18 / 55
11 奴が来る
しおりを挟む
私は、この国ゾフィエを統べるジャーロ=ロウドだ。もともとは、家庭教師をしている両親から生まれ、都市のはずれに住んでいた。
本当は、王になる事なんてなかった。
あの、身勝手な義理の兄のせいで、養子に。つくづく頭が良くて良かったと思っている。
王になりたいなんて思ったことは無いし、テキトーに、そこらより頭が良い俺が、ここに連れてこられただけだろう。特に仕事に思い入れはないし、むしろ、やらされている。
俺を養子にした、故ガブリエーレに亡くなる前に言われたことがある。
それは、『お前が、アンドレアのバカな行動を止めるんだ。アイツはこれから何をするか分かったものじゃない。お前がアイツの行動を終わらせるんだ。最悪、殺してしまってもいい』と。
確かに自分だって、アイツに将来をとられたんだ。こんな面倒な仕事じゃなくて、幸せに暮らしていたはずだった。
「父さん、俺がアイツの息の根を止めてみせるよ」ジャーロは怪しく笑った。
〇〇〇
「ゾフィエの軍が、アレッサンドロに近づいています!」と言われたのは、穏やかな真昼時。
アレッサンドロに、ゾフィエの軍が迫ってきているという。
「アンドレア様どういたしますか!」とアレッサンドロ軍の大佐が言う。
「一度対話してみた方が…」とオリヴィアが言う。
「いや、そんなのはやらん。戦おう」とアンドレアが言う。
「何を言っているのですか!」とオリヴィアが咄嗟に言うが、「ずっとここまで勝ってきただろう。問題ない」なんて。
「そんな無責任なことを~…。戦争に運は付き物です!必ずなんて…」
「確証ないってか。笑わせる」
オリヴィアは、焦っていた。
これまでは、小さな国同士の戦いが多かったため、この国は簡単に勝てた。が、今回は、この地方の中で最も大きいゾフィエと戦うのだから焦るのだ。
「あぁ、勝てるさ。いつかこの日が来ることは分かっていたからな」と悠長に言う。
確かに、この国を作ったのは、ゾフィエにアンドレア様が反抗するために作ったといっても過言ではない。
私自身、ゾフィエは貧民区にだけ、何もしてくれなかった。私たちだけ何もかも置いてけぼりだった。確かにゾフィエを恨んでいるのは私も一緒だ。
「だけど、早すぎないですか?もっとこの平和な国で過ごしていたかった…」とオリヴィアは言う。
「何を言う。戦いに早いも遅いもないだろう。というか、早くアイツらに勝って服従させてやりたいものだ」そう言ってニヤリと笑う。
「きっと直にジャーロが来るだろう。俺もアイツと話してみたかったんだ」
「…しょうがない。まずは、対話してやるよ。あっちはそれで引っ込まないと思うし、俺も引っ込まない。その後すぐに戦いだ。大佐、戦いの準備を今すぐ初めておけ」
「はい!!」大佐は部屋を出ていった。
「どうしても対話で終わらせないのですね…?」
「もちろんだ。俺はジャーロが気に入らないんだ。潰してやるよ」
〇〇〇
「あれがアレッサンドロの城か?」
ジャーロは馬に乗りながら、執事に問いかけた。
「はい」執事が答えると、「ふっ、あんな小さい城しか作れないのか。会わなくても分かる。器が小さい事をな」と言う。
ゾフィエ軍は確実にアレッサンドロへ向かっていった。
本当は、王になる事なんてなかった。
あの、身勝手な義理の兄のせいで、養子に。つくづく頭が良くて良かったと思っている。
王になりたいなんて思ったことは無いし、テキトーに、そこらより頭が良い俺が、ここに連れてこられただけだろう。特に仕事に思い入れはないし、むしろ、やらされている。
俺を養子にした、故ガブリエーレに亡くなる前に言われたことがある。
それは、『お前が、アンドレアのバカな行動を止めるんだ。アイツはこれから何をするか分かったものじゃない。お前がアイツの行動を終わらせるんだ。最悪、殺してしまってもいい』と。
確かに自分だって、アイツに将来をとられたんだ。こんな面倒な仕事じゃなくて、幸せに暮らしていたはずだった。
「父さん、俺がアイツの息の根を止めてみせるよ」ジャーロは怪しく笑った。
〇〇〇
「ゾフィエの軍が、アレッサンドロに近づいています!」と言われたのは、穏やかな真昼時。
アレッサンドロに、ゾフィエの軍が迫ってきているという。
「アンドレア様どういたしますか!」とアレッサンドロ軍の大佐が言う。
「一度対話してみた方が…」とオリヴィアが言う。
「いや、そんなのはやらん。戦おう」とアンドレアが言う。
「何を言っているのですか!」とオリヴィアが咄嗟に言うが、「ずっとここまで勝ってきただろう。問題ない」なんて。
「そんな無責任なことを~…。戦争に運は付き物です!必ずなんて…」
「確証ないってか。笑わせる」
オリヴィアは、焦っていた。
これまでは、小さな国同士の戦いが多かったため、この国は簡単に勝てた。が、今回は、この地方の中で最も大きいゾフィエと戦うのだから焦るのだ。
「あぁ、勝てるさ。いつかこの日が来ることは分かっていたからな」と悠長に言う。
確かに、この国を作ったのは、ゾフィエにアンドレア様が反抗するために作ったといっても過言ではない。
私自身、ゾフィエは貧民区にだけ、何もしてくれなかった。私たちだけ何もかも置いてけぼりだった。確かにゾフィエを恨んでいるのは私も一緒だ。
「だけど、早すぎないですか?もっとこの平和な国で過ごしていたかった…」とオリヴィアは言う。
「何を言う。戦いに早いも遅いもないだろう。というか、早くアイツらに勝って服従させてやりたいものだ」そう言ってニヤリと笑う。
「きっと直にジャーロが来るだろう。俺もアイツと話してみたかったんだ」
「…しょうがない。まずは、対話してやるよ。あっちはそれで引っ込まないと思うし、俺も引っ込まない。その後すぐに戦いだ。大佐、戦いの準備を今すぐ初めておけ」
「はい!!」大佐は部屋を出ていった。
「どうしても対話で終わらせないのですね…?」
「もちろんだ。俺はジャーロが気に入らないんだ。潰してやるよ」
〇〇〇
「あれがアレッサンドロの城か?」
ジャーロは馬に乗りながら、執事に問いかけた。
「はい」執事が答えると、「ふっ、あんな小さい城しか作れないのか。会わなくても分かる。器が小さい事をな」と言う。
ゾフィエ軍は確実にアレッサンドロへ向かっていった。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説

ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる