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第19話

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アレックスたちが目指していたノクシス都市が、ついに目の前に広がった。高い城壁に囲まれたその街は、一見豪華絢爛で、異なる種族が入り混じる光景にアレックスは圧倒される。しかし、同時に、この都市に根深く潜む闇が空気からも感じられた。

「ふう、ここがノクシスか…。思った以上にでかいな」アレックスは目を見張りながらつぶやく。

一行は賑やかな市場を通りながら、まるで競うように路上で商売をする商人や客たちに驚かされた。彼らの声や話し声が渦巻くなかで、リナは獣人への好奇心を込めた視線に気づき、わずかに身を縮める。ミラは街に入る前に変装魔法をかけ、他人の視線から身を隠していた。

アレックスが感じた不安はすぐに確信へと変わった。市街地を進むに連れ、街並みは徐々に異なり、貧民層が住む下層へと近づくにつれて、住人たちの表情が陰り、空気が重くなっていった。各種族の住む区域は、わざわざ隔離されているようにも見え、特に獣人や魔族が暮らす場所には粗末な作りの家屋が立ち並んでいた。

「こんなにひどい状況だなんて…。どこもかしこも差別ばかりだ…」アレックスは拳を握りしめ、無力感を噛みしめる。

道を進む途中、アレックスは街の市民と話をする機会を見つけ、情報を集めることにした。話しかけたのは、下層区域に住む初老の男性だった。

「お若いの、どうしてこんな所まで来たんだ?」彼は怪訝そうにアレックスを見上げた。

アレックスは素直に、街の様子について知りたいと伝えると、老人は苦笑を浮かべて答えた。

「ノクシス都市はね、上層に住む貴族たちが取り仕切っているんだが、彼らはただ自分たちの富と権力を守ることしか考えていない。俺たちのような者に対する税金は重いばかりで、住居や生活の支援なんて見たこともないよ」

老人の話から、ノクシスがいかに不平等な街かを知ったアレックスは、その腐敗した実態に怒りを覚えた。そして、街中で貴族の行列に偶然出くわす。

金と宝石をちりばめた衣装に身を包んだ貴族たちは、民衆を見下すような態度で街を練り歩き、彼らに跪くことを当然のことのように命じていた。周囲の人々は不安そうに距離を取りながらも、逆らわないよう頭を下げるしかなかった。

「見ていられない…」アレックスは低くつぶやくと、強く地面を踏みしめた。

仲間たちもそれぞれの思いを胸に、アレックスのそばで静かに立っていた。リナは小さな声で「こんな場所で本当に戦っていけるのかな」と不安を漏らすが、アレックスは決然とした表情で答える。

「俺たちが力を合わせて、この街を変える。そのためにここまで来たんだ」

その言葉に仲間たちは力強くうなずき、アレックスの決意に応えるように心を一つにした。

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