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3 二人の過去~前編~
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私はゾフィエに生まれた。
ゾフィエはとても大きな国で、人も沢山住んでいた。
国の中央には、とても大きなお城があって、そこには王様が住んでる。
お城の近くにはお金持ちなお家がいっぱいあって、とても賑わっていた。…のはここだけ。
私が住んでいたのは、国の端っこにある小さな村だった。そこは貧民区で、人々は少ない給料で暮らしていた。
そして私の家もまた貧しかった。
大好きな父は、建築士だった。金持ちの家の改修工事を主に仕事としていて、平気で一か月帰ってこないことも多かった。ただ給料は少なかった。
母は時々、メイドとして城に行っていた。その時の家は、私と、妹と弟だけだった。稀に祖母が来てくれたこともあった。
だが、ほとんどが長女の私が二人の世話をしなければならなかった。少ないお金では、ろくなご飯も食べられず、母が恋しかった。
だから私は、母がいる間に家事を沢山教わった。そのおかげか、母がいなくても、大丈夫になった。
高校生になったある日、母から、
「あなた、私と一緒に、王様のところに行きましょう」と言われた。
「何をするの?」
「あなたも、メイドとして働くの。ママがいっぱい家事を教えたでしょう。あれを城でもやるの」
もし、私が働いたら、二人はどうなるの?
私は結局、お城に連れていかれた。
「初めまして。ガブリエーレ様。こちらは私の娘のオリヴィアでございます。この子は、家事をしっかりとこなせる子です。よろしければ、この子をここで働かせてもらえませんでしょうか」
「ほぉ、オリヴィアか」と私をじっくり見る。
「あぁ、いいだろう。いつからでもいい。暇なときにでも働きに来るといい」
母は大変うれしそうだった。私は嬉しくなかった。学校に行きたかった。
二人の面倒を見たい。のに、働くなんて。お金のために、私はやりたいことを制限された。
ある日、母は倒れた。過労だった。死にはしなかったが、働けなくなった。父の給料だけではやっていけなかった。だから、私が働かなくてはならなかった。
ここで仕事を始めてから1か月。ある人に出会った。
「おい、お前新入りか?」
どこからか、声がした。低くて、棘のある声。
目の前に現れたのは、「???」
誰か分からなかった。この一か月会ったことのない人だったし、私は偉い人たちの名前も顔も全然知らなかったから。
「おい、俺を知らないのか?」第一印象は怖い人。
「はい…。申し訳ございません」その人は、いつも怒っている顔だった。
「…ったく。俺は、アンドレアだ。もうすぐでこの国の王になる」その人は嫌そうな顔をした。
「そ、そうなんですね!」
「お前は仕事をやりたくなさそうにやっている」
「そうでしょうか?」私の気持ちを知っていた。
「あぁ。まぁ、俺もだけどな」
「そうなんですか?」
「じつは…」と言って、近くのベンチに座る。
お前もここに来い。と言われた。
「もうすぐで、父が死ぬ」
「え!?」
「本当だ。最近調子が悪くて。俺は死ぬと思う」
「思う?」
「あぁ。直感だけどな。あの顔からは死しか連想できない」
「人の顔を見て、いろんなことが分かるんですね!すごいです」
「はは。お前は面白い。俺はこの容姿だろ?メイドが沢山寄ってくるんだが、どれもつまらない。お前はそいつらとは違う」彼はその時から、ナルシストバカだった。
「お前、仕事したくないなら、俺とどこかに行かないか?」
その時、私たちは、屋敷から逃げ出した。後で怒られることも、何もかもどうでもよくなって。
ゾフィエはとても大きな国で、人も沢山住んでいた。
国の中央には、とても大きなお城があって、そこには王様が住んでる。
お城の近くにはお金持ちなお家がいっぱいあって、とても賑わっていた。…のはここだけ。
私が住んでいたのは、国の端っこにある小さな村だった。そこは貧民区で、人々は少ない給料で暮らしていた。
そして私の家もまた貧しかった。
大好きな父は、建築士だった。金持ちの家の改修工事を主に仕事としていて、平気で一か月帰ってこないことも多かった。ただ給料は少なかった。
母は時々、メイドとして城に行っていた。その時の家は、私と、妹と弟だけだった。稀に祖母が来てくれたこともあった。
だが、ほとんどが長女の私が二人の世話をしなければならなかった。少ないお金では、ろくなご飯も食べられず、母が恋しかった。
だから私は、母がいる間に家事を沢山教わった。そのおかげか、母がいなくても、大丈夫になった。
高校生になったある日、母から、
「あなた、私と一緒に、王様のところに行きましょう」と言われた。
「何をするの?」
「あなたも、メイドとして働くの。ママがいっぱい家事を教えたでしょう。あれを城でもやるの」
もし、私が働いたら、二人はどうなるの?
私は結局、お城に連れていかれた。
「初めまして。ガブリエーレ様。こちらは私の娘のオリヴィアでございます。この子は、家事をしっかりとこなせる子です。よろしければ、この子をここで働かせてもらえませんでしょうか」
「ほぉ、オリヴィアか」と私をじっくり見る。
「あぁ、いいだろう。いつからでもいい。暇なときにでも働きに来るといい」
母は大変うれしそうだった。私は嬉しくなかった。学校に行きたかった。
二人の面倒を見たい。のに、働くなんて。お金のために、私はやりたいことを制限された。
ある日、母は倒れた。過労だった。死にはしなかったが、働けなくなった。父の給料だけではやっていけなかった。だから、私が働かなくてはならなかった。
ここで仕事を始めてから1か月。ある人に出会った。
「おい、お前新入りか?」
どこからか、声がした。低くて、棘のある声。
目の前に現れたのは、「???」
誰か分からなかった。この一か月会ったことのない人だったし、私は偉い人たちの名前も顔も全然知らなかったから。
「おい、俺を知らないのか?」第一印象は怖い人。
「はい…。申し訳ございません」その人は、いつも怒っている顔だった。
「…ったく。俺は、アンドレアだ。もうすぐでこの国の王になる」その人は嫌そうな顔をした。
「そ、そうなんですね!」
「お前は仕事をやりたくなさそうにやっている」
「そうでしょうか?」私の気持ちを知っていた。
「あぁ。まぁ、俺もだけどな」
「そうなんですか?」
「じつは…」と言って、近くのベンチに座る。
お前もここに来い。と言われた。
「もうすぐで、父が死ぬ」
「え!?」
「本当だ。最近調子が悪くて。俺は死ぬと思う」
「思う?」
「あぁ。直感だけどな。あの顔からは死しか連想できない」
「人の顔を見て、いろんなことが分かるんですね!すごいです」
「はは。お前は面白い。俺はこの容姿だろ?メイドが沢山寄ってくるんだが、どれもつまらない。お前はそいつらとは違う」彼はその時から、ナルシストバカだった。
「お前、仕事したくないなら、俺とどこかに行かないか?」
その時、私たちは、屋敷から逃げ出した。後で怒られることも、何もかもどうでもよくなって。
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