付き合ってください、って言うしかないんじゃね?」
マディーは投げやりだった。
そして、その投げやりな気分が分かったのか、マットはムッとして首を振った。
「それじゃ、レイーアに拒否されたら終わりでしょ!」
なるほど、確かにそうかもしれないと、マディーも頷く。
「だな」
だが、マットは怒った表情でマディーを見る。
「だな、じゃないよ! もっと的確なアドバイスして!」
何てわがままな、とマディーは思って、呆れた。
あ、とマットが声を挙げた。
「既成事実作ったらいいんだ!」
マットの思い付きは、マディーも思いついてはいたが、口にはしたくない内容だった。何しろ実の姉のことだ。生々しいし、付き合ってもいない相手とそう言うことになることを姉がどう思うかなどと考えると、絶対口にはしたくなかった。
が、思いついたマットの表情がほころぶ。
「そうだよね、それがいい! そうする!」
即断、即決だった。
「いや、でも、既成事実があったからって、結婚するとは限らないだろう?」
流石に、マディーは止める方向に動いた。
「……そうか。そうだよね」
考え込むマットに、マディーはどこかホッとする。できたら、正攻法でやって欲しかった。
たとえ、マットがイカレテいると分かっていても、実の弟の心からの願いだった。
「あ、そうだ! うちの家訓が、初めての人と結婚するってなってるんだって言えばいいんだ!」
マットの声が弾む。
「いや、おかしいだろう」
マディーが突っ込む。
「おかしくないよ? だって、家訓なんて、その家それぞれのものでしょう?」
「いや、おかしいだろ」
マディーの声に、マットがふふ、と笑う。
「お姉ちゃんが取られちゃうのが、悔しいんだ?」
「いや、違う」
マディーは即答した。
なぜかマットが大きく頷いた。
「将来の弟から応援してもらえて、僕は幸せ者だね」
マディーはもう諦めた。もうマットとの会話は成立しないと理解したからだ。
それこそ、中等部からの付き合いだ。7年目にもなれば、マットのこともよく理解している。
だから、マットがレイーアに関すること以外は悪い奴ではないと言うことも理解している。
だから、普通にマットとレイーアが上手くいけばいいな、とは思ってはいるのだ。
それでも、もし初めてマットに会ったときに戻れるのであれば、マディーは絶対にレイーアの話はしない。
ヤンデレに付きまとわれる実の姉を持った弟の気持ちは、きっとそういうものだと思うのだ。
部屋に響いたマットの問いかけに、マディーは肩をすくめるより他はなかった。
マットはまだ幼さは残しているものの、出会った6年前に比べれば、大人っぽくなった。マディーはマットよりは老けたと自分では思っている。そうは言ってもまだ18だ。マディーの顔も十分若かった。
「さあ?」
マットがムッとした顔をする。この爽やか系イケメンは、こんな表情をするだけで、あざと可愛い感じを醸し出し、お姉さま連中からは、抜群の人気を得ている。
マディーは世の中、間違っていると思う。
「マディー、真剣に考えてよ! レイーアのためなんだよ?!」
肩をつかまれガクガクと揺さぶられようと、マディーには考えようがない。
「わかんねーよ」
マディーは本音を告げた。
「わかんねーよじゃないよ! マディーが、レイーアならこっちじゃないかって言ったんでしょ!」
「知るかよ。俺は姉上じゃないからな」
実際、マディーはマットに尋ねられるたびに、適当に答えていた。面倒だったからだ。
「ヒドイ! 僕はレイーアが好きそうなものの中から、特にどっちがいいのかって、わざわざマディーに聞いてたんだよ!?」
叫ぶマットに、マディーは呆れる。なぜ既にレイーアの好みを把握しているのか。実際マットがレイーアに会ったのは、王城に勤めるようになった数か月前からだったはずだ。
だが、追及するだけ無駄だ。徒労でしかない。だから、マディーはスルーすることにした。
「だったら、これでいいんじゃねーの。姉上なら、間違いなく喜ぶね」
どうでも良かったが、これ以上、マットから絡まれるのは御免だった。だから、太鼓判を押すことにした。
ぱぁ、と花が咲くようにマットの顔がほころんだ。
どうやらマディーの回答は正解だったようだ。これ以上、マットに絡まれることもないだろう。
「だよね、だよね! 僕って天才かも! レイーアの部屋にこっそり入ったりした甲斐があったなぁ」
両手を組んで、夢見る乙女のようにマットが呟いた。
マディーは、ん、と思ったが、スルーすることにした。
マットがイカレテいるのは、既にわかっていることだからだ。
レイーアに関してだけ。
「でね、マディー」
マットが真剣な顔でマディーを見た。
「なんだよ」
マットが言う内容は予測できたが、どうしてかマディーは背筋を伸ばした。これは、きちんとした態度で聞いた方が良いだろうと思ったからだ。
「僕は」
マットが言葉を溜めた。
「ああ」
コクリ、とマディーが唾を飲みこんだ。
「どうやったら、レイーアと付き合えるかな?」
部屋に沈黙が落ちた。
我に返ったマディーが、パチパチと瞬きをした。
「何だって?」
「だから、どうやったら、レイーアと付き合えるかな、って」
マットの顔は、間違いなく真剣だった。
「あのさ、マット」
マディーは、首を傾げた。
「何?」
「この家って、何のために用意したんだ?」
マディーが部屋を見回す。マット曰く、レイーア好みの家だ。
「勿論、僕らの新居さ」
ニッコリと笑うマットに、マディーは頭をかいた。
「つまり、何だ? ……付き合ってもなかったのか?」
マディーが時折マットから聞く話だと、王城でレイーアと上手くいっているような話しぶりだった。だが、付き合っていた事実はないらしい。
コクリ、と困ったようにマットが頷く。
「まだ、話したことも数えるほどしかなくて……」
今までレイーアと上手くいっているような発言の数々が何だったのか、マディーは理解できなかった。
もしかしたら、マットの妄想だったのかもしれない。
こいつ、やべぇ。
既に理解していたことだったが、マディーは改めて思った。
何しろまだ二人が中等部の時、接点がないのに、マットはいつの間にかレイーアの情報を集めきっていたのだ。
「そ、そうか。……まあ、頑張れ」
とりあえず、マディーにできることは、応援することぐらいだった。
「具体的には?」
だが、マットは予想外に食いついてきた。
「まあ、お茶に誘ってみたら?」
マディーは面倒だったが、一般的な方法を提案する。
「うーん。それだと、付き合うまでに時間がかかるよね?」
だが、マットは頷いてくれなかった。
「じゃあ、結婚を前提に付き合ってください、って言うしかないんじゃね?」
マディーは投げやりだった。
そして、その投げやりな気分が分かったのか、マットはムッとして首を振った。
「それじゃ、レイーアに拒否されたら終わりでしょ!」
なるほど、確かにそうかもしれないと、マディーも頷く。
「だな」
だが、マットは怒った表情でマディーを見る。
「だな、じゃないよ! もっと的確なアドバイスして!」
何てわがままな、とマディーは思って、呆れた。
あ、とマットが声を挙げた。
「既成事実作ったらいいんだ!」
マットの思い付きは、マディーも思いついてはいたが、口にはしたくない内容だった。何しろ実の姉のことだ。生々しいし、付き合ってもいない相手とそう言うことになることを姉がどう思うかなどと考えると、絶対口にはしたくなかった。
が、思いついたマットの表情がほころぶ。
「そうだよね、それがいい! そうする!」
即断、即決だった。
「いや、でも、既成事実があったからって、結婚するとは限らないだろう?」
流石に、マディーは止める方向に動いた。
「……そうか。そうだよね」
考え込むマットに、マディーはどこかホッとする。できたら、正攻法でやって欲しかった。
たとえ、マットがイカレテいると分かっていても、実の弟の心からの願いだった。
「あ、そうだ! うちの家訓が、初めての人と結婚するってなってるんだって言えばいいんだ!」
マットの声が弾む。
「いや、おかしいだろう」
マディーが突っ込む。
「おかしくないよ? だって、家訓なんて、その家それぞれのものでしょう?」
「いや、おかしいだろ」
マディーの声に、マットがふふ、と笑う。
「お姉ちゃんが取られちゃうのが、悔しいんだ?」
「いや、違う」
マディーは即答した。
なぜかマットが大きく頷いた。
「将来の弟から応援してもらえて、僕は幸せ者だね」
マディーはもう諦めた。もうマットとの会話は成立しないと理解したからだ。
それこそ、中等部からの付き合いだ。7年目にもなれば、マットのこともよく理解している。
だから、マットがレイーアに関すること以外は悪い奴ではないと言うことも理解している。
だから、普通にマットとレイーアが上手くいけばいいな、とは思ってはいるのだ。
それでも、もし初めてマットに会ったときに戻れるのであれば、マディーは絶対にレイーアの話はしない。
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