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「成る程ね、それでウチの旦那の協力が欲しい、と。確かにそういった事なら力にはなれるかも知れないね」
湯のみのお茶を啜り、メーラさんがじっと僕の瞳を見つめて来る。
まるで僕を見透かすように。
ちなみに当の本人であるルリスさんとクーリさんは、家の外でメーラさんの二人の子供、シュラとシュリにもみくちゃにされてた。
「でも一つ聞きたいんだけどね。ユー、何で旦那に直接言わずにアタシに言いに来たんだい?」
メーラさんの問いかけは、ある意味で当然かも知れない。
多分直接頼みに行っても、メーラさんの旦那、この町で唯一トーゾーさんに並ぶとまで言われる戦士、ガジルさんなら多分頼みを引き受けてくれただろう。
厳つい見た目と高い実力で他の冒険者達から、怖れられたり尊敬されてるガジルさん。
もしそんなガジルさんが時折ルリスさんとクーリさんの面倒、例えば訓練等をしてくれれば、二人へのちょっかいは大幅に減るだろう。
「メーラさんに知らせずに、ガジルさんが女の子の面倒見てたら、浮気と勘違いして喧嘩になったら嫌だなって……」
勿論女性の悩みは女性に相談するのが良いとの考えもあったが、そんな誤解で家庭に不和を持ち込みたくなかったのが一番の本音だ。
だってガジルさんってメーラさんへの説明下手そうだもの。
「ぷっ、あはははは。全くもう、ユーは可愛いねぇ。そうだねえ、うん。まあアンタの紹介する子なら、大丈夫だろうし良いよ。旦那に言ってあげる。お土産も貰ったしね」
可笑しそうに笑い、お腹を押さえるメーラさんに、僕はほっと息を吐く。
そんな理由でお土産を買って来た訳では無いのだけれど、まあ喜んで貰えたのなら良いかなと思う。
けれどその時、家の外からシュリが泣き喚く声がした。
「アンタ等、クーリに何するのよ!」
慌てて外に飛び出せば、倒れたクーリさんにしがみついて泣くシュリ、クーリさんを守る様に立つシュラ、そして見知らぬ3人の男に食って掛かるルリスさんが居た。
……どんな状況だろう。多分この3人が彼女達に嫌がらせをしてた冒険者なのは予想が付くのだけど。
でも冒険者の割りには武器を所持していない様だ。
多分武器を持って嫌がらせをすれば、いざ訴えられた際に警邏の守兵に捕まった場合の罪が重くなるからだと思うけれど、賢いと言うよりはセコイ印象を受ける。
「俺は石を投げて来た餓鬼にお仕置きしようとしただけだぜ。割って入ったその女が悪いんじゃねえか」
ああ、成る程。態々説明有難う御座います。でも彼等を殴って良い事は良く判った。
多分だが、ルリスさんとクーリさんに嫌がらせをしに来た3人の冒険者に怒ったシュラが石を投げたのだろう。
そして怒った冒険者がシュラを蹴とばそうとして、庇ったクーリさんが倒れてる。だからシュリが泣いたのだ。
「いい加減にしてよ。こんな子供にまで手を上げようとして、最ッ低!」
随分と精神的に限界が来ている様で、怒って怒鳴るルリスさんの眼尻には涙が滲んでた。
しかし彼等は正気だろうか、今泣かしたシュリはガジルさんのお子さんで、そしてガジルさんよりある意味でもっと恐ろしいメーラさんの子供なのだ。
勿論知らないからこそ出来る暴挙なのだろうけど、正直彼等の辿る運命を考えれば冷や汗しか出ない。
「ユー、警邏が来てもアンタは悪くないって証言してあげるから。殺りな」
上意が下達された。到底逆らう事の出来ない命令だ。
でもメーラさん、やりなって、殺せって事じゃないよね。懲らしめろって意味だよね?
腰のベルトから剣を鞘ごと外し、そして構える。うん、流石に殺すのは無理無理。
でも取り敢えず痛い目は見て貰おう。相手は3人、見た感じ、恐らくは駆け出しを抜けたばかりの下級冒険者だ。
僕も同じ下級ではあるけれど、依頼もこなさず、訓練もせずに、女の子への嫌がらせを優先する程度の冒険者には、負ける気はし無かった。
え、男なら素手同士って?
嫌だよ。相手3人も居るんだもの。折角相手が武器を持ってないのだから楽をするに決まってるじゃないか。
騒ぎを聞き付けてやって来た警邏の守兵が3人の冒険者が担ぎ上げて運んで行く。
彼等が目を覚ますのは多分牢屋の中だろう。
でも一晩牢屋で頭を冷やして釈放されたところで、彼等の受難は終わらない。
だってその次はガジルさんの怒りが降り注ぐのが確定しているのだから。
本来ならば喧嘩両成敗になるのだが、メーラさんの取り成しで僕は罪に問われなかった。
ガジルさん一家の顔は結構広いのだ。それにホント僕別に悪くないしね。
「良いんだよ。アンタ達は悪くない。悪いのは下らないちょっかいを出したアイツ等さ。もう大丈夫。それより、ウチの子を守ろうとしてくれてありがとうね」
ルリスさんとクーリさん、泣いて謝る二人を抱きしめ、メーラさんは言う。
此れで彼女達の抱えた問題は解決に向かうと思うし、ほっとする。
けれどこう、泣いてる二人をメーラさんが慰めているこの場所には、僕の居場所が無い。
凄く居心地が悪かった。どうしよう。シュリとシュラと遊んでて良いんだろうか。
僕も一応、どうしたら良いか考えたし、3人の冒険者もちゃんと相手したんだけどな……。
シュルシュルと、胸元から上がって来たヨルムが慰めてくれたので、僕はルリスさんとクーリさん、そしてメーラさんに手を振って、シュリとシュラを抱えてその場を離れる。
「ユー、どこ行くの?」
「ゆー?」
不思議そうに僕を見上げるシュラとシュリに、僕は微笑む。
何にせよ、面倒な問題が比較的穏便に片付いて良かった。
メーラさん達、ガジルさん一家との縁は彼女達にとって大きくプラスになるだろう。
「そうだね。ママもお姉ちゃん達も忙しそうだし、僕と一緒に屋台で何か食べに行こうか」
この時間なら、少し位何か食べても晩御飯には響かない筈。
僕の言葉に歓声を上げる、まあシュリはシュラの真似をしてるだけだろうけど、二人の姿に、自然と口元が綻んだ。
朽多 藤蔵(guest)
age26
color hair 黒色 eye 黒色
job 侍 rank6(中級冒険者)
skill 朽多派一刀流8(9/7) 片手剣3 柔術6 野外活動3 気配察知6 その他
unknown 闘気・中(発動時に体力消耗。身体能力、攻撃力、防御力を中上昇)
所持武装 ドワーフ製の刀(並) 中位魔獣の革鎧(高)
パラクス(guest)
age24
color hair 金色 eye 緑色
job 魔術師/錬金術師 rank6(中級冒険者)
skill 術式魔術6 術式研究5 錬金術5 野外活動3 気配察知3 雑学知識5 その他
unknown なし
所持武装 シルバースタッフ(並) 魔術師のローブ(並)
朽多 藤蔵、パラクスのステータスが更新しています。
湯のみのお茶を啜り、メーラさんがじっと僕の瞳を見つめて来る。
まるで僕を見透かすように。
ちなみに当の本人であるルリスさんとクーリさんは、家の外でメーラさんの二人の子供、シュラとシュリにもみくちゃにされてた。
「でも一つ聞きたいんだけどね。ユー、何で旦那に直接言わずにアタシに言いに来たんだい?」
メーラさんの問いかけは、ある意味で当然かも知れない。
多分直接頼みに行っても、メーラさんの旦那、この町で唯一トーゾーさんに並ぶとまで言われる戦士、ガジルさんなら多分頼みを引き受けてくれただろう。
厳つい見た目と高い実力で他の冒険者達から、怖れられたり尊敬されてるガジルさん。
もしそんなガジルさんが時折ルリスさんとクーリさんの面倒、例えば訓練等をしてくれれば、二人へのちょっかいは大幅に減るだろう。
「メーラさんに知らせずに、ガジルさんが女の子の面倒見てたら、浮気と勘違いして喧嘩になったら嫌だなって……」
勿論女性の悩みは女性に相談するのが良いとの考えもあったが、そんな誤解で家庭に不和を持ち込みたくなかったのが一番の本音だ。
だってガジルさんってメーラさんへの説明下手そうだもの。
「ぷっ、あはははは。全くもう、ユーは可愛いねぇ。そうだねえ、うん。まあアンタの紹介する子なら、大丈夫だろうし良いよ。旦那に言ってあげる。お土産も貰ったしね」
可笑しそうに笑い、お腹を押さえるメーラさんに、僕はほっと息を吐く。
そんな理由でお土産を買って来た訳では無いのだけれど、まあ喜んで貰えたのなら良いかなと思う。
けれどその時、家の外からシュリが泣き喚く声がした。
「アンタ等、クーリに何するのよ!」
慌てて外に飛び出せば、倒れたクーリさんにしがみついて泣くシュリ、クーリさんを守る様に立つシュラ、そして見知らぬ3人の男に食って掛かるルリスさんが居た。
……どんな状況だろう。多分この3人が彼女達に嫌がらせをしてた冒険者なのは予想が付くのだけど。
でも冒険者の割りには武器を所持していない様だ。
多分武器を持って嫌がらせをすれば、いざ訴えられた際に警邏の守兵に捕まった場合の罪が重くなるからだと思うけれど、賢いと言うよりはセコイ印象を受ける。
「俺は石を投げて来た餓鬼にお仕置きしようとしただけだぜ。割って入ったその女が悪いんじゃねえか」
ああ、成る程。態々説明有難う御座います。でも彼等を殴って良い事は良く判った。
多分だが、ルリスさんとクーリさんに嫌がらせをしに来た3人の冒険者に怒ったシュラが石を投げたのだろう。
そして怒った冒険者がシュラを蹴とばそうとして、庇ったクーリさんが倒れてる。だからシュリが泣いたのだ。
「いい加減にしてよ。こんな子供にまで手を上げようとして、最ッ低!」
随分と精神的に限界が来ている様で、怒って怒鳴るルリスさんの眼尻には涙が滲んでた。
しかし彼等は正気だろうか、今泣かしたシュリはガジルさんのお子さんで、そしてガジルさんよりある意味でもっと恐ろしいメーラさんの子供なのだ。
勿論知らないからこそ出来る暴挙なのだろうけど、正直彼等の辿る運命を考えれば冷や汗しか出ない。
「ユー、警邏が来てもアンタは悪くないって証言してあげるから。殺りな」
上意が下達された。到底逆らう事の出来ない命令だ。
でもメーラさん、やりなって、殺せって事じゃないよね。懲らしめろって意味だよね?
腰のベルトから剣を鞘ごと外し、そして構える。うん、流石に殺すのは無理無理。
でも取り敢えず痛い目は見て貰おう。相手は3人、見た感じ、恐らくは駆け出しを抜けたばかりの下級冒険者だ。
僕も同じ下級ではあるけれど、依頼もこなさず、訓練もせずに、女の子への嫌がらせを優先する程度の冒険者には、負ける気はし無かった。
え、男なら素手同士って?
嫌だよ。相手3人も居るんだもの。折角相手が武器を持ってないのだから楽をするに決まってるじゃないか。
騒ぎを聞き付けてやって来た警邏の守兵が3人の冒険者が担ぎ上げて運んで行く。
彼等が目を覚ますのは多分牢屋の中だろう。
でも一晩牢屋で頭を冷やして釈放されたところで、彼等の受難は終わらない。
だってその次はガジルさんの怒りが降り注ぐのが確定しているのだから。
本来ならば喧嘩両成敗になるのだが、メーラさんの取り成しで僕は罪に問われなかった。
ガジルさん一家の顔は結構広いのだ。それにホント僕別に悪くないしね。
「良いんだよ。アンタ達は悪くない。悪いのは下らないちょっかいを出したアイツ等さ。もう大丈夫。それより、ウチの子を守ろうとしてくれてありがとうね」
ルリスさんとクーリさん、泣いて謝る二人を抱きしめ、メーラさんは言う。
此れで彼女達の抱えた問題は解決に向かうと思うし、ほっとする。
けれどこう、泣いてる二人をメーラさんが慰めているこの場所には、僕の居場所が無い。
凄く居心地が悪かった。どうしよう。シュリとシュラと遊んでて良いんだろうか。
僕も一応、どうしたら良いか考えたし、3人の冒険者もちゃんと相手したんだけどな……。
シュルシュルと、胸元から上がって来たヨルムが慰めてくれたので、僕はルリスさんとクーリさん、そしてメーラさんに手を振って、シュリとシュラを抱えてその場を離れる。
「ユー、どこ行くの?」
「ゆー?」
不思議そうに僕を見上げるシュラとシュリに、僕は微笑む。
何にせよ、面倒な問題が比較的穏便に片付いて良かった。
メーラさん達、ガジルさん一家との縁は彼女達にとって大きくプラスになるだろう。
「そうだね。ママもお姉ちゃん達も忙しそうだし、僕と一緒に屋台で何か食べに行こうか」
この時間なら、少し位何か食べても晩御飯には響かない筈。
僕の言葉に歓声を上げる、まあシュリはシュラの真似をしてるだけだろうけど、二人の姿に、自然と口元が綻んだ。
朽多 藤蔵(guest)
age26
color hair 黒色 eye 黒色
job 侍 rank6(中級冒険者)
skill 朽多派一刀流8(9/7) 片手剣3 柔術6 野外活動3 気配察知6 その他
unknown 闘気・中(発動時に体力消耗。身体能力、攻撃力、防御力を中上昇)
所持武装 ドワーフ製の刀(並) 中位魔獣の革鎧(高)
パラクス(guest)
age24
color hair 金色 eye 緑色
job 魔術師/錬金術師 rank6(中級冒険者)
skill 術式魔術6 術式研究5 錬金術5 野外活動3 気配察知3 雑学知識5 その他
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