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「リツカ……」
中森さんの口から正しい音が紡がれて、なんだかこそばゆい気持ちになる。
「久しぶりに、呼ばれた」
最後にリツカと名を呼んだのを聞いたのが母だったと思い出す。
父はリッカと呼んだけど、母だけはいつもリッカと呼んだ。弟は小さい頃にりーちゃんと呼んでからずっとその呼び名だった。
職場を変わって自己紹介した時にも、下の名前はリッカと名乗った。いつも聞き直されるから、あえてあの時はそう名乗った。だから、私の職場で正しい呼び名を知っている人はたぶんいない。リハビリテーション科の科長も、きっと履歴書で見ただけの名前の呼び方など忘れてしまっているだろうし。
私の名前を正しく呼んでいたのは、母なりの愛情だったんだろうか。
「名前じゃたどり着かない理由はそれか。存在しないんじゃないかって不安になった時もあった」
「それでも探したんだ」
「音に関わる研究してたらリツカにたどり着くんじゃないか、と思うくらいには」
そこまで私を想ってくれたのか。
「……私の研究に興味があるんですって連絡くれたのは、私だと気付いたから?」
「それもある。だけど、今研究してる内容に関係してるからって言うのは本当。でも、そういう理由でもなければ、立夏に近づくのは難しかったと思うから、あのタイミングで立夏があの内容で研究発表してくれたのは、ラッキーだったと思う」
「あのデータは、必要?」
ふりなんだとしたら、本当は必要ないもので、わざわざ個人情報を患者さんたちに協力を得たうえでばらまきたいわけでもない。
「それは必要」
反射的な中森さんの答えに、それは本当なんだろうな、と思う。
「じゃあ、いつでもいいって言うのも、本当?」
研究していて、それを学会発表するのだとすれば、データを集めたりするのにタイムリミットはあるはずだと思うのだけど。学会誌と言うのであれば、時間の猶予はあるのかもしれないけど。
「……できたら、リミットはつけさせてほしいけど、立夏の気持ちを焦らせるみたいで嫌だったから、言わなかった」
「むしろリミットつけてもらわなかったから、データ云々は単なる口実かと」
「違う」
中森さんの手が私の腕をつかむ。
その手に、それまで感じていても気にもしていなかった熱を感じる。急に、夏の暑さが自分のものになったみたいに、むっとした空気を感じる。
「あつい」
「え。いや、ごめん?」
私の声に反射的に手を放した中森さんが不思議そうに私を見る。
「ううん。私、今、ここに生きてるんだね」
それまでは夏の暑さも、どこか他人事のような、膜を隔てた私の外側であってる出来事みたいで、自分自身で暑いと感じていなかったような気がする。
それがいつからなのか、はっきりはしないけど、暑さも寒さも、それほど今まで堪えるようなことがなかったのは、私が今ここに生きていると思えていなかったせいなのかもしれない。
「うん。立夏はここに生きてる。……病院で立夏に会えた時、本当にほっとした。思っていた姿が夢ではなくて現実にあるものなんだって」
「現実、だよ」
今この目の前に起こっていることは、すべて現実だ。
「……だけど、この現実は結構残酷だったな。あんなに近かったはずの距離が大きく開いててショックだったし、彼女に心を開いてるのを見て、正直妬いた」
中森さんは私が泣いたのを見ていたのかもしれない。後姿なんて見てても、わかるわけないと思うけど、中森さんなら、マシュー様ならわかるのかもしれない。
「でも、私が彼女に心を開こうとしたのは、中森さんのおかげなのかも」
「僕の?」
その自分の呼び方に違和感を感じつつも、私は頷く。
「ええ。中森さんがあんな怒らすようなことを言わなければ、私は彼女と食事に行ったりもしなかった」
「……そうか。それは失敗したかも。焦って色々言うんじゃなかったな」
「でも、それがなければ今中森さんと話してませんけど」
私が嫌がることを知っていて、中森さんは姿を見せずに私が家に到着すればそのまま帰ったはずだ。
「……そうか。それでも、僕だけにその信頼を向けてほしいと思うのは、独占欲が強すぎるせいかな」
「むしろ病んでるんだけど。私が人間らしくなったのを喜ぶくらいいいでしょ」
「誰にも懐かない立夏を自分だけに懐かせたいって思うのもダメなわけ?」
「人間的にはどうでしょう。それにね、中森さん?」
私が言う言葉を予想したらしい中森さんが、肩をすくめる。
「何でしょう?」
「私、まだ中森さんを信頼できるまではない。たとえ、マシュー様の記憶を持っていたとしても、マシュー様と中森さんは違う人間だから」
「まあ、そうだけどね。どっかの漫画とかアニメみたいに、前世の記憶持ってるから、それならってめでたしめでたしにはならないよね」
こぼれて行ったと思っていた“めでたしめでたし”が、確かに目の前にあるのかもしれないけど。
「確かにマシュー様のことを愛してますけど、中森さんのことを同じように愛せるのかは、正直わかりません」
「言うね」
はー、と中森さんが息をつく。
「立夏があの世界に行った後なら、もう少し勝機があるかと思ったんだけどね」
「楽天的ですね」
「何しろ、こっちは何十年も立夏一筋なもんで」
「執着みたいなもんだよね。そもそも中森さんが私に会うのも今日が初めてでしょう?」
「電話で話したり、メールで連絡したりしてたけど」
「あれ、完全に事務連絡でしょ。余計な話なんてした記憶もないけど」
「あれで口説いてたら、完全に立夏は相手にしてくれなかったと思う。違う?」
「……口説かなくても、世間話とかいろいろあるでしょ?」
「何だ、そんな世間話をしたかったんだ。案外立夏は僕との会話が楽しかった?」
中森さんが面白そうに私を見るから、ぐっと言葉に詰まる。
「……知的好奇心は満たされましたね。ええ、確かに中森さんとの会話は楽しかったですよ」
それは、間違いないことで。だから、今日中森さんに会うことを、純粋に楽しみにしていた。
恋愛感情とか、そういうものは……たぶん抜きにして。
「じゃあ、生理的に無理とかはないんでしょ?」
「……どうしてそういう話になるわけ」
「何か今日押しとかないと、立夏がこの話をなかったことにしそうだから」
「……もう今日はこの話はしたくありません」
「じゃあ、明日、僕が帰る前に会ってくれる?」
中森さんが住んでいるのは東北で、私が住んでいるのは関東で、すぐに会える距離ではない。
「何時ごろですか?」
別に会うとは言ってない!
「朝から夕方まで」
「……それって」
呆れて言葉が出ない。
マシュー様って、こんなに強引だったっけ?
中森さんの口から正しい音が紡がれて、なんだかこそばゆい気持ちになる。
「久しぶりに、呼ばれた」
最後にリツカと名を呼んだのを聞いたのが母だったと思い出す。
父はリッカと呼んだけど、母だけはいつもリッカと呼んだ。弟は小さい頃にりーちゃんと呼んでからずっとその呼び名だった。
職場を変わって自己紹介した時にも、下の名前はリッカと名乗った。いつも聞き直されるから、あえてあの時はそう名乗った。だから、私の職場で正しい呼び名を知っている人はたぶんいない。リハビリテーション科の科長も、きっと履歴書で見ただけの名前の呼び方など忘れてしまっているだろうし。
私の名前を正しく呼んでいたのは、母なりの愛情だったんだろうか。
「名前じゃたどり着かない理由はそれか。存在しないんじゃないかって不安になった時もあった」
「それでも探したんだ」
「音に関わる研究してたらリツカにたどり着くんじゃないか、と思うくらいには」
そこまで私を想ってくれたのか。
「……私の研究に興味があるんですって連絡くれたのは、私だと気付いたから?」
「それもある。だけど、今研究してる内容に関係してるからって言うのは本当。でも、そういう理由でもなければ、立夏に近づくのは難しかったと思うから、あのタイミングで立夏があの内容で研究発表してくれたのは、ラッキーだったと思う」
「あのデータは、必要?」
ふりなんだとしたら、本当は必要ないもので、わざわざ個人情報を患者さんたちに協力を得たうえでばらまきたいわけでもない。
「それは必要」
反射的な中森さんの答えに、それは本当なんだろうな、と思う。
「じゃあ、いつでもいいって言うのも、本当?」
研究していて、それを学会発表するのだとすれば、データを集めたりするのにタイムリミットはあるはずだと思うのだけど。学会誌と言うのであれば、時間の猶予はあるのかもしれないけど。
「……できたら、リミットはつけさせてほしいけど、立夏の気持ちを焦らせるみたいで嫌だったから、言わなかった」
「むしろリミットつけてもらわなかったから、データ云々は単なる口実かと」
「違う」
中森さんの手が私の腕をつかむ。
その手に、それまで感じていても気にもしていなかった熱を感じる。急に、夏の暑さが自分のものになったみたいに、むっとした空気を感じる。
「あつい」
「え。いや、ごめん?」
私の声に反射的に手を放した中森さんが不思議そうに私を見る。
「ううん。私、今、ここに生きてるんだね」
それまでは夏の暑さも、どこか他人事のような、膜を隔てた私の外側であってる出来事みたいで、自分自身で暑いと感じていなかったような気がする。
それがいつからなのか、はっきりはしないけど、暑さも寒さも、それほど今まで堪えるようなことがなかったのは、私が今ここに生きていると思えていなかったせいなのかもしれない。
「うん。立夏はここに生きてる。……病院で立夏に会えた時、本当にほっとした。思っていた姿が夢ではなくて現実にあるものなんだって」
「現実、だよ」
今この目の前に起こっていることは、すべて現実だ。
「……だけど、この現実は結構残酷だったな。あんなに近かったはずの距離が大きく開いててショックだったし、彼女に心を開いてるのを見て、正直妬いた」
中森さんは私が泣いたのを見ていたのかもしれない。後姿なんて見てても、わかるわけないと思うけど、中森さんなら、マシュー様ならわかるのかもしれない。
「でも、私が彼女に心を開こうとしたのは、中森さんのおかげなのかも」
「僕の?」
その自分の呼び方に違和感を感じつつも、私は頷く。
「ええ。中森さんがあんな怒らすようなことを言わなければ、私は彼女と食事に行ったりもしなかった」
「……そうか。それは失敗したかも。焦って色々言うんじゃなかったな」
「でも、それがなければ今中森さんと話してませんけど」
私が嫌がることを知っていて、中森さんは姿を見せずに私が家に到着すればそのまま帰ったはずだ。
「……そうか。それでも、僕だけにその信頼を向けてほしいと思うのは、独占欲が強すぎるせいかな」
「むしろ病んでるんだけど。私が人間らしくなったのを喜ぶくらいいいでしょ」
「誰にも懐かない立夏を自分だけに懐かせたいって思うのもダメなわけ?」
「人間的にはどうでしょう。それにね、中森さん?」
私が言う言葉を予想したらしい中森さんが、肩をすくめる。
「何でしょう?」
「私、まだ中森さんを信頼できるまではない。たとえ、マシュー様の記憶を持っていたとしても、マシュー様と中森さんは違う人間だから」
「まあ、そうだけどね。どっかの漫画とかアニメみたいに、前世の記憶持ってるから、それならってめでたしめでたしにはならないよね」
こぼれて行ったと思っていた“めでたしめでたし”が、確かに目の前にあるのかもしれないけど。
「確かにマシュー様のことを愛してますけど、中森さんのことを同じように愛せるのかは、正直わかりません」
「言うね」
はー、と中森さんが息をつく。
「立夏があの世界に行った後なら、もう少し勝機があるかと思ったんだけどね」
「楽天的ですね」
「何しろ、こっちは何十年も立夏一筋なもんで」
「執着みたいなもんだよね。そもそも中森さんが私に会うのも今日が初めてでしょう?」
「電話で話したり、メールで連絡したりしてたけど」
「あれ、完全に事務連絡でしょ。余計な話なんてした記憶もないけど」
「あれで口説いてたら、完全に立夏は相手にしてくれなかったと思う。違う?」
「……口説かなくても、世間話とかいろいろあるでしょ?」
「何だ、そんな世間話をしたかったんだ。案外立夏は僕との会話が楽しかった?」
中森さんが面白そうに私を見るから、ぐっと言葉に詰まる。
「……知的好奇心は満たされましたね。ええ、確かに中森さんとの会話は楽しかったですよ」
それは、間違いないことで。だから、今日中森さんに会うことを、純粋に楽しみにしていた。
恋愛感情とか、そういうものは……たぶん抜きにして。
「じゃあ、生理的に無理とかはないんでしょ?」
「……どうしてそういう話になるわけ」
「何か今日押しとかないと、立夏がこの話をなかったことにしそうだから」
「……もう今日はこの話はしたくありません」
「じゃあ、明日、僕が帰る前に会ってくれる?」
中森さんが住んでいるのは東北で、私が住んでいるのは関東で、すぐに会える距離ではない。
「何時ごろですか?」
別に会うとは言ってない!
「朝から夕方まで」
「……それって」
呆れて言葉が出ない。
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