転生した剣士の異世界叛逆譚

第１６話

アレックスは村での修行を終え、家族と村人たちの祝福を受けて、ついにノクシス都市へ向けて旅立つ決意を固めた。家族や村人たちとの別れは寂しさもあったが、新たな冒険と挑戦が彼を待っているという期待感が、それ以上に彼の心を強くしていた。

両親は温かく彼を見送り、兄マルコは肩を叩いて激励し、姉クレアは母親のような眼差しで最後に「気をつけてね」と声をかけた。幼い頃から支えてくれたメイドのミラも、少し離れた場所から見守っていたが、その視線にはどこか彼を心配するような色が宿っている。

馬にまたがり、旅路に出たアレックスは、すぐに広がる自然や異世界の壮大さに目を奪われた。村での日常とは違う風景と空気に、心が踊る。だが、同時にその道が危険も孕んでいることを知り、彼は気を引き締めながら馬を進めた。

旅の途中、アレックスは「リック」と名乗る青年の冒険者と出会う。リックは陽気で社交的な性格で、すぐにアレックスと打ち解け、共にノクシス都市を目指して旅をすることになった。

「君もノクシス都市へ向かっているのか？」とリックが尋ねると、アレックスは笑ってうなずいた。

「うん、村を出て修行を続けるために。君は？」

「俺は故郷を捨て、冒険者としての人生を選んだんだ。ノクシス都市で一流の冒険者になってみせる！」

リックの情熱的な話を聞きながら、アレックスは新しい仲間に出会えたことに喜びを感じた。共に過ごす時間は、彼にとって新しい学びと刺激となった。

道を進む中、二人は森を抜けようとしていたが、その時、不穏な気配が漂い始めた。茂みの中から数人の盗賊が現れ、リーダー格の男が不敵な笑みを浮かべてアレックスとリックに言い放った。

「お前ら、ここを通りたいなら荷物を置いていけ！」

アレックスは静かに剣を構え、リックも同様に戦闘の準備を整える。盗賊たちは人数に物を言わせようとしていたが、アレックスの鋭い目と構えに気圧され、一瞬躊躇した。

リックがニヤリと笑って、「そっちがその気なら、相手してやろう」と挑発的に言うと、盗賊たちは怒りを露わにして襲いかかってきた。アレックスは冷静に動き、剣術の基本を駆使して敵の攻撃をかわし、反撃を繰り出す。敵が予想以上に強いことに戸惑う盗賊たちを、彼とリックは見事に打ち負かし、盗賊たちは逃げ出していった。

この戦いを経て、二人の絆はさらに強まり、リックはアレックスの実力に驚嘆して尊敬の眼差しを向けた。

「君、ただ者じゃないな！一体どんな修行をしてきたんだ？」

「村で鍛えられてきたんだ。だがまだまだ、ノクシス都市でさらに成長しなければならない」

互いに己の目的を再確認し、彼らは再びノクシス都市への道を急いだ。その道のりには危険も多くあったが、二人で協力し合いながら、少しずつ都市の姿が見え始める。

そして、ついに彼らはノクシス都市の門にたどり着いた。大きくて重厚な門は、彼らに新たな冒険の始まりを告げるようにそびえ立っていた。