51 / 55
28 執事
しおりを挟む
「そういえば、ウチって執事いませんよね」
朝。ダイニングで朝食を食べているとき、突然オリヴィアが言った。
「たしかに。メイドのオリヴィアさんが、執事をやっているような…」ルシアが言う。
「アンドレア様。執事を雇いませんか?」オリヴィアが。
「なぜだ。お前ひとりで出来ているだろう。十分だ。…というか、お前はメイド兼執事だが?」アンドレアは、言った。
「いやいや、オリヴィアさんは毎日沢山のお仕事をされているんですよ?家事から来客まで…。執事がやるべき仕事もやっています。オリヴィアさんを休ませてあげようとは思わないのですか?妻なのでしょう?」
妻、という言葉でアンドレアはハッとする。と同時にオリヴィアも赤面する。
その二人を見ながらルシアは「いつまで照れてるんですか」と呆れる。
「もしもオリヴィアさんが疲労で倒れてしまったらどうするんです」
「たしかに、それはいけないな。分かった、雇おう」
妻だと思い出した瞬間に決めるのかよ、と心でルシアは思う。
「ありがとうございます!アンドレア様!」隣でオリヴィアは喜んでいた。
〇〇〇
取り敢えず、街を歩いてみる。
応募要項を国中に貼り付けるのも良かったが、急ぎなのでアンドレア自ら聞きまわることにした。
「アンドレア様が自分と合うと思われた方を執事にして下さいね」ルシアが言う。
「分かっている。…俺と合う人間なんて限られてるが」
そう言うとアンドレアは歩きだした。
約二時間経った。結局いい人材は見つからず。
半ば諦めながら一行は歩いていた。すると。
「刀屋だ!いつから開いていた!」突然の刀屋にアンドレアは大喜び。
「テレビ局から貰った刀が壊れそうだったのだ。新しいのが欲しかったところだ、見ていこう」
アンドレアが刀屋の引き戸を開ける、と―。
「あっ!半年ぶりのお客様!」レジで寝ていた店員が言った。
「って、アンドレア様では御座いませんか!
…失礼致しました。ごほん。わたくし此方で刀屋を開いております、遊馬と申します」
遊馬は深く礼をした。
「お前は日本から来たのか?」
「左様です」
するとルシアが、「あなた、ここで店を開くと申請していませんよね?」と言う。
「左様でした!実は、わたくしは約一年前に此方に引っ越して来ました、日本からです。唯わたくしは日本語しかその時分からず、此方の言葉は喋れませんでした」
「だから、申請できなかったと?」
「はい。身と刀数本だけで参りまして…。此方の国の公用語はドイツ語だというのは承知しておりましたが、何せ話せなかったので。唯この一年で、何とか少しですが喋れるようにはなったのですが」
「すごいじゃないですか!一年でここまでって!」オリヴィアは遊馬をベタ褒めする。
「ですから、此方で店を開いて良い、と許可を今更ですがして頂くことは可能でしょうか?」遊馬は言う。
「よかろう。…刀が欲しい、見せてくれ」アンドレアは刀の方が重要だった。
二人は店の奥に消えていった。
「アンドレア様、刀もいいけど今は執事探しの方が重要なのにねぇ」オネエなルシアが言う。
「えぇ。でも少しくらいいいでしょう?」
可愛いオリヴィアに言われたルシアは、「まぁ、しょうがないわね」と言った。
30分して、二人は戻ってきた。
アンドレアは嬉しそうな顔をして言った。
「いや、この刀は最高傑作だ!良いのを買った。…そして」
「遊馬が、執事になることになった」と言った。
朝。ダイニングで朝食を食べているとき、突然オリヴィアが言った。
「たしかに。メイドのオリヴィアさんが、執事をやっているような…」ルシアが言う。
「アンドレア様。執事を雇いませんか?」オリヴィアが。
「なぜだ。お前ひとりで出来ているだろう。十分だ。…というか、お前はメイド兼執事だが?」アンドレアは、言った。
「いやいや、オリヴィアさんは毎日沢山のお仕事をされているんですよ?家事から来客まで…。執事がやるべき仕事もやっています。オリヴィアさんを休ませてあげようとは思わないのですか?妻なのでしょう?」
妻、という言葉でアンドレアはハッとする。と同時にオリヴィアも赤面する。
その二人を見ながらルシアは「いつまで照れてるんですか」と呆れる。
「もしもオリヴィアさんが疲労で倒れてしまったらどうするんです」
「たしかに、それはいけないな。分かった、雇おう」
妻だと思い出した瞬間に決めるのかよ、と心でルシアは思う。
「ありがとうございます!アンドレア様!」隣でオリヴィアは喜んでいた。
〇〇〇
取り敢えず、街を歩いてみる。
応募要項を国中に貼り付けるのも良かったが、急ぎなのでアンドレア自ら聞きまわることにした。
「アンドレア様が自分と合うと思われた方を執事にして下さいね」ルシアが言う。
「分かっている。…俺と合う人間なんて限られてるが」
そう言うとアンドレアは歩きだした。
約二時間経った。結局いい人材は見つからず。
半ば諦めながら一行は歩いていた。すると。
「刀屋だ!いつから開いていた!」突然の刀屋にアンドレアは大喜び。
「テレビ局から貰った刀が壊れそうだったのだ。新しいのが欲しかったところだ、見ていこう」
アンドレアが刀屋の引き戸を開ける、と―。
「あっ!半年ぶりのお客様!」レジで寝ていた店員が言った。
「って、アンドレア様では御座いませんか!
…失礼致しました。ごほん。わたくし此方で刀屋を開いております、遊馬と申します」
遊馬は深く礼をした。
「お前は日本から来たのか?」
「左様です」
するとルシアが、「あなた、ここで店を開くと申請していませんよね?」と言う。
「左様でした!実は、わたくしは約一年前に此方に引っ越して来ました、日本からです。唯わたくしは日本語しかその時分からず、此方の言葉は喋れませんでした」
「だから、申請できなかったと?」
「はい。身と刀数本だけで参りまして…。此方の国の公用語はドイツ語だというのは承知しておりましたが、何せ話せなかったので。唯この一年で、何とか少しですが喋れるようにはなったのですが」
「すごいじゃないですか!一年でここまでって!」オリヴィアは遊馬をベタ褒めする。
「ですから、此方で店を開いて良い、と許可を今更ですがして頂くことは可能でしょうか?」遊馬は言う。
「よかろう。…刀が欲しい、見せてくれ」アンドレアは刀の方が重要だった。
二人は店の奥に消えていった。
「アンドレア様、刀もいいけど今は執事探しの方が重要なのにねぇ」オネエなルシアが言う。
「えぇ。でも少しくらいいいでしょう?」
可愛いオリヴィアに言われたルシアは、「まぁ、しょうがないわね」と言った。
30分して、二人は戻ってきた。
アンドレアは嬉しそうな顔をして言った。
「いや、この刀は最高傑作だ!良いのを買った。…そして」
「遊馬が、執事になることになった」と言った。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~
恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」
そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。
私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。
葵は私のことを本当はどう思ってるの?
私は葵のことをどう思ってるの?
意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。
こうなったら確かめなくちゃ!
葵の気持ちも、自分の気持ちも!
だけど甘い誘惑が多すぎて――
ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる